第三者に対して断りを入れる際、「失礼します」と声がけしますよね。「失礼します」を細かく見ると、話に途中から参加する場合や仕事上の出勤・退勤における挨拶の場合など、いくつかの用例があることがわかります。
敬語表現としても丁寧過ぎず、かつ失礼にも当たらない使いやすいフレーズ。
当記事をお読みいただければ、「失礼します」を見直す機会としてご活用いただけるでしょう。
「失礼します」の意味・趣旨は?
「失礼します」を端的にまとめれば、自分の行動によって第三者に影響を及ぼすことを断る言葉といえます。
例えば他人の話を遮ったり、場の雰囲気を変えたり、入室・退室によって環境の変化をもたらしたりといった様々な用法がありますよね。
共通するのは、自分の行動が何らかの影響を及ぼすという点。すなわち自らがもたらすインパクトを考慮し、他者に断りを入れるのが「失礼します」の一言というわけです。
相手に遠慮しつつも、自分の意思を表すニュアンス
「失礼します」の要点として、相手に断りを入れるということが上げられます。加えて断りを入れる行動の裏には、自分の意思を表に出す要素がセットで存在するというのもポイント。
「失礼します」には相手に遠慮する姿勢を見せつつも、自分もしっかり主張するという一種の処世術というべきニュアンスが含まれるのです。
話に割って入る
他人の話に割って入る際、遠慮やお詫びの姿勢を表す一言として「失礼します」と発言するのはマナーの一つ。
近年ではSNSや電子掲示板など、ネット上のやり取りに途中参加する際にも使われる傾向が顕著です。
入室・退室
学校生活であれば職員室への入退室、就職活動であれば面接会場への出入りにおいて、定番の決まり文句が「失礼します」でしょう。
「失礼します」の一言を添えることによって、自分の入室を伝えるとともに遠慮の心情も表現できるのです。
「失礼します」の一般的な使い方を紹介!
「失礼します」の意味や趣旨を踏まえ、どのように使われているかをチェックしましょう。
割って入る時に
相手の話に割り込んだり、あるいは相手のすぐ傍を通ったり際に「失礼します」と声がけするのはよくあるやり取りですよね。
ポイントは、会話や他人のスペースに干渉するという点。関わり方が積極的であるか消極的であるかを問わず、自身が他者に対して干渉するという行為の本質は変わりません。
簡単にいえば、他者に対して干渉し、割って入る行為を詫びる気持ちを表すために「失礼します」と発言するのです。
入室・退室の挨拶に
元々自分がいなかった場所に踏み込む行為は、とりもなおさずアクションの前後で環境を変えることにつながります。
影響の大小はあるにせよ、自分が入室することによって場の空気が変わったり、相手が試験対応のために動き始めたりといった変化が生じるの。
また職場から退勤する際の挨拶では、残る同僚に対して遠慮する気持ちを込めて「お先に失礼します」と発言するはずです。
ともすれば慣例的に実践している挨拶言葉にも、実はれっきとした必要性・意義が存在するといえるでしょう。
「失礼します」はメールやSNS上などでも使われる!
「失礼します」はインターネットにおける頻出ワード。特徴として、ある程度公共性の高い場面で使われるという点が挙げられます。
例えばプライベートで身内同士のやり取りする場合、ネットを経由するとはいえざっくばらんに発言するもの。「失礼します」というと、堅苦しい印象を受けますよね。
ネット上の「失礼します」はマナー言葉の性質があり、公共性を伴うもの。以上を踏まえて具体例を見ていきましょう。
メール・掲示板での用法
「横から失礼します」
メールや掲示板のように、投稿形式で議論や意見交換する趣旨の媒体においては、既に行われている対話や発言に対して横やりを入れる形になりがち。
話に水を差してしまう可能性を認識しながらも、敢えて発言する必要性を感じた場合には「横から失礼します」と前置きした上で、自分の意思を表現するとよいでしょう。
「連投失礼します」
連続投稿を略して「連投」といいます。対話形式の媒体においては、一度発言したら他者が発言するまで投稿を控えるのが一般的。同一の投稿者が連続発言すると公共性が損なわれ、いわゆる「荒らし行為」に相当する扱いになってしまうからです。
一方、操作ミスや情報の漏れ・不足が生じた際には、やむを得ず連投するケースもあるもの。悪意がなく、避けられない発言であることを示す場合には「連投失礼します」と一言添えるのがスマートとされています。
ツイッターでの用法
ネット用語の中でも特徴的なのが、ツイッターにおける「FF外から失礼します」のフレーズ。
ツイッターに代表されるSNSではユーザーの動向を追う行為を表す「フォロー」、フォローを実行しているユーザーを表す「フォロワー」という概念があります。
「フォロー(follow)」および「フォロワー(follower)」の頭文字を取ったものが「FF」というわけです。「FF外」とはすなわち、フォローでもフォロワーでもない、関係性の低いユーザーを表します。
以上を踏まえると「FF外から失礼します」とは、
関係性が薄いにもかかわらず発言し、恐縮している様を表すフレーズだということですね。
「失礼します」は敬語?より丁寧な表現も紹介!
