ビジネスシーンにおいて話し合いが行われる際にはミーティングといったりディスカッションといったり、内容や状況に応じていくつかの呼び方が存在します。
そんな呼称の1つに「カンファレンス」というものがあります。この呼び方は定着しているとまではいえませんが、今後浸透していく可能性もあり知っておいて損はないでしょう。
この記事ではカンファレンスについて、関連語などを交えて解説していきます。
カンファレンスの意味とは?略語は「カンファ」でOK!?
まずはカンファレンスの意味をチェックしましょう。
また、略語としての「カンファ」という呼び方についても併せて見ていきます。
英語「Conference」に由来
カンファレンスは英単語“Conference”に由来するカタカナ語です。
“Conference”の語源は「物を一緒に運ぶ」というもので、これが転じて「複数の人間で物事を進行する・協力する」といった意味合いになったのです。
カンファレンスとは集まって話し合うこと
先の項で述べたように、カンファレンスは複数の人間が集まって物事を進めていくという性質を持ちます。
このことから現在では主に「集まって話し合う」といった使われ方をしています。
使用場面によって使い方や内容の意味が異なる
カンファレンスは便利な言葉で用途が広く、様々な場面で用いることができます。その際、必ずしも「話し合い」や「会議」を意味するとは限りません。
カンファレンスという言葉を使う際にはどのような場面においても、まずは語源である「複数の人間が集まって物事を進めていく」という根本の考え方をきっちり押さえておくとよいでしょう。
なおカンファレンスの略語として「カンファ」という言い方をする場合もありますが、これは医療・看護業界における特有の言い回しです。
一般的なビジネスシーンでは定着していませんので注意しましょう。
医療・看護現場での「カンファレンス」の使い方や例文
医療や看護の現場において、カンファレンスは使われることが非常に多い言葉です。
この分野特有の用法がありますので、是非チェックしておきましょう。
目的とカンファレンスを合わせて使用
医療・看護現場における用法の特徴として、目的とカンファレンスを組み合わせ1つの熟語・イディオムとして使うことが多い点が挙げられます。主な用例を3つ、順番にご紹介します。
チームカンファレンス
「チームカンファレンス」とは、1人の患者に対して特定のポジションや人員を割り当てるのではなく、医師や看護師以外にも介護士・管理栄養士・薬剤師など幅広い役割を持ったメンバーで構成されたチーム体制の元に行う会議のことです。
各分野の知識や知見を活かし、各患者にとって総合的にベストな支援方法を打ち出すのが目的です。
例文
本日、交通事故による右足の複雑骨折で入院してきたAさんに対し、栄養管理と心のケアも含めたチームカンファレンスを行う方針で決定した。
ケアカンファレンス
「ケアカンファレンス」とは、医療や介護の提供者が利用者とその家族、関係スタッフ等に対して情報共有や問題解決を図るための話し合いを行うことを指します。
特に利用者に対しては情報のかたよりを避けるたり、ケア提供の内容が一方的になったりしないように理解してもらう狙いがあります。
例文
交通事故に遭った患者Aさんと、Aさんの家族を交えて関係者によるケアカンファレンスを実施した。リハビリや職場復帰までのプランとスケジュールについても説明し、相互理解を得た。
デスカンファレンス
「デスカンファレンス」とは亡くなった患者の治療や看護について、現場関係者が集まって振り返る反省会議です。
施術や看護の行為における改善点を発見し、サービスの品質向上を図って今後に活かすのが目的です。
例文
2日前に亡くなったBさんのデスカンファレンスを実施し、容態に関するヒアリングのほか、延命措置を図るための投薬およびその要領が最適であったかどうかを検証した。
ビジネスにおける「カンファレンス」の使い方や例文
続いて、主に民間企業などのビジネスシーンにおけるカンファレンスの使い方や例文をチェックしましょう。
オフィシャルな会議で使用
ビジネスシーンにおけるカンファレンスの最もポピュラーな用法が、「オフィシャルな会議」という意味合いです。
つまり部署内やスタッフ同士で行うレベルの打ち合わせやミーティングなどではなく、会社の公式行事として行うレベルの大きな会議を指すものと考えればわかりやすいでしょう。
