挨拶言葉のひとつに「ごめんください」があります。居宅の訪問時や、話を終えて別れる際に使われる一言です。
「ごめんください」はやや古めかしい言い回しではあるものの、死語ではありません。特定地方の方言だとも誤解されており、正しい知識が必要です。
以上を踏まえ、当記事では「ごめんください」の意味・由来・使い方・言い換え表現などを紹介します。ぜひご一読ください。
「ごめんください」の意味・由来を紹介!
最初に「ごめんください」の意味・由来について正しく理解しましょう。詳細は以下の通りです。
「ごめんください」の由来・語源
「ごめんください」とは元々武家時代に生まれた言葉で、
「御免あれ」もしくは「御免候」に由来します。
いかにも武士言葉然とした堅苦しい言い回しだったものの、時代の移り変わりに伴って「御免下され」に、転じて「ごめんください」に変化しました。
「ごめんください」の意味
「ごめんください」とは、相手に対して断りを入れる意味合いの一言です。具体的には以下の場面で使われます。
・居宅への訪問・退去時の挨拶
・電話を切る時の挨拶
「申し訳ない」「ごめんなさい」のようなお詫びに主眼を置いた表現ではなく、あくまで軽い断りを入れるための一言であるのがポイント。
いわゆるクッション言葉に近いニュアンスがある一方、語句自体に意味もある日本語特有の表現といえます。
「ごめんください」は新潟の方言?今は使わない?
「ごめんください」は新潟の方言だとみなす意見がありますが、正確には特定地方の方言ではありません。
北陸地方では福井・岐阜での使用例があるほか、近畿・関東地方などにおいても確認されており、新潟以外でも珍しくない表現です。
武家文化が特定地方ではなく全国に根付いていた歴史的事実を踏まえると、むしろ自然と考えられます。
ちなみに「ごめんください」を主に使うのは年配層です。若者からすれば使わない言葉とみなされがちですが、決して死語ではありません。
「ごめんください」の使い方を解説!
紹介した意味・由来などを踏まえ、「ごめんください」の具体的な使い方についても確認しましょう。詳細は以下の通りです。
居宅を訪ねる際・居宅から退去する際の挨拶
「ごめんください」の主な用例として、相手の居宅を訪ねる際・退去する際が挙げられます。
近年では各住戸にインターホンがあるのが当たり前ですが、インターホン・呼び鈴が普及していない時代は玄関口で一声かけるのが一般的でした。
相手と会う用事が済み、立ち去る際にも「ごめんください」は有効です。「失礼します」よりもくだけたトーンである一方、ある程度丁寧な姿勢を表せます。
別れ際・電話を切る際の挨拶
居宅から立ち去る場面以外でも、別れ際・電話を切るといったタイミングで「ごめんください」と伝える用例があります。
基本的な使い方としては「失礼します」と同じで、会話を終える際に一言添えるとスマートです。
「ごめんください」に対する返し方
「ごめんください」に対する返し方は、相手との上下関係に左右されます。
自分の立場が相手と同じ、もしくは相手よりも上の場合は「ごめんください」で構いません。
相手の方が目上の場合は、「失礼します」のように敬語で返すようにしましょう。
「ごめんください」の類語・言い換え表現は?
「ごめんください」の類語・言い換え表現として相応しいものは以下の3つです。各語句の詳細を解説します。
失礼します
「失礼します」は「ごめんください」の代表的な言い換え表現です。
「ごめんください」よりも汎用性が高く、入退室・電話を切る際のほか、話に割って入る・人前を横切るといった場面で一言断る際に使えます。
反面、「ごめんください」よりも形式ばった印象を与えるため、親しい相手には適さない場合があります。
お邪魔します・お邪魔しました
「お邪魔します・お邪魔しました」は、居宅を訪問する際・退去する際の挨拶言葉です。
「ごめんください」には玄関口で相手を呼び出す意味合いもあるため、厳密には「お邪魔します」とイコールではありません。
企業訪問・面接会場の入退室といった場面には「お邪魔します・お邪魔しました」ではなく、「失礼します」を使いましょう。
ごきげんよう
「ごきげんよう」は、対面での会話を終えて別れる際の挨拶です。
「さようなら」に近いものの、健やかに過ごすよう願う気持ちが込められている点で異なります。
対面でのやり取りを前提とするため、電話・メールでの使用には適していません。
「ごめんください」の英語表現
最後に、「ごめんください」の英語表現を紹介します。
・“Good bye”(さようなら)
・“See you”(また会いましょう)
まとめ
インターネットおよびSNSの発達・浸透に伴い、対面でやり取りする文化の在り方は急速に変化しています。
「ごめんください」を使う意義についても、世代によっては理解しにくい部分があるもの。一方で、「失礼します」にはないニュアンスも汲み取る必要があります。
当記事の内容を参考に、「ごめんください」を適切に活用しましょう。