近年「ではでは」というフレーズをよく見かけるようになったと思いませんか。理由として、スマホを中心としたインターネットの急速な普及が背景にあることは想像に難くないでしょう。
「では」だけだと、まるで司会者やアナウンサーが使うような堅苦しい言い回しに聞こえますよね。ところが同じ語句を「ではでは」と連続させるだけで、途端にカジュアルな響きに変化します。
「ではでは」とはどんな意味で、どのような時に使われているのでしょうか。改めて身近な用語について考えてみましょう。
「ではでは」の意味と語源をチェック!
そもそも「ではでは」とは造語であり、日本語として元々存在した言葉ではありません。手がかりとして、原型は接続詞「では」であることがわかっています。
まずは「では」の語源や意味を辿り、「ではでは」に関する理解を深めましょう。
「では」の意味とは?
「では」の主な意味は2つあり、1つは区切りをつけて物事を始めたり、終わらせたりするきっかけを表すというもの。司会者やアナウンサーがよく用いる要領ですね。
もう1つの意味は、前に述べられていた内容を踏まえ、次の事柄を導くというものです。論述やスピーチなどで使われることの多い要領といえるでしょう。
「では」の語源は?
「では」の語源は接続詞「それでは」です。すなわち「それでは」の略語が「では」だということですね。従って、「では」と「それでは」の意味も同じです。
「ではでは」の意味
「では」の基礎知識を踏まえ、「ではでは」について考えてみましょう。
「では」は接続詞であると述べました。一方、「ではでは」を接続詞として使うことはありません。
というのも「ではでは」とは、別れの挨拶に特化したフレーズだからです。「では」の持つ区切りのニュアンスを切り取った言葉と考えればよいでしょう。
「ではでは」はいわゆる口語表現であり、特に品詞は定義されていません。「ではでは」に対して便宜的に品詞を当てはめるとすれば、「また今度」「さようなら」などと同様の挨拶言葉であるという性質に鑑みて、間投詞が一番近いと考えられます。
「ではでは」を使うのはどんな時?
「ではでは」のユニークな特徴は口語表現でありながら、主に文章の中で使われる点です。口語表現といえば話し言葉が一般的であり、文面に載せるのにそぐわないとみなされていますよね。
「ではでは」のルーツはメールやSNSといった、近代のネットコミュニケーション媒体にあります。特にビジネス以外の用途でも、手軽かつ気軽に文章を扱えるようになったことは見逃せないポイントといえるでしょう。
以上を踏まえ、「ではでは」が使われる時や場面について見ていきます。
文面の終わり・最後に使うのが一般的
意味を紹介する中で述べた通り、「ではでは」は別れの挨拶に特化したフレーズ。文章の終わりに配置し、締めくくりの挨拶として使うのが一般的といえます。
メールやLINEの終わり・最後に使用
「ではでは」を文章の終わりに配置する媒体は手紙や葉書でなく、メールやLINEなどが主。すなわちインターネットを介した電子コミュニケーション媒体がメインであり、ブログやTwitterなども該当します。
ビジネスにおける書面とは異なり、電子コミュニケーション媒体では日常会話の延長線上で、文章を書き表すのが当たり前になっているということですね。
会話で使われる場合も
メールやSNS以外にも、逆輸入のような形で日常会話において「ではでは」が使われる事例も見られます。
どちらかといえば電話やWeb通話など非対面の会話形式で使われることが多く、直接面と向かった状態で「ではでは」という用例は少ないでしょう。
ビジネスではNG!
注意事項として、ビジネスシーンにおいて「ではでは」と発言することはNGです。「ではでは」のフレーズはあくまで口語表現であり、日常会話だからこそ許容されるもの。
具体的な場面をイメージすれば明らかで、取引先や上司といった相手に対し、別れ際に「ではでは」と声がけするビジネスマンはいませんよね。
上記の例を挙げるまでもなく、「ではでは」をビジネスで使ってはいけないことは誰もが直感的に理解しているでしょう。
「ではでは」と「でわでわ」の違いは?
