ひとつの考えに強くこだわる・執着するさまを「固執する」と表現しますよね。
類語・同義語も多いため、「固執する」の表現が必要な場面はある程度限られます。
当記事では「固執する」の正しい意味・使い方のほか、類語・言い換え表現・対義語なども紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「固執する」の意味・読み方を紹介!
そもそも「固執する」とはどのような語句であるかを紹介します。「固執」部分の読み方についても説明しますので、以下をご参照ください。
「固執する」の意味
「固執する」とは、自分の考えを押し通すことです。「固執」とは固くくつかんで離さないさま。動作だけでなく、考え方・姿勢・態度などにおいても当てはまります。
「固執する」は動詞形であり、かたくなに自分の意見を曲げようとしないさまを表す語句です。
「固執」の読み方
「固執」には「こしつ」「こしゅう」と、2通りの読み方があります。「こしゅう」はやや古めかしい読み方であり、現代語としては「こしつ」が一般的です。
ちなみに「執」の発音は元々「しゅう」のみで、「しつ」は慣用音でした。
「執筆・執務」などに使われている「執」も同様で、「しつ」に統一されたのは近世であることが明らかになっています。
「固執する」と「執着する」の違い
「固執する」とよく似た語句の1つに、動詞「執着する」があります。
「固執する」が意見・考え方などといった精神的なものに対するこだわりであるのに対し、「執着する」の対象は物質・人などとさまざまです。
たとえばお金・地位といったものに対するこだわりは、「固執」ではなく「執着」。
好きな異性に対する一方的な思い込みのように、ネガティブなこだわりは「執着する」行為に該当します。
「固執する」の使い方を解説!
「固執する」は意固地になって自分の考えを変えず、押し通そうとする姿勢を表します。
たとえば既に結論が出た議題に対し、持論を曲げずに振り回すような人物の態度が代表的です。
一般的には他者の様子を客観的に説明するための表現であり、自分に対しては使いません。
「固執する」を使った組み合わせフレーズは?
紹介した意味・使い方を踏まえ、「固執する」と組み合わせて使うフレーズを紹介します。代表的なものは以下の4つです。
固執することなく
「固執することなく」とは、凝り固まらず・柔軟にといった意味合い。
たとえば自分の考えにこだわらずに他人の意見を聞いたり、新しいアイデアを採り入れたりといった姿勢を表します。
「固執する」が動詞であるのに対し、「固執することなく」の場合は副詞の用法です。
一つのことに固執する
「一つのことに固執する」とは、特定の考え方・事象・物事にとらわれること。
「一点に集中する」とよく似ているものの、一般的にはネガティブな意味で使われます。
融通が利かない・柔軟性に欠けるといった意味合いと同義です。
自分の考えに固執する
「自分の考えに固執する」は、頑固に自分の意見を押し通す姿勢・行動。
他人の意見に耳を貸さず、自分の考えにとらわれるさまを表します。
「自分の考えに固執する人物」のように、形容表現として使われる場合もしばしばです。
固執した考え
「固執した考え」とは凝り固まった・柔軟性に欠ける考え。
ネガティブな意味で使われ、客観性に欠けた視野の狭い見方に基づく考え方を指します。
「固執する」と同様に、他者の考えに対して使う表現です。
「固執する」の類語・言い換え表現をチェック!
紹介した知識を踏まえ、「固執する」の類語・言い換え表現についても考えてみましょう。代表的な表現は以下の4つです。
執着する
「執着する」とは物事にこだわること。対象は考え方に限らず、物質・肩書・お金といったあらゆる事象が該当します。
「固執する」よりも汎用性が高く、日常の言葉としても使いやすい表現です。
執心する
「執心する」とは物事にこだわること。「心」が含まれる分「執着する」よりも精神面のニュアンスが強く、特に意中の異性にこだわる場合に使われます。
たとえば一人の人に固執するさまに対し、「執心している」「ご執心の様子」のように冷やかす用例が代表的です。
拘泥する
拘泥するとは、必要以上に気にしてこだわる意味。「こだわ
る」と同義です。
やや表現として堅苦しいため、「こだわる」の表記が相応しくない文字媒体・ビジネスメールなどで使われます。
頓着する
「頓着する」とはしつこくこだわり続ける行為・行動であり、「執着する」とほぼ同義です。
心配する・気にかけるといった意味もあるものの、基本的にはネガティブな意味で使われます。
「固執する」の対義語も確認しよう
類語・言い換え表現だけでなく、「固執する」の対義語も確認しましょう。代表的な表現は以下の3つです。
譲歩する
「譲歩する」とは相手の意見・主張を押し通さず、折り合いを付けること。自分の立場を譲り、控える意味を表します。
相手にとって有利な条件・自分にとって不利な条件を飲む行為を指し、交渉の場面で使われる機会が多い語句です。
妥協する
「妥協する」とは、折り合いを付けること。「譲歩する」とは異なり、対人以外の場面にも使えます。
たとえば買い物の際、第一希望ではなく第二希望の商品で折り合いを付けるのも妥協する行為です。
無頓着
「無頓着」は「頓着」の反対語で、こだわりがないさまを表します。
名詞・形容動詞であるため「妥協する」のような動詞の用法ではなく、「無頓着を貫く」「地位に対して無頓着だ」のように使うのが一般的です。
「固執する」の例文3選!
紹介した用例を踏まえ、「固執する」を実際の文章に組み込んでみましょう。例文を2つピックアップします。
例文
大局を見て、組織の利益を優先するべきだ。自身のビジョンに固執するのは良くない。
例文
彼女は地位や名誉に固執するあまり、本当に目指したい音楽スタイルを放棄してしまった。
「固執する」の英語表現
最後に「固執する」の英語表現を紹介します。
・“persist”(頑固に主張する)
(例)
“She persists in her belief.”
彼女は信念を頑として曲げようとしない
・cling to~(~に執着する)
(例)
“He clings to money.”
彼はお金に執着している
まとめ
「固執する」は他者の姿勢・行動に対するネガティブな表現です。
当事者に面と向かって直接伝える場面は限られ、第三者の立場で評する用途が一般的と考えられます。
当記事を参考に、「固執する」を正しく運用しましょう。