近年では働き方改革が取り沙汰されていますが、一方で昭和期に多く見られた昔ながらの体制・労働環境も少なくありません。
経営者も例外ではなく、中には強権的な経営スタイルで突き進む「ワンマン社長」と呼ばれる層も存在します。
当記事ではワンマン社長の特徴・メリット・デメリット・辿りやすい末路と対策などを解説しますので、ぜひご一読ください。
ワンマン社長の意味・特徴を紹介！
ワンマン社長のイメージは浸透しているものの、具体的にどのようなものか知る機会は多くありません。
上記を踏まえ、語句の意味・特徴について解説します。
「ワンマン」の意味は？
「ワンマン」は和製英語ではなく、英語“one-man”に由来するカタカナ語です。
意味も“one-man”と同じで「一人で行う・一人でこなす」といった意味を表します。
注意点として日本のビジネスシーンで使われるワンマンには「独裁的」の意味もあり、英語との大きな違いです。
ワンマン社長の主な特徴
ワンマンの持つ意味を踏まえ、ワンマン社長の主な特徴を3項目に分けて解説します。詳細は以下の通りです。
独断でパワフルに行動する
ワンマン社長を象徴する特徴は、独断専行型である点です。
自身で決めた方針をためらわずに実行するため、非常にパワフル。
周囲の人間がワンマン社長に共鳴している場合はスムーズに運びますが、逆の場合だと反発を招きやすいです。
権限が集中している
ワンマン社長にはあらゆる権限が集中しています。
営業・戦略・人事・経理といった分野を一人でまかなうため、各職種の人員はあくまでスタッフの位置づけです。
運営方針も社長によって定められるため、業務分掌・内部統制が適切に行われない場合もあります。
自分の意見を押し通す
自分の意見を押し通すのも特徴の1つです。
社長に権限が集中しているため他者の発言力が低く、意見の正当性・妥当性は二の次になってしまう場合があります。
仮に誤った経営判断を下した場合にも歯止めが利かず、最悪の場合は営業停止処分・破産・倒産に至ります。
ワンマン社長が企業を率いるメリット・デメリットを紹介！
ワンマン社長の経営にはデメリットばかりではなく、メリットもあります。主なメリット・デメリットは以下の通りです。
ワンマン社長のメリット
ワンマン社長のメリットとして、意思決定の早さ・明快な指揮系統と責任の所在があります。詳細は以下の通りです。
意志決定がスピーディー
ワンマン社長には権限が集中する分、経営判断・意思決定に要する時間が短く済みます。
反対意見を聴き取る・汲み取るための時間・手間が省かれるため、アクションもスピーディーです。
指揮命令系統が明快
ワンマン社長によるトップダウン型の経営体制は指揮命令系統が明快です。
社長の方針にさえ従えばOKであり、スタッフレベルで反対意見があってもスルーできる点でシンプルと考えられます。
責任の所在が明確
ワンマン社長の経営体制は責任の所在が明確です。
社長が最終責任を負うため、実務担当者の責任範囲はあくまで担当者レベルに留まります。
一方で理解不十分だったり、指示通り実行しなかったりといった場合の責任は問われるため、無条件で社長の責任に帰結させるのはNGです。
ワンマン社長のデメリット
ワンマン社長の主なデメリットは、組織・内部統制・人事面におけるバランスの悪さです。以下、3つの項目に分けて解説します。
社員の離職率が高い
ワンマン社長が経営する会社のデメリットとして、多くの場合社員の離職率が高くなりがちです。
若手・後継者が育ちにくいため人材が確保できず、業務も属人的になってしまいます。
高い離職率は採用活動時のネックになるため、典型的な負のスパイラルです。
例外として、社長に優れた魅力・カリスマ性が備わっていれば社員の定着率も高まります。
組織力・内部統制・監視力が弱い
ワンマン社長による一極集中は、組織力・監視力・内部統制の弱体化を招きます。
社長の業務も属人化してしまうめ、社長の判断ミスを防ぎにくい・社長が倒れた際にカバーできないといった弊害が避けられません。
イエスマンが優遇されやすい
ワンマン体質の企業内では社長の意向を汲み取るばかりで自分の意見を言わない、いわゆるイエスマンが優遇されがちです。
反対にイエスマンでない場合はパワハラを受ける事例もあり、ついていけないと感じる社員も少なくありません。
離職率の高さにも通じる点であり、イエスマンばかりになってしまうと会社・組織の必要性は薄れます。
ワンマン社長の企業が辿りやすい末路を回避するには？
働き方が多様化した現代において、ワンマン社長が率いる企業の多くは悲劇的な末路を辿りがちです。
一方で、ワンマン体制でも離職率が低く、社員満足度の高い企業も存在します。
ワンマン社長の企業が辿りやすい、悲劇的な末路を避けるための主なアプローチは以下の通りです。
福利厚生・給与・待遇を充実させる
福利厚生・給与・待遇を充実させるのは、最も基本的なアプローチの1つ。
業務内容がシビアであったり理不尽な指示が与えられたりしても、労働条件が見合えば納得する社員も多いです。
株主・顧客ばかりでなく社員も優遇し、利益を内部に還元する体制を構築しましょう。
有能で人望のあるナンバー2を確保する
ワンマン体制でも、ナンバー2の立ち回り次第で組織の在り方は変化します。
自分の弱みを認識しているワンマン社長は、有能で人望のあるナンバー2を確保している場合が少なくありません。
社長の意思を正しく伝えられるかどうかもナンバー2の大事な資質。指示・命令を現場の実務に合わせた形でブレイクダウンできると、高評価につながります。
権限の分散
権限の分散は組織力の強化を図るために必要です。
具体的には各部門・部署の幹部に権限を与え、業務分掌・責任の範囲を明らかにします。
部門の権限の範囲を超える事案は当然発生するため、社長・ナンバー2といったトップ層と協議する機会を積極的に設けるとスムーズです。
まとめ
当記事ではワンマン社長の特徴・メリット・デメリットのほか、辿りやすい末路を避けるための対応策を紹介しました。
ワンマン社長には古臭い・強引といったネガティブなイメージが先行しますが、現代のスタンダードな経営者にない魅力があるのも確かです。
当記事を参考に、ワンマン社長に対する理解を深めましょう。