由縁のある人に対して何らかの報告をする際、一言「運びとなりました」と添える場合がありますよね。
開業・株式上場といっためでたい機会に使われる場合が多い一方、退職・転勤などの顛末報告に留まる場合もしばしばです。
当記事では「運びとなりました」の正しい意味・使い方・組み合わせフレーズなどを紹介します。
「運びとなりました」の意味を解説!
「運びとなりました」とは、決定した内容を伝えるための言い回し。
「決定しました・決めました」といった表現と比べて成り行き・顛末を客観的に伝えるトーンで、柔らかい印象を与えます。
日常の内容は対象外で、会社としての大きな出来事や、個人の人事異動・結婚といった節目に関する内容が中心です。
「運びとなりました」の注意点は?
「運びとなりました」は無条件に使えるわけではありません。
注意すべき点を2つ紹介しますので、参考にお役立てください。
悪いことに対しては使わない
いわゆる悪いこと・好ましくないことは、「運びとなりました」の対象外です。
単なる顛末報告に留まる場合もあるものの、基本的には好ましい出来事・めでたい内容を伝える用法が適しています。
日常の些細なこと・個人的な内容も対象として相応しくありません。
「次第となりました」はNG
「運びとなりました」の代わりに「次第となりました」と表現する例がありますが、不適切につきNGです。
「以上となります」のような誤った日本語と同質であり、いわゆる若者言葉に分類されます。
「運びとなりました」に近い表現としては「次第です」「次第でございます」などが挙げられます。
ただし「運びとなりました」とは異なり、良くない内容に関しても使われるため、同義ではありません。
「運びとなりました」の使い方を場面別に紹介!
紹介した意味に基づき、「運びとなりました」の使い方をチェックしましょう。
主な使い方を場面別に解説します。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンにおける「運びとなりました」の主な用例は以下の3つです。各表現の詳細を解説します。
●会社設立・移転の報告
会社設立・移転に関する報告は、「運びとなりました」の代表的な使い方のひとつです。
会社にとっての大きな節目であり、一般的には記念すべき出来事とみなされます。
具体的には株主向け報告書のほか、企業HP・公式SNSアカウントなどで告知される場合が多いです。
●プロジェクト発足・終了の報告
社内外を問わず、プロジェクトの発足・終了は企業にとっての大きなイベントです。
プロジェクトに関する顛末は株主・取引先などに報告されるべきであり、「運びとなりました」と述べるに値します。
株主向け報告書・企業HPなどに掲載される場合が一般的です。
●イベント開催の報告
会社を上げてのイベントは企業としてのトピックスです。
規模の大きいイベントだと外部の参加者・出席者を招いたり、スピーチや講演を依頼したりする場合もあります。
特に出演を依頼する場合は準備の段階から呼びかけを行い、「イベント開催の運びとなりました」と伝えるプロセスが欠かせません。
個人・プライベートでの使い方
個人・プライベートにおける「運びとなりました」の主な用例は以下の3つです。各表現の詳細を解説します。
●退職の報告
由縁のある人物に対し、退職を報告する際には「退職する運びとなりました」のように伝えましょう。
特に、在職時お世話になった相手には優先して報告するのがマナー。
改めて感謝の意を伝えると喜ばれます。
●引っ越し・転勤の報告
引っ越し・転勤の報告時に「運びとなりました」を使ってもOKです。
引っ越し・転勤の理由が必ずしも良いものとは限りませんが、大きな節目の顛末報告として使う分には構いません。
異導に伴う影響の大きい相手・お世話になった人物を優先して報告しましょう。
●結婚の報告
一般的に日々の個人的な出来事を報告するのは好まれませんが、結婚のように大きな節目は例外です。
結婚の報告時には、「結婚する運びとなりました」のように一言添えましょう。
所縁の深い人物・お世話になった人物を優先して報告するのが望ましいです。
「運びとなりました」の組み合わせフレーズをチェック!
紹介した意味・使い方に基づき、「運びとなりました」の組み合わせフレーズをチェックしましょう。
詳細は以下の通りです。
入籍する運びとなりました
「入籍する運びとなりました」は、結婚を知らせる際の決まり文句です。
「結婚しました」と端的に伝えるよりも奥ゆかしく、品を感じさせる点でよく好まれます。
口頭で述べるにはやや堅苦しいため、文書で伝える用法が一般的です。
開店する運びとなりました
「開店する運びとなりました」は、店舗オープンを告知する際の決まり文句。
所縁のある相手に限らず近隣の住人に宣伝したり、HP・SNSなどを利用して広く伝えたりする場合もあります。
移転する運びとなりました
「移転する運びとなりました」は、オフィス・店舗といった拠点の移転を告知するための言い回し。
口頭で伝えるにはやや回りくどい表現のため、文書・HPなどに記載する文言に適しています。
移転先の情報もセットで開示するのが一般的です。
変更する運びとなりました
「変更する運びとなりました」は社名・屋号・組織構成といった、大がかりな変更に関する告知の一言。
内部に留めるにはインパクトが大きく、ステークホルダーに周知すべき状況が該当します。
たとえば株主・取引先・金融機関といった対象が代表的です。
「運びとなりました」の類義・言い換え表現を紹介!
「運びとなりました」の主な類義・言い換え表現は以下の2です。
各表現の詳細を解説します。
(~の)次第です
「次第です」は、「運びとなりました」に近い感覚で使えるフレーズ。
「運びとなりました」との違いとしては、あくまで顛末の報告を目的とする点が挙げられます。
めでたいこと・喜ばしいこと以外にも使えるため、ビジネスシーンでも使いやすいです。
決まりました
「決まりました」は、決定事項をストレートに伝える一言。
特に婉曲表現の必要がない、社員・スタッフ間での連絡に適しています。
企業HPにおいても商品名・サービス名などを発表する際に「決まりました」と表現する場合があり、必ずしも内向きの言い回しとは限りません。
「運びとなりました」の例文3選!
紹介した基礎知識に基づき、「運びとなりました」を文章の中に組み込んでみましょう。
例文を3つピックアップします。
例文
おかげさまで、この9月に入籍する運びとなりました。
改めてよろしくお願い申し上げます。
例文
N商事は10月1日をもちまして、東京証券取引所プライム市場に上場する運びとなりました。
変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。
例文
事業所移転に伴い、4月1日より下記住所にて営業する運びとなりました。
今後ともお引き立ていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
「運びとなりました」の英語表現
最後に「運びとなりました」の英語表現を紹介しますので、参考にお役立てください。
・It is our pleasure to announce that~
例)
“It is our pleasure to announce that Recital Party will be held at Big Studio.”
(この度ビッグスタジオにて、リサイタルパーティーを開催する運びとなりましたのでお知らせいたします)
・One have decided~
例)
“We have decided to move our office to Shinagawa.”
(オフィスを品川に移す運びとなりました)
まとめ
「運びとなりました」は、決断や決定事項をやんわり伝えるのに適した表現です。
情報を受け取る側の立場を考慮するものであり、社会人としてのマナー・たしなみとも言えます。
当記事の内容を参考に、「運びとなりました」を適切に活用しましょう。