挨拶言葉の1つに「お勤めご苦労様です」というフレーズがあります。
ビジネスシーンで使われることは少ない一方、一部の業界・分野では今も定型の挨拶として健在です。
「お勤めご苦労様です」はどのような場面で使われるのか、またビジネスシーンではどのように言い換えられているのでしょうか。
上記を踏まえ、当記事では「お勤めご苦労様です」の意味・使い方・言い換え表現などを紹介します。ぜひ最後までお読みください。
「お勤めご苦労様です」の意味を解説!
「お勤めご苦労様です」とは、相手の仕事・役割・勤務実績などをいたわる意味。
実際には挨拶言葉として定型化しており、同業者に対する決まり文句として声がけする事例が多く見られます。
詳しくは後述しますが、例としてはヤクザ映画で刑期を終えた親分・幹部格の人物に対し、「お勤めご苦労様です」と声がけする用法が代表的です。
「お勤めご苦労様です」の使い方を紹介!
「お勤めご苦労様です」の意味を踏まえ、具体的な使い方をチェックしましょう。使われることの多い業界・分野についても解説します。
極道社会
「お勤め」は極道社会のいわゆる業界用語で、刑務所での服役を指します。
「お勤めご苦労様です」は服役の義務を全うし、刑期を終えた事実をねぎらう意味で声がけするのが主な使い方です。
ちなみに服役・出所のニュアンスを伴わない挨拶言葉として、「お疲れ様です」の代わりに「ご苦労様です」もしばしば使われます。
警察・役所
「お勤めご苦労様です」は主に警察・役所で使われる公務員用語の1つです。
上司・上官・同僚の区別なくフラットに使われるため、一般企業のビジネスマナー・敬語表現とは異なります。
一般企業や店舗などでは言い換え表現に切り替える
一般企業や店舗などではいわゆるビジネスマナーが適用されるため、「お勤めご苦労様です」のような特定の業界用語は歓迎されません。
そもそも業界用語であることを知らない相手からは、敬語表現を無視した態度で失礼・マナー違反とみなされる可能性があります。
一般企業や店舗などにおける対応要領については類語・言い換え表現の節で後述しますので、ぜひご参照ください。
「お勤めご苦労様です」には注意点もある
先述の通り「お勤めご苦労様です」は業界用語であり、一般的なビジネスマナーの上では歓迎されません。なぜNGなのか、注意点を詳しく解説します。
目上の相手に対するNGワードが含まれる
「お勤めご苦労様です」には目上の相手に対するNGワードが2つ含まれます。
まず「お勤め」は、上司が部下に対して使う言葉。接頭語の「お」は敬語ではあるものの、丁寧語であり相手を敬うニュアンスはわずかです。
「ご苦労」も目上の相手には不適切。上の立場の人物が目下の相手に対して使う表現であり、「ご苦労様」の言い方でも本質は変わりません。
ビジネスシーンには不相応しくない
一般企業や店舗といったビジネスシーンにおいて、「お勤めご苦労様です」は一般的な表現ではありません。
対象が目上の人物であってもなくても、「お勤め」「ご苦労」の表現はビジネスシーンになじまなくなっています。
相手をいたわる意味での挨拶は「お疲れ様です」が一般的です。
「お勤めご苦労様です」に対する返し方は?
「お勤めご苦労様です」はねぎらいの言葉であり、相手の気遣いに感謝し、お礼の言葉で返すのが礼儀。
一方、実際のところは定型挨拶として使われている面も少なくありません。
定型挨拶の返し方としては、公務員なら「ご苦労様です」「お互いに」といったものが妥当。
極道社会の場合は「出迎えご苦労」「ご苦労さん」といった返し方が該当します。
「お勤めご苦労様です」の類語・言い換え表現は?
「お勤めご苦労様です」の類語・言い換え表現で代表的なものは下記の2つです。
お疲れ様です
「お疲れ様です」はビジネスシーンにおける定型フレーズの1つで、職場用の挨拶として定着しています。
相手の働きや疲れをねぎらうというよりも、むしろ「こんにちは」「お互い精が出ますね」といった挨拶のニュアンスの方が強いです。
長い間お疲れ様でした
「長い間お疲れ様でした」は、主にビジネスシーンで退職・退任する社員・役員などに対してかける言葉です。
「お疲れ様です」よりも慰労のニュアンスが強く、惜別・お別れの気持ちを表す意味もあります。
「お勤めご苦労様です」の例文3選!
最後に「お勤めご苦労様です」の例文を3つピックアップします。
例文
「お勤めご苦労様です」
「おう、出迎えご苦労さん」
「お帰りをお待ちしておりました!」
「ありがとヨ。ふぅ~、シャバの空気は美味いぜ」
「なんとベタな台詞を…」
「うるせい、お前もブチ込まれてみろってんだい!」
「ああ、親分のツッコミ、懐かしいッス!」
例文
「お勤めご苦労様です」
「ご苦労様。仕事には慣れたかい?」
「いいえ、思ったよりキツいですね」
「そうでしょ。公務員も昔ほど優遇されてないからねぇ。1人当たりの仕事も結構多いのよ」
「ひとまず、一人前になるまで頑張ります」
「おっ、いいねぇ。期待してるよ!」
例文
「お勤めご苦労様です」
「ああ、交代の時間か。ご苦労様」
「何か引継ぎ事項はありますか?」
「うん、一応報告ね。1件落とし物が届けられたから、落とし主が訪ねてくるかもしれない」
「承知しました。後はお任せください」
まとめ
「お勤めご苦労様です」を使う場面は限られるものの、挨拶言葉の1つとして今も健在です。
ビジネスシーンで使わないとはいえ、正しい意味・用法を知っておく必要はあると考えられます。当記事を参考に、ぜひ適切な使い方を身につけましょう。