会話において早い段階で本題に入る際、「早速ですが」と切り出しますよね。
よく使われる便利なフレーズである一方、文書では使えないといった注意点もあります。
当記事では「早速ですが」の意味・使い方・注意点などを詳しく紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「早速ですが」の意味を紹介!
最初に「早速ですが」の意味を紹介します。意味・性質・役割などをイメージしながらチェックしましょう。
単語「早速」の意味をチェック!
「早速」は早い・速いの2語を組み合わせた熟語で、名詞・副詞の2語があります。
意味・性質は同様で、名詞は速やかで素早いさま。副詞はたちどころに・すぐさま・速やかにといった意味を表します。
本題に入る・核心に迫る前の前置き
「早速ですが」は本題に入る・核心に迫る前の前置きであり、いわゆるクッション言葉の1つです。
クッション言葉は、すぐさま本題を切り出すと気まずい・抵抗があるといった場合に使う一言。相手を驚かせないよう配慮する側面もあります。
ただし「早速ですが」は本題に入るニュアンスを先んじて表す一言でもあるため、一般的なクッション言葉とは同一視できません。
「早速ですが」の使い方を解説!
紹介した意味を踏まえ、「早速ですが」の具体的な使い方を解説します。詳細は以下の通りです。
「早速ですが」を使う場面
「早速ですが」を使う主な場面としては、下記の2つが挙げられます。
商談・交渉・依頼
電話
いずれもある程度距離の遠い外部の相手を想定した状況であり、身内に対しての用法は一般的ではありません。
「早速ですが」の注意点
敬語分類上、「早速ですが」は丁寧語に該当します。
目上の相手にも使えるものの、あくまで対面・電話での話し言葉を前提とする条件付きです。というのも、語句の性質としてあまり丁寧な表現ではないため。
「早速ですが」には相手の意向を聞く前に、先んじて自分の言い分を伝えようとするニュアンスが含まれます。
マナーの上でも、メール・文書での使用はNG。特に外部向けの送付状・送り状での使用は控えましょう。
「早速ですが」の類語・言い換え表現をチェック!
紹介した意味・使い方を踏まえ、「早速ですが」の類語・言い換え表現をピックアップします。主なフレーズは下記の4つです。
早速で恐縮ですが
「早速で恐縮ですが」は、2つのクッション言葉である早速ですが・恐縮ですがを組み合わせた表現です。
「早速ですが」を単体で使うよりもかしこまった印象を与えられるため、丁寧な姿勢を表したい場合に適しています。
早速ではございますが
「早速ではございますが」は、「早速ですが」の文末「ですが」を「ございますが」に変えた表現です。
どちらも丁寧語のため敬語分類上の変化はないものの、より丁寧な印象を与えられます。
一方で話し言葉としてはやや堅苦しい響きもあるため、使いどころを見極めましょう。
本題に入らせていただきますと
「本題に入らせていただきますと」は、クッション言葉「本題ですが」の丁寧な言い換え表現です。
話し言葉・書き言葉のどちらでも使えるものの、書き言葉としては遠回しの表現のため推奨されません。
あくまで「本題ですが」の代わりに使える話し言葉と位置づけましょう。
つきましては
「つきましては」は接続詞「ついては」の丁寧語です。
話し言葉・書き言葉両方に対応できる表現であり、どちらかといえば書き言葉としての用法が一般的。
「早速ですが」よりも本題に切り込むニュアンスが弱く、スマートな印象を与えられます。
一方で「つきましては」を使うにはある程度の事前情報が必要となるため、話し始めの一言としては不向きです。
「早速ですが」の例文3選!
紹介した知識を踏まえ、「早速ですが」を文章の中に組み込んでみましょう。代表的な例文を3つピックアップします。
例文
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます。本年もよろしくお願します」
「こちらこそ。早速ですが、伝達事項があります」
例文
早速ですが、本題に入らせていただきます。先月お伝えしていた事業計画を実行に移す運びになりました。
例文
「いらっしゃいませ。この度はお越しいただきありがとうございます」
「この度は時間を割いていただき、ありがとうございます。早速ですが、ご提案したい事案があり、お訪ねした次第です」
「早速ですが」の英語表現は?
最後に「早速ですが」の英語表現を2つ紹介します。
“Let’s dive right in”
(本題に入りましょう)
“Let’s get down to work”
(仕事に取りかかろう)
まとめ
英語にピンポイントで当てはまるフレーズがないように、「早速ですが」は日本語ならではの表現です。
クッション言葉ではあるものの多用しにくく、また書き言葉として使えない点に注意しましょう。
当記事を参考に、「早速ですが」を適切に運用してください。