レセプションといえば、催事やパーティーにつきもののカタカナ語ですよね。
特にIT用語のような専門語でもなく平易な言葉のはずですが、催事やパーティー以外でも使われる場合があるようです。
レセプションには複数の意味があるという点に注目し、記事をまとめていきます。
シーンで分けて理解しないと混乱!?レセプションの2つの意味
レセプションには大別して2つの意味があります。
語源と併せてみていきましょう。
「歓迎会・招待会」と「受付・フロント」の意味に分けられる
レセプションが持つ2つの意味は、下記の通りです。
- 歓迎会・招待会
- 受付・フロント
割合として多いのは「歓迎会・招待会」の用法でしょう。特に著名人が開催するレセプションは話題になりやすく、近年ではネットの普及も手伝ってよく聞かれる言葉になりました。
「受付・フロント」は公共施設の受付や、ホテルのフロントなどを指します。
「歓迎会・招待会」よりも語源に近い用法なので、語源を知ればすんなり理解できるはずです。
語源はバレーボールのレシーブを意味「受け取る」
レセプションの語源はバレーボールの動作にあります。バレーボールでは相手側からの打球が床に着く前に受け止める、防御の行為をレシーブといいますよね。
「レシーブすること」という、動名詞に相当するニュアンスがレセプションです。レシーブは英語の“receive”に由来し、「受け取る」という動詞ですよね。
一方レセプションは英語の“receiption”に由来し、「受け取ること」という意味の名詞。語源であるバレーボールと英語表現に立ち帰り、品詞や関係性を把握できれば理解は簡単でしょう。
意味の勘違いがおきやすいレセプションの代表例をピックアップ
レセプションという言葉自体に、宴やパーティーのイメージがありますよね。
レセプションと組み合わせて使う催事用のフレーズもあり、それぞれが用語として成立しています。
意味が重複しているのではないかと思われがちなものもあるので、簡単に解説しましょう。
ウェディングレセプションの意味
ウェディングレセプションとは日本語の「結婚披露宴」のことです。
ちなみに挙式はカタカナ語のフレーズで「ウェディングセレモニー」なので、ウェディングレセプションと間違わないように区別する必要があります。
レセプションパーティーの意味
レセプションパーティーとは会社やお店などといった組織の代表者が、関係者を招待して開催する公式なパーティーのことです。
業界を問わず様々な分野で行われ、いわゆる新商品のローンチパーティーであったり、創立記念日を祝う会であったりと名目や形態も多種多様。
一般的なパーティーと何が違うのかといえば、レセプションパーティーは記念や節目を祝う名目のもと、社会交流を行う公式なパーティーだという点が挙げられるでしょう。
簡単にまとめると、レセプションパーティーとはフォーマルな祝いの会を指します。
身内だけで盛り上がる一般的な宴会、飲み会・コンパなどとは区別する必要があるということですね。
その他のレセプションの付く言葉の意味をチェックしていこう
レセプションと組み合わせたフレーズは他にもあります。
代表的なものをいくつか紹介しましょう。
ホテルなどにある「レセプションルーム」「レセプションホール」の意味
ホテルや結婚式場など格式のある建物・施設は、「レセプションルーム」もしくは「レセプションホール」という空間を設けている場合があります。
レセプションルームとはいわゆる控室のことで、催し物の時間までの待ち時間を寛いで過ごせるように配慮された部屋のことです。
一般的な控室や楽屋などと比べてデザインの格調が高く、いわゆるおもてなしの空間でもあります。
レセプションホールとは、レセプションパーティーなどの公式な催し物の利用に堪え得る中~大規模な空間のことです。来賓・来客を受け入れ、歓迎するためのホールという意味で付けられたことが窺えますね。
美容院やホテルにいる「レセプションスタッフ」の意味
美容院やホテルにはフロント、もしくは受付があるのが一般的ですよね。フロントや受付で来客の取次処理を行う役割が「レセプションスタッフ」です。
レセプションスタッフは女性が多いイメージですが、女性に限定された仕事ではありません。
ちなみに、レセプションスタッフと同じ意味で「レセプショニスト」と表現する用例もあります。併せて覚えておきましょう。
公式なパーティー・宴会「歓迎レセプション」の意味
企業や団体などが、組織ぐるみで誰かを歓迎するパーティーや宴会を「歓迎レセプション」といいます。
自社ビル内で完結するのでなく、ホテルや催事場など外部の施設を借りて実施するのが一般的であるため、公式な行事という位置づけになるのも特徴です。
歓迎レセプションの対象は新入社員であったり、特別な招待客だったりと様々で、会場ではレセプションにおける主賓として丁重に扱われます。
