「ことづける」の意味と使い方を紹介!受身形・例文・類語・英語表現も解説!

第三者に伝言する・メッセージを送る意味で、「ことづける」という動詞があります。近年使われることが少なくなり、特に日常会話ではあまり聞く機会がありません。

一方、ビジネスシーンにおける「ことづける」は、今なお有用です。「ことづける」に似た響きの言葉もあるため、誤用や誤解を避ける必要があります。

以上を踏まえ、当記事では「ことづける」の意味や使い方、誤りの例や類語などを紹介。「ことづける」を正しく使えるように徹底解説します。

この記事の内容

「ことづける」の意味

はじめに、「ことづける」の意味を理解しましょう。漢字表記も把握することで、語句の意味をいっそう正しくつかめるはずです。

「ことづける」は「伝言する」という意味!

「ことづける」とは「伝言する」の意味です。詳しくは「人に頼んで言葉を伝える」というもので、第三者を介したやり取りを表します。

例えば電話の録音機能を利用したメッセージは他者を介さないため、「ことづける」の趣旨に当てはまりません。「伝言」「メッセージ」という言い方はできても、「ことづける」の意味用法には該当しないのです。

「ことづける」の由来は?

「ことづける」の由来は、後述する漢字の「言付ける」「託ける」です。どちらかといえば「託ける」のニュアンスが強く、「第三者に伝言を託す」の意味で浸透しました。

漢字表記・平仮名表記のいずれも、起源や普及の時期は明らかではありません。現代では、漢字表記よりも平仮名表記が一般的です。

「ことづける」の漢字表記と注意点

「ことづける」の漢字表記は「言付ける」「託ける」の2通りです。注意点として、「託ける」には「かこつける」の読み方があります。

「かこつける」は、「口実にする」「こじつける」といったネガティブな意味合い。「ことづける」とは趣旨やベクトルが大きく異なります。したがって、「託ける」の表記は避ける方がよいでしょう。

以上を踏まえ、「ことづける」を漢字表記する場合は「言付ける」を選ぶのが無難です。付言すると、トラブルを避けるためにも平仮名表記するのがベストといえます。

「ことづける」の使い方

続いて、「ことづける」はどのように使えばよいのかをチェックします。ビジネスシーンで使う機会が多いことを前提に、敬語表現と受身形について考えてみましょう。

「ことづける」の敬語表現は?

「ことづける」を丁寧語にすると、「ことづけます」というシンプルな形になります。一般動詞「する」を丁寧表現に変えると「します」になることからも、明らかですね。

尊敬表現・謙譲表現の場合は、名詞形の「ことづけ」を用いるのが一般的です。尊敬表現の場合は「おことづけなさる」「おことづけされる」といった具合に、「ことづけ」に尊敬の接頭語「お」を付けることで「おことづけ」と表現することになります。

一方、謙譲表現の場合は「おことづけいたします」のように、謙譲語+丁寧語でトーンを整えるのが一般的です。

補足すると、「おことづけ」は尊敬語にも謙譲語にもなり得ます。ちょうど「ご紹介」に、尊敬語・謙譲語両方の用法があるのと同じ理屈ですね。

ちなみに、同じ謙譲表現でも「おことづけさせていただきます」という言い回しは、過剰にへりくだる印象を与えるため好ましくありません。「おことづけいたします」の表現がベストといえます。

受身形での使い方は?

「ことづける」の受身形は「ことづけられる」ではなく、「ことづかる」です。「言付かる・託かる」のように漢字を当てはめ、受身形に活用すると理解しやすいでしょう。

具体的な用例として、仮に課長からの伝言を想定すると「~する旨、課長からことづかった」のような形で運用することになります。

「ことづて」との違いは?

「ことづてる」と語感の近い語句に「ことづて」があります。ややもすれば、「ことづてる」と発言してしまうことも。誤解や誤用を避けるためにも、「ことづて」についても理解しておきましょう。

「ことづて」の漢字表記は「言伝」

「ことづて」を漢字表記すると「言伝」です。他者からのメッセージを伝えるという意味であり、「ことづけ」と同義です。

ちなみに「ことづて」と、「ことづける」の名詞形「ことづけ」は同義です。ただし、「ことづて」には名詞以外の品詞がありません。詳しくは次の節で解説します。

「ことづてる」という動詞は存在しない!

