職場の先輩に対し、「いかがいたしましょうか」とたずねた経験のある方は少なくありませんよね。
「いかがいたしましょうか」は敬語表現であるものの、常用するにはリスクを伴います。特に、上司に対して使うのはおすすめできません。
当記事では「いかがいたしましょうか」の正しい意味・使い方・言い換え表現などを紹介します。
「いかがいたしましょうか」の意味を解説!
そもそも、「いかがいたしましょうか」はどんな意味の表現であるかを整理しましょう。
意味とニュアンス・敬語表現としての位置づけを解説します。
指示・判断を仰ぐ意味
「いかがいたしましょうか」は、目上の人物に指示・判断を仰ぐための一言です。
自分が何をすべきかをたずねたり、あるいは責任者に対して選択・判断を促したりする意味合いがあります。
根回しや意思疎通がある程度できていない場合、相手に丸投げする印象を与える点で要注意です。
「どうしましょうか」よりも丁寧な敬語表現
「いかがいたしましょうか」の敬語分類は謙譲語+丁寧語であり、異なる敬語分類を組み合わせた連続敬語です。
「いたす」は動詞「する」の謙譲語。丁寧語「ます」+疑問形の「か」を組み合わせたフレーズであり、丁寧語「どうしましょうか」よりも高い敬意を表します。
「いかがいたしましょうか」の使い方・注意点を紹介!
先述した意味に基づき、「いかがいたしましょうか」の使い方・注意点を紹介します。
詳細は以下の通りです。
「いかがいたしましょうか」は上司に使える?
「いかがいたしましょうか」は敬語分類の上で非常に丁寧な組み合わせであるものの、ベストの表現ではありません。
というのも、判断を委ねるニュアンスがあるため。
特に一から十まで全て指示出しを求めるようなスタンスだと、上司からの評価は高確率で下がってしまいます。
実際には「いかがいたしましょうか」もある程度許容されているものの、積極的に使うのは避けましょう。
「いかがいたしますか」はNG
「いかがいたしましょうか」と似た言い回しのひとつに「いかがいたしますか」がありますが、NG表現です。
疑問詞「か」につなげるためには、助動詞「ます」を未然形の「ましょう」に変化させる必要があります。
「いかがいたしますか」は助動詞が「ます」のままであり、日本語表現として正しくありません。
実際のところ、アルバイトであれば「いかがいたしますか」も許容されています。
ただし不勉強な印象を与えるほか、語感の上でもやや乱暴です。
「いかが致しましょうか」の表記は避ける
「いかがいたしましょうか」の代わりに「いかが致しましょうか」を使うのは好ましくありません。
というのも同音の動詞・補助動詞がある語句については、文部科学省によって表記の要領が定められているため。
「いたす」の場合、詳細は以下のとおりです。
・補助動詞として使う場合・・・平仮名表記「いたす」
・動詞として使う場合・・・漢字表記「致す」
以上より「いかが致しましょうか」ではなく、「いかがいたしましょうか」を使う方が妥当です。
「いかがいたしましょうか」の言い換え表現をチェック!
紹介した意味・使い方に基づき、「いかがいたしましょうか」の言い換え表現をチェックしましょう。
主な表現は以下の3つです。
いかがなさいますか
「いかがなさいますか」は、尊敬語+丁寧語の連続敬語表現。
「いかがいたしましょうか」が自分を為手とみなすのに対し、「いかがなさいますか」の動作主体は声がけする目上の相手です。
指示を伺うよりも、判断・決断を仰ぐ使い方に該当します。
ご判断をお願いします
「ご判断をお願いします」は、シンプルに判断を仰ぐための言い回し。
責任者・決裁者としてのジャッジをお願いする表現です。
先述したように、判断に必要な情報集め・段取りを済ませておかないと、丸投げの印象を与えてしまいます。
上席者がYES・NOのみで判断できるよう、前もって準備しましょう。
ご指示をお願いします
「ご指示をお願いします」は、目上の相手に指示を仰ぐための一言です。
「ご判断をお願いします」の場合と同様、丸投げにならないよう配慮するのがポイント。
自分はこのように考える・こんな風にアクションしたいといったビジョンを提示した上で声がけすると理想的。
ただし、入社1ヶ月目の新入社員のように全く知識のない状態であれば、提案を控える方がいい場合もあります。
「いかがいたしましょうか」はビジネスメールで使える?
一般的に「いかがいたしましょうか」は話し言葉であり、ビジネスメールの文言としては相応しくありません。
特に外部・上司に対しては厳禁で、馴れ馴れしく非常識な印象を与えてしまいます。
距離の近い同輩・先輩なら許容される場合があるものの、会社のメールシステムやサーバーを利用する以上、避ける方が無難です。
「いかがいたしましょうか」より丁寧な敬語表現
先述したように、「いかがいたしましょうか」は必ずしも丁寧な表現とはいえません。
必要に応じてより丁寧な敬語表現に言い換えましょう。
目上の人物に適した表現としては、尊敬語「いかがなさいますか」が挙げられます。
上司や外部の相手にも使える丁寧な言い回しです。
注意点として、そもそも下位の人物が格上の相手に判断を促すシチュエーションは多くありません。
積極的な利用は控えましょう。
「いかがいたしましょうか」の英語表現
最後に、「いかがいたしましょうか」の英語表現を紹介します。
・What shall we do?
(何をしましょうか)
・“What do you make of this?”
(どのようにお考えですか)
まとめ
「いかがいたしましょうか」は敬語表現であるものの、あまり好ましい聞き方ではありません。
特に目上の相手に対して使うのはリスクを伴うため、積極的な利用は控えるか、別の表現に言い換えましょう。
当記事を参考に、「いかがいたしましょうか」を適切にご活用ください。