労せずに人の手柄や成果を我が物にしようとする行為は、「人の褌で相撲を取る」とみなされます。
特にインターネットが発達した現代では形態やアプローチが多様化しており、ビジネスモデル・事業戦略・思考法などにおいても「人の褌で相撲を取る」事象が少なくありません。
以上を踏まえ、当記事では現代社会における「人の褌で相撲を取る」の意味・使い方・類語・英語表現などを紹介します。是非ご一読ください。
「人の褌で相撲を取る」の意味を紹介!
「人の褌で相撲を取る」は相撲を語源とすることわざ。語源を踏まえ、ニュアンスを現代の事象に当てはめると理解しやすいです。以下で詳しく解説します。
「人の褌で相撲をとる」の由来
「人の褌で相撲をとる」は、他人の褌(まわし)を借りたまま正当な力士として振る舞う様を表したことわざです。
本来自分のまわしを持たない者は土俵入りを許されませんが、他人のまわしを借りたまま相撲の取り組みに参戦し、成果を挙げようとする狡猾な立ち回りを表します。
「人の褌で相撲を取る」の意味は?
語源を踏まえた上で「人の褌で相撲を取る」のエッセンスをまとめると、「他人の力を借りつつ、得られる成果を我が物とする行為」です。
ビジネスシーンでの例を挙げると、ブランドネーム・のれん・商標権が代表的。
正当な契約・権利が存在しないのに、有名ブランドの名前を借りて自身の商機につなげるような行動は「人の褌で相撲を取る」の典型例です。
「人の褌で相撲を取る」の使い方を解説!
語源・意味を踏まえた上で、「人の褌で相撲を取る」の使い方を解説します。現代の時流を踏まえ、ビジネス・会社での使い方を考えてみましょう。
アイデアの盗用
アイデアの盗用は「人の褌で相撲を取る」の一例。
いわゆる「パクリ行為」のことで、キャッチコピー・販売形態・システムといったさまざまな分野で起こり得る問題です。
映画・音楽ビジネスにおいても映像・楽曲の無断コピー・模倣・流用は権利侵害に当たり、しばしば問題になっています。
他社の成功事例・ノウハウの模倣
アイデアの盗用と同様に、他社の成功事例・ノウハウを模倣する行為も「人の褌で相撲を取る」の一例です。
というのも、他社が成功するまでに投じたコスト・労力などを無視し、成果のみを享受しようとする行為であるため。
ちなみにビジネスシーンにおいて他社のノウハウを正当に利用する場合は、知的財産権・商標権に対するロイヤリティー(権利使用手数料)を支払って権利元の同意を得る要領が一般的です。
便乗商法
便乗商法とは、他者の成功にかこつけて追随する商売の手法。いわゆる「乗っかる」「一枚噛む」といったアプローチのことです。
例えば唐揚げで成功を収めている店の近くに、よく似た味付け・システム・価格帯の唐揚げ店を立ち上げるような事象が挙げられます。
実際のところブームと呼ばれる時期には、タピオカブームの事例で見られたように便乗商法の例が少なくありません。
「人の褌で相撲をとる」の類義・言い換え表現は?
「人の褌で相撲をとる」の類義・言い換え表現で主なものは下記の3つです。それぞれのフレーズについて解説します。
人任せにする
「人任せにする」とは、自力で対応しようとせず他力本願である様。
単に責任逃れを図ろうとする心理状態を表す場合もあるものの、結果として利益を得ようとするなら「人の褌で相撲をとる」のニュアンスに当てはまります。
便乗する
「便乗する」は、いわゆる「乗っかる」「一枚噛む」といった行為です。
例えば自分では言いにくいことを他者に発言させ、責任は発言主に負わせる一方、最終的に得られる成果は自分が享受するといった事象が該当します。
一枚噛む
「一枚噛む」は「便乗する」とほぼ同義です。便乗を宣言する際には、おどけた調子で「一枚噛ませてもらう」といった表現をする場合があります。
ちなみに最近では、芸能人の言い回しによる影響で「乗っかる」といった表現をする場合が多いようです。
「人の褌で相撲をとる」の例文3選!
紹介してきた知識を踏まえ、「人の褌で相撲をとる」の例文を考えてみましょう。
例文
当店のレシピを模倣し、そっくりな味と見た目のメニューを提供しているカレー店が現れた。どうも結構繁盛しているらしい。人の褌で相撲をとるのは許せない。
例文
経営者の中には、人の褌で相撲をとることを常套手段と考える人物もいる。いわく、ただ模倣するのでなくアレンジが大事だという。
例文
彼は一見すると人の褌で相撲をとるスタイルのように思われるが、実のところ最終的には成果を関係者に還元している。ビジネスでは彼のような図太さも必要かもしれない。
「人の褌で相撲を取る」の英語表現
最後に「人の褌で相撲を取る」の英語表現を2つピックアップします。
・“profit at someone else’s expense”
(人の褌で相撲を取る)
・“to plough with another’s calf”
(他人の牛で耕作する)
まとめ
「人の褌で相撲を取る」行為のリスクはあらゆる場面に潜んでいます。
例えばSNSにおいて、正しいネットリテラシーがなければ無意識のうちに「人の褌で相撲を取る」行為を働いてしまう場合も。
他者のツイート・画像を引用するのでなく、コピーして転用した場合は「人の褌で相撲を取る」ことと同じです。
「人の褌で相撲を取る」を単なることわざとみなすのではなく、現代の事象に当てはめつつ、日々の行動に活かしましょう。