当たりを柔らかくするための前置きに使う一言、いわゆるクッション言葉のひとつに「折り入って」 があります。
「折り入って」が使われるタイミングといえば、頼み事・相談などの場合が中心ですよね。いつでも使っていいわけではありません。
「折り入って」と切り出す際には相手との距離・関係にも制限があり、多少なりとも注意が必要です。
以上を踏まえ、当記事では「折り入って」の意味・使い方・組み合わせフレーズ・言い換え表現などを紹介します。ぜひ最後までお読みください。
「折り入って」の意味とは?
「折り入って」とは「深く心を込めて・ぜひとも」といった意味合いです。
品詞は副詞であり、単体で使われることは稀。多くの場合は相談・お願いなどのクッション言葉として機能します。
「折り入って」の使い方を解説!
「折り入って」の意味を踏まえ、どのように使うのかを確認しましょう。主な使用機会・注意点について解説します。
ある程度距離の近い関係性が前提
言葉の性質上、「折り入って」と声がけしてよい対象はある程度距離の近い人物に限られます。
例えば初対面のように、縁遠い相手に使うのはNG。一方で、十分な信頼関係が築かれていれば目上の相手に使っても構いません。
「目上の相手に使うべきではない」との意見もあるものの、あくまで肝心なポイントは相手との距離感です。
目上の相手だからといっても、機械的に「折り入って」の使用を控える必要はありません。
「折り入って」を使うときの注意点
「折り入って」は相手との他ならぬ関係性を前提とする言葉です。「他でもない・深刻な」といったニュアンスを伴うため、安易に使うことはできません。
初対面の相手に使えないのも、上記の理由によるものです。
同じ相手に対して繰り返し「折り入って」と発言するのもNG。メリハリがなくなり、一体何が一番大事な用件なのか不明瞭になってしまいます。
多用せず、特別な用件に限って使うようにしましょう。
「折り入って」と組み合わせて使うフレーズを紹介!
紹介した基礎知識を踏まえ、「折り入って」と組み合わせて使われる場合が多いフレーズを3つ紹介します。
折り入ってお願い
「折り入ってお願い」は頼み事・依頼・申請などの際に、クッション言葉を挟んだフレーズです。
お願いが安易なものではなく、大事な内容であることを前置きするニュアンスが加わります。
折り入ってご相談
「折り入ってご相談」は「折り入ってお願い」と似たイメージがありますが、一般的に目上の相手に対して使うフレーズです。
というのも、謙譲語「ご相談」が含まれるため。「お願い」は上下関係なく使われやすい言葉であるのに対し、「ご相談」の対象は目上の相手に限られます。
「折り入ってご相談」と声がけする相手をイメージすると、主に上司・先輩といった目上の人物であることがわかりますね。
折り入ってお話
「折り入ってお話」はお願い・相談をする場合よりも、内密な話を持ちかける場合に使われる表現です。
例えば機密に関わる話題や第三者の進退・プライベートなど、表立って話せない内容を扱う場合に適しています。
「折り入って」の類語・言い換え表現は?
「折り入って」の類語・言い換え表現は下記の3つです。以下で詳しく解説します。
「改めて」
「改めて」は区切りの言葉として使われる副詞です。
新たに・いま一度といった意味を含み、流れを踏まえた上で仕切り直す使い方が一般的。
「折り入って」と似た部分もあるものの立場によらず使えるほか、表現としても平易で親しみやすいです。
「是非とも」
「是非とも」は「折り入って」とほぼ同義であるものの、度合いとしてはやや軽めの位置づけ。
例えば選挙演説のような、不特定多数の相手に広く呼びかける場合にも使えます。
ちなみに、トーンとしては「ぜひ < 是非 < 是非とも」の順で堅苦しく改まった印象に。
「是非とも」は「折り入って」よりも軽いものの、使える場面はある程度限られます。
「他でもない」
「他でもない」は区切りの副詞として扱えるクッション言葉です。
どちらかといえば、上役に当たる人物が目下の相手に対して使う用法が一般的。
ドラマや小説を例にとると、重要局面で目上の相手が大事な話を打ち明ける際には「話というのは他でもない」と一言かけるのが定番です。
「折り入って」の例文3選!
紹介した知識を踏まえ、「折り入って」を使った例文を3つピックアップします。
例文
「折り入ってご相談したいことがございます」
「おや、改まってどうしたの。聞こうじゃないか」
「ありがとうございます。実は…」
「うむ、どうも深刻な調子だね。場所を変えようか」
例文
「折り入ってお話がありまして」
「あれ、珍しいね。どうしたの」
「はい、実は近々結婚することになりまして」
「おお、本当!それはおめでとう」
例文
「課長、折り入ってお願いがございます」
「なんだい、えらく改まって」
「焼肉おごってください!」
「なんじゃそりゃ!まぁ、たまにはいいか。よし、今日は残業なし!すぐ食いに行くぞ」
「やった、ありがとうございます!」
「折り入って」の英語表現
最後に「折り入って」の英語表現を2つ紹介します。
・“To be honest, ~”
(正直に言うと)
・“May I ask you a very special favor?”
(特別にお願いしたいのですが、よろしいですか)
まとめ
記事の中で述べたように、「折り入って」は特別な折に触れて発するクッション言葉。常用するには相応しくありません。
「折り入って」と声がけすると、相手も身構えます。何か問題が生じたのかと心配する方もいらっしゃるでしょう。時と場合、必要性を見極めて使うことが大事です。