「できますでしょうか」のフレーズは、主に目上の相手に対して都合の良し悪しをたずねる場合に使われる言い回しです。
一旦ボールを投げる姿勢を表すため、受ける側とすれば比較的印象の良い言葉といえるでしょう。
一方で、敬語表現として何となく気持ち悪い・しっくりこないといった意見もあります。意味や丁寧な姿勢は伝わっても、語感に違和感を覚える方も少なくありません。
以上を踏まえ、当記事では「できますでしょうか」の意味・適切な使い方・言い換え表現などを解説します。例文も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「できますでしょうか」の意味・使い方を紹介!
「できますでしょうか」とは、簡単にいえば「できるかどうか」を尋ねるための言葉。
対象が目上の人物であることが前提のため敬語表現ですが、意味自体は非常にシンプルです。
主な使い方・状況としては、目上の相手のスケジュールを伺ったり、アポイントメントの相談をもちかけたりといった場合が挙げられます。
「できますでしょうか」の注意点を解説!
「できますでしょうか」のフレーズに対し、違和感を覚える方がいる旨を先述しました。
違和感を覚えても、具体的にどの点がおかしいか指摘するのは難しいもの。
以下では、「できますでしょうか」に違和感が伴う理由を解説します。文法および表現としてのトーンの観点からアプローチしましょう。
「できますでしょうか」は二重敬語!
文法上、「できますでしょうか」は二重敬語に該当します。なぜなら、「できますでしょうか」には「ます」「でしょうか」と丁寧語が2回使われているからです。
簡単な言い換え方をすると、「できますですか」と発言しているのと同じ。「ます」「です」と、補助動詞が重複しているのです。
「できますでしょうか」は表現として失礼?
「できますでしょうか」は文法上NGであるものの、実際には許容・黙認されている場合が少なくありません。
理由として相手に対する敬意は伝わることと、当事者同士で完結する内容であり、第三者に無礼を働く発言ではないことが挙げられます。
もちろん日本語としては正しくないため、厳正な場面では使うことは避けましょう。
「できますか」は文法上はOKだがやや失礼
「できますでしょうか」の代わりに、「できますか」と発言すればいいのでしょうか。答えはNOです。
「できますか」は文法の上では問題ないものの、社会人の言葉遣いとしてはラフなためおすすめできません。
後述する言い換え表現のうち、目上の相手に向けた言い方として相応しいフレーズを選ぶようにしましょう。
「できますでしょうか」を使った主な組み合わせフレーズ
先述の通り、実際には「できますでしょうか」が使われることはしばしばあり、仕事を中心としたやり取りが円滑に進む場合も珍しくありません。
「できますでしょうか」を使った組み合わせフレーズのうち、代表的なものを2つピックアップします。
お願いできますでしょ うか
文末に「お願いできますでしょ うか」を付けることにより、目上の相手に行動を促したり依頼したりする使い方があります。
例えば「送付をお願いできますでしょうか」「ご判断お願いできますでしょうか」といったものが代表的です。
受け手とすれば判断の余地がある分、単に「お願いします」と言われるよりも好印象。低姿勢も手伝って、二重敬語であっても失礼だとみなされることは多くありません。
ご対応いただくことはできますでしょうか
目上の人物に対応を依頼する際、「ご対応いただくことはできますでしょうか」と表現する使い方もあります。
言葉の上では質問・打診の形であるものの、実質的には対応するよう促す言い方です。
「お願いできますでしょ うか」と比べてやや持って回ったような表現であるため、受け手によっては歓迎されない場合があります。
「ご対応いただけますでしょうか」「ご対応いただけませんか」の方が良い印象を与えられるでしょう。
「できますでしょうか」の適切な言い換え表現を紹介!
「できますでしょうか」は基本的に身内同士で許容されている言葉であり、外部の相手には使えません。
「できますでしょうか」の適切な言い換え表現を考えてみましょう。
「可能ですか」「可能でしょうか」
「可能ですか」「可能でしょうか」は「できますか」と同様に、文法上は問題なくともスマートな言い方ではありません。
対象が目上の立場である前提を踏まえ、相手の都合を慮った表現を選びましょう。
「いただけますか」
「いただけますか」は謙譲表現であり、自分がへりくだることで相手を立てつつお願いする言い回しです。
例えば「ご対応いただけますか」と表現すれば、対応をお願いしたい旨を丁寧に伝えられます。
「構いませんか」
「構いませんか」は「よろしいですか」とほぼ同義のフレーズです。「よろしいですか」と比べるとややブロークンなトーンであり、外部の相手に対して発言することは望ましくありません。
「いただければ幸いです」
「いただければ幸いです」はお願いというよりも、希望の意味合いが強い表現です。
例えば「ご検討いただければ幸いです」と発言した場合は、目上の人物に対して「検討して欲しい」という希望を丁寧に伝えるのみに留まります。
相手にイニシアチブを提供する意味で押しが強くなくソフトである一方、積極的ではない印象を与える可能性も否定できません。
「いただきたく存じます」
「いただきたく存じます」は謙譲語です。いただく・存ずと謙譲語が2回登場するものの、自分自身を低める表現であるため二重敬語には該当しません。
ちなみに「いただきたく思います」程度の言い回しでも十分に丁寧であり、実際には「いただきたく存じます」と発言するとかしこまった印象を与えがちです。
「お願いしてもよろしいでしょうか」
「お願いしてもよろしいでしょうか」は自身の希望を丁寧に伝えつつ、相手の都合についても配慮した姿勢を表すフレーズです。
ビジネスで使える実用的な表現であり、外部の相手に対しても失礼のない言い回しです。
「できますでしょうか」の英語表現
最後に、「できますでしょうか」の英語表現を2つ紹介します。
“could you please~?”(~していただけますか)
“Could you please show me the way to the museum?”
(美術館への行き方を教えていただけますか)
”Would you mind if ~?”(~していただいても構いませんか)
”Would you mind being quiet ?”
(静かにしていただいても構いませんか)
まとめ
「できますでしょうか」のように、文法上正しくなくとも実際に使われている言葉は少なくありません。
「できますでしょうか」を使いがちな場面でも、本来どのように表現するべきかと考えながら適切な言い回しを選ぶようにしましょう。