例文
14日には役員が集まってカンファレンスを行う予定だ。そこで会場準備のため、清掃をきっちり行い設備の点検を済ませておこう。
カンファレンスコール
「カンファレンスコール」とはいわゆる「電話会議」のことです。
カンファレンスコールでは一般の電話とは異なり複数の出席者が同時に通話状態になるため、実際に会議場で全体に向けて発言するのと同じ状況であると考えるべきです。
また出席者の視線や表情を読み取ることができないこともあり、1つ1つの発言を慎重に行う必要があります。
例文
「移動時間とコスト削減のため、今回より支店長会議はカンファレンスコールで行います。」
経営カンファレンス
「経営カンファレンス」とは企業経営に関する会議を指します。
経営方針の決定やガバナンスの強化などといった重要事項が取り沙汰されることが多い会議といえるでしょう。
例文
明日、常務以上の役員層で行われる経営カンファレンスによって来期の経営方針が決定する。おそらくIT活用の強化が正式決定するだろう。
スポーツ界における「カンファレンス」使い方や例文
医療やビジネスの場面以外に、スポーツ界でもカンファレンスはしばしば使われます。
具体例を挙げてご紹介します。
カンファレンスファイナル
「カンファレンスファイナル」はアメリカの男子プロバスケットボールリーグ(NBA)における「NBAカンファレンスファイナル」を指します。
NBAではリーグのことをカンファレンスといい、東西それぞれのカンファレンスを勝ち上がった代表同士が対戦するのが有名なNBAファイナルです。
これに対してカンファレンスファイナルは、東西それぞれのカンファレンス内における決勝戦を指します。
なお、慣用的にNBAカンファレンスファイナルを省略してカンファレンスファイナルと呼ぶことが多いです。
連盟や同盟で使用
スポーツ界におけるカンファレンスは「連盟」や「同盟を」指す場合があります。
この際、国家間の連盟や同盟と区別する意味でも「競技連盟」というニュアンスで解釈するとよいでしょう。
カンファレンスの類語を詳しくチェック
次に、カンファレンスの類語をチェックしてみましょう。
類語との比較によってカンファレンスの性質を詳しく理解することができるはずです。
カンファレンスとミーティングの違い
関係者が集まって話し合うという意味では、「ミーティング」もカンファレンスと同系統の言葉です。
しかしビジネスシーンにおいて、組織全体として何かを公式に取り決めるような会議をミーティングと呼ぶことは基本的にありません。
ミーティングは身内同士の打ち合わせという意味合いが強く、公式な場で重要事項を話し合うことが前提となるカンファレンスとは性質が異なるといえます。
カンファレンスとディスカッションの違い
「ディスカッション」とは討論・議論のことです。カンファレンスを開催する際に議事進行の過程でディスカッションを行うことはあっても、ディスカッションのみで進行プログラムを終えることはないでしょう。
ディスカッションを経て、その結果をどのように取り扱うかというところまで踏み込むのがカンファレンスにおける議事進行といえるでしょう。
またカンファレンスでは必ずしも議論を行うわけではなく、重要な情報を知らせて共有を図るという位置づけの場合もあります。
カンファレンスを用いた言葉の意味
最後に、カンファレンスを用いた一般的な熟語を2語ご紹介します。
カンファレンスセンター
「カンファレンスセンター」は主に中~大規模の会議用スペースを備えた施設を指します。
最近では多目的ホールやイベント会場という意味でも使われる場合があります。
ただこの言葉の原点には単なるレンタルスペースとは異なり「会社行事など、改まったビジネスシーンで提供できる品質がある会場」というニュアンスがあることを押さえておきましょう。
カンファレンスルーム
カンファレンスセンターが建物や施設全体を指すのに対してカンファレンスルームは1つの会議室を指します。
簡単に述べると「会社行事など、公に使えるだけの広さや設備を備えた貸会議室」というニュアンスでよいでしょう。
まとめ
日本においては医療やビジネスでの用途が主とはいえ、スポーツの分野でも聞かれるようになってきており今後も浸透していくかもしれません。
意味だけでなく、語源や性質も押さえておけば様々なシーンで使われるカンファレンスにも対応できるでしょう。