ことづて・伝言を預かる際、発言主に対して「申し伝える」と一言添える場合がありますよね。
相手あっての表現であり、単に「伝言する」というよりも丁寧な印象を与えます。一方で注意点もあり、誤った使い方を避けるためにも正しい知識が欠かせません。
以上を踏まえ、当記事では「申し伝える」の意味・使い方・敬語表現・言い換え表現などを紹介します。ぜひ最後までお読みください。
「申し伝える」の意味を紹介!
「申し伝える」とは「言い伝える」の謙譲表現です。相手からの伝言・ことづてを承る意味合いがあり、意思表示のニュアンスもあります。
そもそもが敬語表現であるものの、目上の相手に対する敬意を明確に表すため、丁寧の補助動詞と組み合わせて「申し伝えます」とする用例が一般的です。
「申し伝える」の使い方を解説!
先述した通り、多くの場合「申し伝える」は丁寧語と組み合わせて使われます。
特にビジネスシーンでは目上の相手と話をする場合が頻繁にあり、伝言を依頼される機会も少なくないためです。
具体的には「申し伝えます」のように丁寧語を付し、語感を和らげるのがスタンダード。
対象は上司のように距離の近い人物ではなく、取引先・顧客といった社外の相手である場合が多いです。
「申し伝える」を使う際の注意点
「申し伝える」には注意点もあり、不用意に使うとマナー違反や失礼につながる場合があります。主な注意点は以下の2つです。
「申し伝えさせていただきます」は二重敬語
「申し伝える」は元々、謙譲の敬語表現です。
「申し伝えさせていただきます」は一見丁寧であるものの謙譲語+謙譲語+丁寧語の構成であり、謙譲語が重複しています。
いわゆる二重敬語に相当するため、敬語表現として適切ではありません。
「申し伝えておきます」はNG
「申し伝えておきます」の表現は、目上の相手に対する受け答えとして相応しくありません。
というのも、「~しておく」の表現には「仮に・ひとまず」のような軽いニュアンスが含まれるため。誠実さを欠いた軽薄な印象を与える可能性があります。
上司・先輩のような距離の近い相手であればある程度許容されるものの、外部の相手に対してはNGです。
「申し伝えます」「お伝えします」のように、スタンダードな表現に留めましょう。
「申し伝える」の言い換え表現は?
紹介した意味・使い方に基づき、「申し伝える」の類語・言い換え表現を紹介します。
相手が同格の場合・目上の場合に分けてチェックしましょう。
相手が同格の場合
同格の相手に対する「申し伝える」の主な言い換え表現は、以下の3つです。参考にお役立てください。
●お伝えする
「お伝えする」は「申し伝える」と同様の謙譲語です。敬意の対象は伝える相手ではなく、伝言主に向けられています。
ビジネスシーンでは「お伝えします」のように言い換えられるのが一般的です。
●伝え申す
「伝え申す」は「申し伝える」と同義の表現です。「申し伝える」との違いとしては動詞部分ではなく、補助動詞に謙譲表現を適用しています。
補助動詞「~(し)申す」は「言う」の謙譲語ではなく、「いたす・してさし上げる」といった意味合い。武士言葉に代表される、やや古めかしい言い回しです。
上記の理由から、現代では「伝え申す」よりも「申し伝える」の表現が定着しています。
●申しつける
「申しつける」は「言いつける」の謙譲表現です。
言い渡すの他に命令する・指示するといった意味合いを含むため、伝言を承る際の一言としては必ずしも適切とは言えません。
伝言主から上下関係について疑われる可能性もあるため、「お伝えします」のように無難な表現を選びましょう。
相手が目上の場合
目上の相手に対する「申し伝える」の主な言い換え表現は、以下の3つです。参考にお役立てください。
●伝えます
「伝えます」は「伝える」の丁寧表現です。「申す」に含まれる謙譲語の要素がなく、フラットに近いな印象を与えます。
一方で相手に対してへりくだる姿勢がないため、ビジネスシーンには適していません。
あくまでアルバイト同士の会話・メール・電話程度に留めましょう。
●申し伝えました
「申し伝えました」は、既に伝言済みである旨を知らせるための一言です。
言づての内容が重複しているような場合、発言主に知らせて無駄を省略するために適しています。
場合によっては差し出がましく聞こえる可能性があるため、タイミング・言い方には要注意です。
●ご伝言を承りました
「ご伝言を承りました」は、目上の相手による伝言を承知した旨の一言。
基本的には電話応対を前提とし、メール・対面でのやり取りには適していません。
留守番電話における伝言録音時の自動音声「メッセージをお預かりしました」に近いイメージです。
「申し伝える」の例文2選!
最後に、「申し伝える」を文章の中に組み込んでみましょう。例文を2つピックアップします。
例文
「高橋部長が帰社されましたら、お電話いただけますでしょうか」
「かしこまりました。高橋に申し伝える旨、承ります」
例文
「ご用命を承りました。担当者に申し伝えますので、後ほど回答させていただきます」
まとめ
「申し伝える」は原型のままではなく、主に丁寧語と組み合わせて使うフレーズです。
原型を理解した上で、相手に合わせて適切に言い換えられるように備えましょう。