得意先のような深い関係の相手に対して挨拶する際、「お引き立て」と述べる場合がありますよね。
「お引き立ていただき・お引き立てくださり」といったお礼のトーンで使う場合が多い一方、「お引き立てのほど」といったお願いの言葉としても使えます。
当記事では「お引き立て」の正しい意味・使い方・言い換え表現などを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
「お引き立て」の意味を解説!
はじめに「お引き立て」とはどんな意味であるかを解説します。敬語分類も合わせてチェックしましょう。
「お引き立て」の意味
「お引き立て」とは、目上の相手による贔屓・厚意です。
取引における関係性・売買契約上のサービスなど、さまざまな事由によって生じます。
抽象的で視認できない概念であり、感覚によって判断される要素があるのも特徴の1つです。
「お引き立て」の敬語分類
「お引き立て」は尊敬語に分類されます。尊敬の接頭語「お」+名詞「引き立て」の構成で、「引き立て」を美化した言い回しです。
多くの場合は目上の人物による引き立ての行為に対し、ありがたく思う気持ちを込めて使われます。
「お引き立て」の使い方を紹介!
紹介した意味を踏まえ、「お引き立て」の使い方をチェックしましょう。お願いの場合・お礼および挨拶の場合についてそれぞれ紹介します。
お願いの場合
目上の相手に対し、温情をかける・贔屓にするよう願い出る際に「お引き立て」を使う事例があります。
わかりやすい組み合わせのフレーズは以下の通りです。
・お引き立てのほど
・お引き立てを賜りますよう
・お引き立ていただけますと幸いです
お礼・挨拶の場合
「お引き立て」はお礼・挨拶の一言としても一般的です。代表的な組み合わせのフレーズとして、以下のものが挙げられます。
・お引き立ていただき
・お引き立てを賜り
「お引き立て」の組み合わせフレーズをチェック!
先に紹介した組み合わせフレーズについて、お願いの場合・お礼および挨拶の場合に分けて語句ごとに紹介します。
お願いの場合
お願いの場合に使われる「お引き立て」の組み合わせフレーズについて、表現上の特徴・注意点をチェックしましょう。詳細は以下の通りです。
●お引き立てのほど
「お引き立てのほど」は、組み合わせフレーズの中でも比較的平易な表現です。
連続敬語である「お引き立てを賜りますよう・お引き立ていただけますと幸いです」と比較して、尊敬語ひとつで済む分堅苦しさも控えめ。
距離の近い相手にも使いやすい表現です。
●お引き立てを賜りますよう
「お引き立てを賜りますよう」は「引き立ててくれるよう」のニュアンスを、非常に丁寧に言い換えたフレーズ。
「もらう」の尊敬語「賜る」により、特別な配慮・心遣いをもらう意味合いを表します。
ちなみに、本来「お引き立てを賜りますよう」は尊敬語+尊敬語の二重敬語であるものの、実際のところは黙認されているようです。
●お引き立ていただけますと幸いです
「お引き立ていただけますと幸いです」は、尊敬語+謙譲語の連続敬語。
相手を敬いつつ自分はへりくだる姿勢を表すため、非常に丁寧な言い回しです。
「賜る」のように格調高い表現ではない分、比較的使いやすいフレーズでもあります。
お礼・挨拶の場合
お礼・挨拶の言葉として「お引き立て」を使う場合、表現上の特徴・注意点は以下の通りです。
●お引き立ていただき
「お引き立ていただき」と切り出した場合は、「ありがとうございます・御礼申し上げます」のようなお礼の言葉につなげるのが一般的。
誤って「お引き立ていただきますよう」と切り出すとお願いするニュアンスを表す形になるため、必ず区別しましょう。
●お引き立てを賜り
「お引き立てを賜り」は「お引き立ていただき」よりも格調高い表現です。
主として年末・年始の書状や、慶事・催事の挨拶といった特別な機会に合わせて使われます。
「お引き立て」の類語・言い換え表現は?
紹介した基礎知識を踏まえ、類語・言い換え表現を考えてみましょう。主な語句は下記の3つです。
ご高配
「ご高配」は高配の尊敬語で、目上の相手によるありがたい気遣い・配慮といった意味合い。
「お引き立てを賜り」の代わりに「ご高配を賜り」と述べる表現も、挨拶における決まり文句の1つです。
ご贔屓
「ご贔屓」は「お引き立て」の代表的な類語で、商売の慣用表現としても親しまれています。
「今後ともご贔屓に」の一言で敬語表現として成立するうえ、「お引き立ていただきますようお願いいたします」のような回りくどい言い回しも不要です。
ご愛顧
「ご愛顧」は愛顧の尊敬語で、「お引き立て」と同じ意味を表します。
「お引き立て」よりも表現としてやや固い響きがあり、年末・年始の書状や慶事・催事の挨拶といった特別な場面に相応しいです。
「お引き立て」の例文3選!
最後に、「お引き立て」を文章の中に組み込んで運用してみましょう。例文を3つピックアップします。
例文
日々格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
例文
本年は大変お世話になりました。来年も変わらぬお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
例文
「前田様、毎度お引き立ていただきありがとうございます」
「こちらこそ、いつも安く提供してもらってるので助かっていますよ」
まとめ
「お引き立て」はビジネスだけでなく、社交・催事・書状などにおいて欠かせない語句の1つです。
「お世話になっている」といった言い回しと区別して「お引き立ていただく」「お引き立てを賜る」と表現すれば、相手に特別な印象を与えられます。
当記事を参考に、「お引き立て」を上手にご活用ください。