自分や他人のアクションとつなげて話をする際、「しますので」という言い方をする場合がありますよね。「しますので」は単なる接続詞とは異なり、動詞+接続詞の組み合わせで成り立っています。
「しますので」は敬語の中でもカジュアルな言い回しです。目上の相手に使ってよいか、あるいは社外の相手に使えるかといった部分も気になるでしょう。
上記を踏まえ、本記事では「しますので」を使う上での注意点・類語との違いなどを解説します。ポイントを確認しながら、正しい使い方をつかんでください。
「しますので」の意味を解説!
「しますので」はつなぎの言葉なので、機能や役割を把握することが意味の理解につながります。まずは「しますので」の構成、および構成要素を確認しましょう。
「しますので」を分解してみよう
「しますので」を分解すると、動詞「します」と接続詞「ので」の組み合わせで成り立っていることがわかります。それぞれ、単語ベースではどのような役割なのかをチェックしましょう。
「します」は動詞の丁寧語
「します」は動詞「する」の丁寧語です。「する」は独り言でも成立しますが、「します」の場合は相手に向けて発言することが前提です。
表現上、敬意の度合い自体は高くないものの、敬語である点には注意すべきでしょう。
「ので」は接続詞
「ので」は順接の接続詞です。先に述べられた内容を受け、方向性に沿って流れを汲んだ話を続ける際に使います。
「したがって」「よって」「ゆえに」「から」などと同義と考えるとわかりやすいでしょう。
「しますので」の意味は?
上記を踏まえて「しますので」を簡単化すると、「するので」を丁寧語で表したもの。すなわち「する」+「ので」の内容を、相手に敬意を払いつつ伝えるニュアンスです。
「しますので」の使い方を紹介!
「しますので」の意味・役割を踏まえ、使い方の説明に移ります。使うべき場面・注意点の2つにご注目ください。
目上の相手に使える?
先述の通り、「しますので」は丁寧の敬語表現です。尊敬語・謙譲語のように、明確に相手を立てた表現ではありません。目上の相手に対しては、使える場合と使えない場合があります。
距離の近い先輩や上司であれば使っても問題ありませんが、他部門の上司や社外の人物などに対しては控える方が無難です。
より丁寧な表現もある
「しますので」と同じ敬語分類でも、より丁寧の度合いの高い言い回しとして「いたしますので」が挙げられます。
「いたします」は、「する」の丁寧語としては最上級の敬語。「いたします」と「ので」を組み合わせたフレーズ「いたしますので」は、誰に対しても失礼がないので社内外を問わず使うことができます。
どんな時に使う?
「しますので」を使う場面は、主にアクションを伴う説明をする時です。状況や理由を説明する際、アクションとの因果関係を示す際に使われます。、
仮に「私が担当しますので、あなたには責任がありません」という文章を例に挙げた場合、「私が担当する・あなたは担当外になる・あなたは担当外なので責任を負わなくてもよい」といったロジックが生じます。
上記例文の場合、「私」が担当を引き受けることによって、どのような因果関係が生まれるかを説明しているわけですね。
「しますので」の注意点
「しますので」の代わりに「しますんで」と発言する例がありますが、NGの用法です。いわゆる若者言葉であり、日本語として正しくありません。
漫画やアニメなどで使われることから浸透していったと考えられますが、あくまで日常会話のリアリティーや、登場人物同士の軽妙なやり取りをポップに演出したものです。
「しますんで」は、社会人が表立って使う言葉として相応しくないことを覚えておきましょう。
「しますので」の類語との違いを解説!
「しますので」にはいくつかの類語が存在します。代表的な類語3つについて、「しますので」との違いと併せて紹介します。
「しますので」と「するので」の違い
先述の通り、「しますので」は「するので」の敬語表現に当たります。「するので」には敬語が含まれないので、目下もしくは同格の相手にしか使えません。
意味合いそのものは同じであるものの、敬意の有無に違いがある類語です。
「しますので」と「しますから」の違い
「しますから」は、「しますので」よりもカジュアルな感覚で使われるつなぎのフレーズです。
ポイントは接続詞「から」にあり、基本的には目上の相手に対して使うことができません。端的な例としては「だから」「それから」が挙げられます。
丁寧語の「します」と組み合わせても、カジュアルな接続詞「から」が敬意のニュアンスを打ち消してしまうのです。
ビジネスの場面で「しますから」を使うことは避けるようにしましょう。
「しますので」と組み合わせて使えるフレーズは?
応用編として、「しますので」と組み合わせて使うことの多いフレーズをセットで覚えましょう。主なものを2つ紹介します。
よろしくお願いします
「しますのでよろしくお願いします」とつなげると、自らのアクションに対するリアクションを相手に促す言い回しになります。
例えば「来月から販促キャンペーンを実施しますのでよろしくお願いします」という短文を作った場合、自らのアクションに当たるのは販促キャンペーンの実施です。
一方相手に求めるのは、販促キャンペーンに対する参加や協力といったリアクションということですね。
ご協力ください
「しますのでご協力ください」も、「しますのでよろしくお願いします」とほぼ同じ感覚で使えるフレーズです。
「よろしくお願いします」よりも直接的に協力を求める言い回しなので、どのような形で協力してほしいのかを予め想定しておく必要があります。
協力を促す、すなわち力を借りるということなので、アクションの内容が時間を割いて協力するに値するものであることも条件の1つ。実は意外とハードルの高いフレーズといえます。
「しますので」の例文3選!
紹介してきた知識や事例を踏まえ、「しますので」を使った例文を3つピックアップします。
例文
「課長、月末に開く営業部会議のアナウンス文を作ってみました。チェックお願いします」
「よし、見てみよう。告知文としては若干マズいね」
「どの辺りですか?」
「『開催しますので、ご出席ください』の部分だ。敬語は使ってても、ちょっと上からものを言ってる感じのトーンでしょ」
「『開催いたしますので、ご出席のほどお願いいたします』くらいがいいね。」
例文
部門長の古本です。第3四半期の営業活動を締めくくるため、慰労会を開催しますのでふるってご参加ください。
「しますので」の英語表現
最後に、日本語の「しますので」に相当する英語表現を3つ紹介します。
英語表現上、「しますので」と同じ動詞+接続詞の構成はありません。基本的には接続詞のみで成立する点を押さえておきましょう。
because
“Please cooperate with each other, because we will release the new item.”
(新商品をリリースしますので、相互のご協力をお願いします)
~, so
“I’m planning to hold a party, so I will invite you to it.”
(パーティーを開催しますので、あなたを招待します)
therefore
“I’m ashamed to say that I must be late for the meeting. Therefore, promote dialogue the without me ”
(恥ずかしながら遅刻しますので、私抜きで話し合いを進めてください)
まとめ
何気なく使いがちな「しますので」は、実のところ絶妙な位置づけのフレーズです。
敬語表現ではあるものの使いどころが限られ、関係の遠い相手には使えません。一方で友人同士で使うには、やや丁寧な響きがあります。
距離の近い上司や先輩など、職場の限られた環境で使うのが妥当といえるでしょう。本記事を参考に、「しますので」の適切な運用を心がけてください。