店舗や飲食店などで使われる「オープニングレセプション」の意味
店舗や飲食店など、いわゆる客商売の業態では新規開店や店舗の大幅改装などを記念して、オープニングレセプションを行うことがあります。
オープニングレセプションとは開店・開業に先立ち、関係者や親密な顧客、友人などを招待して行う歓迎パーティーのことです。
規模の大小があるとはいえ、オープニングレセプションの位置づけは対外的にフォーマルなもの。マナーや服装といったドレスコードにも注意を払う必要があります。
レセプションの正しい使い方を例文でチェック
レセプションには2つの意味があると説明しましたね。
2通りの意味について、それぞれ例文を紹介します。
歓迎会・招待会の意味の場合
レセプションを「歓迎会・招待会」という意味で使うケースを想定しましょう。
例文
パチンコ店を居抜きで改装したという珍しいカフェが、我が家の近所に開店予定だ。私も近隣住民ということで、プレオープンに行うレセプションに招待されている。
例文
ファッション業界ではレセプションが盛んに行われている。有名ブランドが自らの服飾デザインに関する歴史を紹介するべく、美術館を借りて代表作などを展示するという大規模なイベントが行われた。オープン前日にはレセプションが開催され、ファッション業界関係者だけでなく多くの著名人が参加したという。
受付・フロントの意味の場合
レセプションには受付・フロントという意味もあります。例文を見てみましょう。
例文
予約していたホテルにスケジュール通り到着できた。まずはレセプションでチェックインを済ませよう。
例文
大きいサロンでは受付を置いている場合が多い。特に人気店だと客が殺到するため、予約や会計といった事務取次だけを担当するスタッフがいるケースもしばしば。このように受付に常駐し、取次業務を専任で行う人員をレセプションスタッフという。
「公式」がカギ?レセプションとパーティーの使い分け方法
シーンごとの用例や組み合わせのフレーズなどをお読みいただいて、既にお気づきの方も多いでしょう。レセプションとパーティーは性質が異なります。
祝賀や慰労がメインであれば、身内だけのパーティーで完結しても一向に構いません。新年会や忘年会などは典型ですよね。
しかしレセプションの本質は語源の通り、受け取ることであり受け入れること。門戸を開いて外部の人々を受け入れる、すなわち「歓迎する・招待する」といったニュアンスが内在しています。
間違いやすいポイントなので重ねて強調しますが、レセプションの本質はお祝いそのものではありません。祝いの機会に併せて門戸を開き、縁のある人々と交流することなのです。
レセプションとパーティーを判別するには、催し物の位置づけは公式か非公式か、すなわち外部の人を招くか否かという点に注目するとよいでしょう。
より簡単な判断材料として、招待状の有無に着目してもよいかもしれません。
求人でみるレセプションの仕事って何をするの?
転職サイトやアルバイト情報誌など、各種求人媒体にはレセプションという仕事の紹介がありますよね。
職種や仕事としてのレセプションは、フロント業務の一種です。美容室の業界用語で紹介したレセプションスタッフとほぼ同義で、受付に常駐して事務業務を行うのが主な仕事内容といえます。規模の大きい企業などは受付を置いているところも多いですよね。
昔でいえばいわゆる「受付嬢」という位置づけのスタッフもいたものですが、現在レセプションスタッフといえば受付業務事務作業のほか、経理会計や予算管理などを行う事例もあります。
簡単にいえば、企業のレセプションとは受付と事務のエキスパートであり、受付嬢というよりも「秘書」に近いということです。
ちなみにレセプションには女性が多いイメージが先行していますが、女性限定というわけではありません。受付嬢という言葉も、今ではもう古くなりつつありますね。
まとめ
レセプションの語源はバレーボールのレシーブであり、英語の“reception”です。レセプションは歓迎や招待、もしくはフロントや受付という2つの意味に大別されます。いずれも根底にあるのは、「門戸を開き、受け入れる」という性質。
「レセプションとバレーボールのレシーブ、一体どこが同じなんだ」と疑問をお持ちかもしれません。疑問をお持ちであれば、いま一度イメージしてみて下さい。
バレーボールのレシーブという行為は相手側、すなわち外部からのボールを受け入れ、味方につなぐ行為です。取りこぼしても、弾き返してもレシーブとはいえませんよね。やはり受け止め、受け入れることが肝心なのです。
門戸を開き、外部の人を受け入れるという点を理解できれば、レセプションの本質を掴んだも同然。レセプションとパーティーの違いについて質問されたとしても、容易に説明できるでしょう。
レセプションとは、決して難解な言葉ではないのです。