フレーズ「失礼します」は、かしこまった調子の言葉だと位置づけられていますよね。いわゆる慣用句の扱いになっており、敬語表現としての捉え方をする機会は少ないかもしれません。
改めて敬語表現としての「失礼します」を分析するとともに、より丁寧な言い回しも紹介します。
「失礼します」は丁寧語
敬語表現上、「失礼します」は丁寧語に分類されます。一般動詞「失礼する」を変化させたもので、相違点は補助動詞の部分です。
「~する」を「~します」という丁寧表現にしただけのシンプルな変更であり、尊敬表現や謙譲表現と比べると敬意の度合いも控え目。
以上の点から、「失礼します」は敬語表現の中でも、比較的使いやすいフレーズといえるのです。
「失礼いたします」
「失礼いたします」は、「失礼します」の上位互換版というべき表現です。敬語分類も同じく丁寧語で、より丁寧の度合いを強めた表現といえます。
一般的に「~します」よりも「~いたします」の方が丁寧だと認識されているため、取引先や顧客など、外部の相手と別れの挨拶を交わす際に用いるとよいでしょう。
「ご無礼をいたしました」
「ご無礼をいたしました」とは、相手に対して働いた無礼を軽く詫びるフレーズ。
後述の「ご無礼をお詫びします」と比べるとやや軽いトーンですが、深刻な問題でもない限りは「ご無礼をいたしました」くらいの方が話をスムーズに進められるでしょう。
「ご無礼をお詫びします」
相手に対して無礼を働き、自分に明らかな非がある場合は、お詫びや謝罪の言葉として「ご無礼をお詫びします」の一言を入れるとよいでしょう。
「ご無礼をお詫びいたします」もしくは「ご無礼をお詫び申し上げます」ならばより丁寧ですが、かしこまった印象につながるため、加減には注意が必要です。
「失礼します」を使った例文3選!
紹介してきた意味用法を踏まえ、「失礼します」を文章形式で運用してみましょう。
例文
社長、失礼します。おはようございます。本日のスケジュールを申し上げます。
例文
連投失礼します。本文のみで、ファイル添付を失念しておりました。大変申し訳ありません。ダウンロードの上、所定事項をご入力いただきましたら経理部宮田まで返送いただきますようお願い申し上げます。
例文
FF外から失礼します。ネコちゃんの動画を拝見し、ファンになりました!フォローさせていただきたきます!
「失礼します」の英語表現
「失礼します」を英語で表現してみましょう。ほぼ定型化しているので、馴染みのあるフレーズもあるはずです。
・“Excuse me.”
失礼します・すみません・失礼ですが
・“It was a pleasure to see you.”
お会いできて光栄でした。
・“Thank you for your time.”
時間を割いていただき、ありがとうございました。
補足
ビジネスにおいて、別れの挨拶としての「失礼します」に相当する表現は上記のような要領で対応します。“Good-bye”や“See you again.”だとカジュアルな表現とみなされるため、避ける方がよいでしょう。
「失礼します」の韓国語表現
続いて「失礼します」を韓国語で表現してみましょう。
・“실례하겠어요“(シルレハゲッソヨ)
失礼します。
・“실례함니다” (シルレハムニダ)
失礼しました。
・“먼저 실례하겠습니다” (モンジョ シルレハゲッスムニダ)
お先に失礼します。
補足
「失礼」と「실례」の発音は似通っているため、日本人にも馴染みやすいと考えられます。例文ごと覚えるとよいでしょう。
まとめ
慣用的に使われているフレーズや、昔覚えた言葉をブラッシュアップするのは大事なことです。意味や用法だけでなく、敬語分類や言い換え表現まで網羅しておけば、第三者に対しても問題なく説明できるでしょう。
「失礼します」は敬語表現の中でも頻出フレーズの一つ。敬意の度合いや言い換え表現、より丁寧な表現まで網羅しておくことで、状況に応じた使い方ができるようになるはずです。是非マスターしておきましょう。