「ことづて」の品詞は名詞のみです。したがって、「ことづてる」などの動詞や活用形は存在しません。なまじ「ことづて」と「ことづけ」が同義であるため、かえってややこしい関係にあるといえます。

自分自身で運用する際の工夫例として、「ことづて」は漢字表記で「言伝」、一方「ことづける」を活用する際には平仮名表記する、といった要領で区別すれば間違いを減らせるでしょう。

「ことづける」を使った例文を紹介!

紹介してきた意味と使い方を踏まえ、「ことづける」の例文を3つ考えてみましょう。

例文

「集計シートにミスがあるね!部門Bに設定されてるIF式がヘンだ。このExcelシートの作成担当は?」
「高橋先輩です。今日はお休みですね」
「私は明日出張だから、今の話を高橋君にことづけてもらえる?」

例文

「高橋先輩、課長から集計シートの不具合と、対応の手順をことづてられています」
「課長から伝言があったのね。しかし、『ことづてられています』というのはNGだ」
「えっ、そうなんですか?」
「この場合は『ことづかっています』が正解。まず、類語の『ことづて』は名詞以外の用法がないので、よく似てるけどアウト。もう一点、『ことづける』の受身形は『ことづけられる』じゃなくて『ことづかる』だよ」

「ことづける」の類語・言い換え表現は?

「ことづける」には類語や言い換えの表現があります。動詞である点にも注意しながらチェックしてください。

伝言する

「伝言する」は、「ことづける」に一番近い類語です。「伝言」とは、自分が間に入って第三者の言葉を相手に伝えること。動詞形が「伝言する」に当たります。

「ことづける」と同様、「伝言する」の主体はあくまで人である点に要注意。すなわち留守番電話機能の「伝言」「メッセージ」などが、主体になることはありません。

実際には同等の機能を果たしていても、スマホが「伝言する」あるいは「ことづける」という行為の主体として表現されることはないのです。

伝達する

「伝達する」は「伝える・通達する」という意味です。「伝言する」「ことづける」とは異なり、相手と直接的なコミュニケーションを行うことが必須ではありません。

すなわちメールや文書などの通信の要素が入り込み、先述の留守番電話も対象に含まれます。すなわち通知・通達の事実が最優先され、相手が情報をキャッチしたか否かは二の次になるのです。

「ことづける」との違いを考える上で大事なポイントのため、しっかり押さえておきましょう。

託す

「託す」とは、預けて任せることです。「ことづける」は伝言の行為に限られますが、「託す」の場合は伝言以外にも幅広い場面で使われます。

例えば「託児所」は、赤子や幼児を託す場所ですよね。業務の「委託」も、契約に基づいて業務を託す行為です。

2通りある「ことづける」の漢字表記のうち、1つは「託ける」だと先述しました。やはり「託」の字は、必ずしも伝言を意味するわけではないのです。

「ことづける」の英語表現

最後に、「ことづける」の英語表現を紹介します。

・“ask A to give B a message”
(Aに、Bへのメッセージをことづける)

いくつかある類似表現の中でも、最もシンプルなのが上記要領です。日本語だと「メッセージをことづける」は重複表現ですが、英語の場合は目的語であるメッセージ(message)を省略することができません。

すなわち「メッセージを伝える」という行為と、「AからBへ」という伝達経路を明示する必要があるのです。

英文は情報を全て網羅するので回りくどいという見方がありますが、一方で前後関係が書き出されるため、客観的でわかりやすいという考え方もできます。

まとめ

使う機会が少なくなったとはいえ、「ことづける」は必要な言葉です。動詞形でなくとも受身形の「ことづかる」、もしくは名詞形の「ことづけ」が使われるケースはしばしばあるもの。

また「託す」が「ことづける(託ける)」と相関関係にあることも、教養として知っておくべきことです。

一つの言葉を覚える際には、活用形や類語・言い換え表現などとセットで身につけると理解しやすいでしょう。

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