アドバンテージはビジネス用語としてよりも、むしろカタカナ語として広く日常に浸透している言葉です。
そこで、ビジネスシーンにおけるアドバンテージの意味・意義というものに注目してみましょう。
アドバンテージの意味とは?
アドバンテージの意味や語源は何なのか解説していきます。
何となく英語由来であろうということは誰もが知っていますが、正確なところまで把握している人は意外と少ないものです。
日本語で言うと?
アドバンテージを日本語で表現すると「長所・強み・利点・優位性」といった意味が当てはまります。
ニュアンスとして大事なのは単純な強み・利点というよりも「他者と比較した際に秀でた長所を持っている」という色合いが強い点で、これが一歩踏み込んだ表現の「優位性」という訳につながっています。
語源・由来をチェック
日本語表現で用いられるアドバンテージは、英語の“advantage”に由来します。
語源を紐解くと古期フランス語に遡り、「~に先行する」の意味で使われていました。
vantageでも良い?
英語には“advantage”の類義語として“vantage”という単語があります。
“vantage”の意味そのものは「良い場所・立場」「利点・有利さ」というもので、“advantage”とほとんど同じです。
ただし会話における実用性は低く、同じニュアンスを表現する場合は“advantage”を用いるのが一般的といえるでしょう。
ビジネスによるアドバンテージの使い方と例文
ここでビジネスシーンにおけるアドバンテージの使い方をわかりやすくするため、例文を3つご紹介します。
例文
当社はさつまいもを使ったスナック菓子の分野でA社・B社と競合しているが、この春にブランド芋を採用した新商品をリリースしアドバンテージを握る算段だ。
例文
ゴルフ用品といえば我が社の名前が出るくらいに継続してCMを出してきた。創業30周年を迎えた今、知名度のアドバンテージを活かして新たな業態にチャレンジしよう。
例文
私は優先株を持っているので、一般株主よりもさらに多くのアドバンテージがある。
スポーツの世界ではアドバンテージは様々な意味がある
ここでちょっとビジネスシーンから視点を移して、スポーツの世界をチェックしてみましょう。
スポーツにおけるアドバンテージは非常に便利な言葉です。
日本語であれば「敵方に対する優位性」などについて長い言い回しが避けられない状況説明も、アドバンテージの一言で済ませられる場合が多々あります。
サッカーやラグビーでは「審判の判断」で使われる
サッカーやラグビーにおけるアドバンテージは少々特殊で、反則行為があった場合に審判が即座に試合を止めるのでなく、反則の適用を保留することを指します。
具体的にはゲーム中に反則を受けたチームが試合を中断されることによって、流れがストップしチャンスを逃すことにつながる可能性が高いと判断される場合に使われます。
例えば攻撃側が優勢の際に、守備側が故意の反則を行って敵の勢いを止めようとするシーンはしばしば見られます。
この際、機械的に試合を中断すると「攻撃側に本来あったはずの得点チャンスが損失してしまう可能性がある」とみなされるのです。
多少の反則があっても即座にペナルティを適用しないという審判の状況判断が「アドバンテージを取る」という行為の本質です。
卓球やテニスでは「スコア用語」で使われる
卓球やテニスにおけるアドバンテージはいわゆるスコア用語です。
敵方と自分がポイントを取り合いデュース(決勝直前の同点状態)にもつれ込んだ後、1ポイント先取することを指します。
「拮抗状態から優位性を得る」というニュアンスだと解釈すればわかりやすいでしょう。
野球では「クライマックスシリーズ」で使われる
野球におけるアドバンテージは特殊な使われ方をしています。日本プロ野球界の祭典「クライマックスシリーズ」でのみ運用される概念で、高校野球でもメジャーリーグでも通用しません。
レギュラーシリーズで優勝したチームがクライマックスシリーズに進出した際に、優遇措置としてシリーズの最初から1勝している扱いになるというものです。
クライマックスシリーズで優勝するには4勝する必要があるため、予め1勝を挙げているというのは大きな優位性といえるでしょう。
この用例のアドバンテージは日本独自のガラパゴス的な内容ですが、それでもシーズンになると飛び交う頻度が一気に増す言葉です。
アドバンテージと類義語の使い分けは必要?
続いてアドバンテージの類義語をチェックしておきましょう。
ここでは類義語として、英語に由来するプロフィット、ベネフィット、メリットという3つの言葉をご紹介します。
プロフィット
英単語“profit”に由来する「プロフィット」の意味は利益・利潤・収益です。
主に経営・会計に関する言葉であり、ビジネスシーンで使われる場面が多いといえます。
ベネフィット
英単語“benefit”に由来する「ベネフィット」の意味は利益・恩恵・便益です。
経理会計的な利益だけでなく、便利さや快適さなどの数値化しにくい恩恵なども含まれるのが特徴です。
メリット
英単語“merit”に由来する「メリット」の意味は功績・利点・長所です。日本においては「デメリット」の対義語としてのイメージが強く、損得を説明する際に用いられることが多い言葉です。
アドバンテージと上記の類義語とはそれぞれ意味に違いがあることがわかります。
また、アドバンテージのように「他者に対する優位性」というニュアンスを持つ類義語はありません。
つまり、両者の使い分けは必要と結論づけられます。場面に応じて適切に使い分けましょう。
アドバンテージの対義語や反対語をチェック
類義語に次いで、対義語や反対語をチェックしてみましょう。
アドバンテージの対義語・反対語は英語単語“disadvantage”のカタカナ語である「ディスアドバンテージ」です。
ディスアドバンテージの意味は「不利益や損失を被る」「不利に立たされる」というものですが、日本語表現の上では使われることは多くありません。
同様の表現をする場合はディスアドバンテージではなく、「損失を被る」「相手にアドバンテージを奪われる」という言い回しがされることが多いでしょう。
外来語を輸入しても、対義語や反対語もセットで浸透するとは限らないのも日本語の特徴といえます。
ニュースで見かける「take advantage of」の意味と使い方
英語の“advantage”を使った熟語の中でも“take advantage of~”は最も有名なもので、「~を利用する・駆使する」「~の弱みにつけ込む」といった意味があります。
この2つが一般的な用法ですが、政治問題など力関係が作用する題材では「~を巧みに利用する」「~を食い物にする」といった強いニュアンスを伴う場合もあります。
“take advantage of~”が日本語圏のニュースで使われることはほぼありませんが、英語圏のニュース報道ではしばしば使われることがある言い回しとして覚えておきましょう。
まとめ
スポーツが好きな方にとっては馴染みやすい言葉ですが、ビジネスシーンでの用法はまた少し異なります。
アドバンテージは日本語で説明が必要な要素の多くを省略できる非常に便利な言葉です。
しかし状況に応じて意味が変わる場合もあります。場面や前後関係を正しく理解し、適切に運用していきましょう。