「ではでは」を発展させ、スラング化したフレーズに「でわでわ」というものがあります。実際に使うかどうかどうかは別として、「ではでは」とセットで「でわでわ」も覚えておきましょう。
「は」を「わ」と表記するのは若者言葉
インターネット上の俗語、いわゆるネットスラングとしてひらがなの「は」を「わ」と表記する手法があります。発音上は判別できないこともあり、正にネットならではの言葉遊びですね。
「は」を「わ」と表記する例はネット以外でも漫画やアニメでも見られ、一種の若者言葉として流通しています。
顔文字を使うパターンもある
「ではでは」および「でわでわ」とセットで、顔文字を使うパターンも。セットで使われる顔文字は特に専用のデザインがあるわけではなく、「さよなら」「バイバイ」などと同じものが多く見られます。
すなわち、広く別れの挨拶を表す顔文字という位置づけです。顔文字だけで「ではでは」や「でわでわ」の語句を表す要領は、特に浸透していないともいえるでしょう。
「でわでわ」は親しい相手に限り使うべき
「でわでわ」はネットスラングであり、「ではでは」よりもさらにくだけた言い回し。原型である「ではでは」自体が口語表現なので、「でわでわ」を使ってよい相手は限られます。
馴染みの深い友人でもない限り、下手に「でわでわ」と発言すると印象の悪化を招いてしまいがち。一方で、ある程度親しい相手に対して「でわでわ」と声がけすることによって、積極的に親近感を表すこともできます。
交流が進み、徐々に距離が近くなってきた相手に対して「でわでわ」と挨拶してみるのも面白いですね。
「ではでは」を使う心理とは?
「ではでは」を使う場面やタイミングに注目すると、疑問が湧いてくる方もいるでしょう。「ではでは」を使ってよい場面、もしくは使用を控えるべきタイミングを判断する材料は、果たして何なのでしょうか。
「ではでは」を使うに当たり、男女で心理面の差があるという意見もあるようです。使用時の心理面に注目しながら「ではでは」について考察してみましょう。
時代の流れから考えてみよう
「ではでは」の使用に関する印象や感触は、時代の流れとともに変化しています。
元々黎明期のメールは、PCを使用したビジネス用途が主流でした。メール媒体の呼称も「電子メール」というのが一般的で、必然的に文章も外向きの堅苦しいトーンであったのです。
当時のメールといえば企業のサラリーマンが使うイメージが先行しており、挨拶言葉の「では」も、用件を済ませた後の締めくくりに使う語句と位置付けられていました。
後に口語表現として「ではでは」が使われるようになっても、当時のイメージが残っている人にとっては「おじさんっぽい」という印象が強いようです。
男女で「ではでは」に対する心理面の差も?
女性は心理的に壁を感じる相手に対して「ではでは」を使う、という説もあります。理由としては、元々「では」が堅苦しい使われ方をされていたことが作用しているようです。
現状分析として、「ではでは」の使用に関する心理面の男女差は希薄になっているといえるでしょう。
ターニングポイントと考えられるのは携帯電話、そしてスマホの登場です。携帯電話やスマホにメールの送受信機能が備わったことにより、メールはPCの専売特許ではなくなりました。
今やメールは日常のコミュニケーション手段として、電話と並ぶ存在になっています。必然的に文字を使ったコミュニケーションの敷居は下がり、若い男女も手軽にメールを使えるようになったのです。
特に近年ではブログやSNSの普及も手伝って、文字によるコミュニケーションはますます身近なものになっています。
以上を踏まえ、「ではでは」のフレーズは男女問わず使われるのが当たり前になっており、男女で心理面の差は少ないと結論付けられるでしょう。
「ではでは」を外国語で表現してみよう
最後に「ではでは」のニュアンスを外国語で表現してみましょう。口語表現で、なおかつ親しい相手にかける挨拶言葉という点を踏まえて紹介します。
英語:“See you again”
・“See you again”
(また会おうね)
中国語:「再見(ツァイチェン)」
・「再見。」
(また会いましょう)
韓国語:그럼 안녕(クロン アンニョン)
・「그럼 안녕」
(じゃあ、またね)