目上の相手に対して連絡を促す表現のひとつに「ご連絡ください」がありますよね。
実のところ、「ご連絡ください」は常にベストの表現とは限りません。
時と場合によっては反感を買う可能性もあり、正しい理解が必要です。
当記事では「ご連絡ください」の意味・使い方・注意点・言い換え表現などを紹介します。
「ご連絡ください」の意味を紹介!
はじめに、「ご連絡ください」の意味・敬語分類を紹介します。詳細は以下の通りです。
「ご連絡ください」の意味
「ご連絡ください」とは、連絡を促すための一言。
目上の相手に対し、自分あてに連絡するよう声がけするフレーズです。
目上の相手すべてに使えるわけではなく、対象はある程度限られます。
制限が付く理由については順を追って解説します。
「ご連絡ください」の敬語分類
「ご連絡ください」の構成は尊敬語「ご連絡」+丁寧語「ください」であり、異なる敬語分類を組み合わせた連続敬語です。
連続敬語は本来非常に高い敬意を表すものの、「ご連絡ください」の場合は例外的に注意が必要。
詳しくは次の章で解説します。
「ご連絡ください」は目上に使えないって本当?
「ご連絡ください」は高い敬意を表す連続敬語であるものの、極端に目上の相手には使えません。
というのも、補助動詞「ください」には命令・強意のニュアンスがあるため。
丁寧語ではあるものの、相手に対して指示するような語気が含まれます。
上記の理由により、身分の高い人物だとアレルギーを感じる可能性がある点で要注意。
後述の言い換え表現で対応するようにしましょう。
「ご連絡ください」の言い換え表現をチェック!
「ご連絡ください」の言い換え表現は多岐に渡ります。
より丁寧な言い換え表現・社内向けの言い換え表現に分けて紹介しますので、参考にお役立てください。
より丁寧な言い換え表現
「ご連絡ください」よりも丁寧な言い換え表現は以下の4つです。
各表現について詳しく解説します。
●ご連絡くださいませ
「ご連絡くださいませ」は、主として接客応対時に適した表現です。
補助動詞が「ください」から「くださいませ」に変化する分、指示・命令のトーンが和らぎます。
目上の相手に対して使っても構いません。
注意点として口頭での受け答えが前提になるため、メールほか文章媒体での使用はNGです。
●ご連絡くださいますようお願い申し上げます
「ご連絡くださいますようお願い申し上げます」は、「ご連絡ください」にお願いの一言を付け加えた表現。
非常に丁寧な言い回しであり、話し言葉・書き言葉どちらにも適応可能です。
一方で依頼・お願いのニュアンスが強い分、相手の行動が自主的なものではなくなる可能性があります。
●ご連絡いただきたく存じます
「ご連絡いただきたく存じます」は、「ご連絡ください」よりもスマートな表現のひとつ。
自分の希望を丁寧に示しつつ、相手の自主性も尊重します。
ニュアンスそのものは「ご連絡いただきたく思います」と同義であるものの、謙譲表現「存じます」に言い換えているのがポイント。
へりくだった姿勢を表す分、押しつけがましい印象が和らぎます。
●ご連絡いただければ幸いです
「ご連絡いただければ幸いです」は、相手からの連絡を待ちわびる・希望する旨の一言。
「ご連絡ください」と比べると、相手の自主的な行動を期待するトーンの言い回しです。
控えめな印象を与える一方、押しが弱く相手任せとみなされる可能性もあります。
社内向けの言い換え表現
「ご連絡ください」の言い換え表現で、社内向けに適したものは以下の4つです。各表現の詳細を解説します。
●何かありましたらご連絡ください
「何かありましたらご連絡ください」は、「ご連絡ください」を使った組み合わせ表現のひとつです。
「何かありましたら」の部分が不明瞭であり、相手任せで消極的なイメージがあるため、外部向けの情報発信には適していません。
特にビジネスの場合、対象はあくまで少人数・身内の範囲に留めましょう。
●何かございましたらご連絡ください
「何かございましたらご連絡ください」は、「何かありましたらご連絡ください」の派生表現です。
「ありましたら」の代わりに「ございましたら」と、丁寧の度合いはやや高いものの、本質的に受け身の姿勢は変わりません。
やはりビジネスの用途には適していないため、あくまで身内の間だけに留める方が無難です。
●ご連絡いただけますか
「ご連絡いただけますか」は尊敬+謙譲+丁寧の連続敬語であるものの、外部向けの表現には適していません。
お願いする内容としてはやや横柄なトーンであり、あくまで社内・顔見知り同士のやり取りに適しています。
社内でも所在地の異なる部門・支店など、交流の深くない相手に使う場合は注意が必要です。
●私までご連絡ください
「私までご連絡ください」は「ご連絡ください」の派生表現で、社内向けの言い回し。
「私」の呼称はあくまで名前を知っている者同士で使うのが一般的であり、外部とのやり取りにおいては好ましくありません。
上記の理由を踏まえ、「私までご連絡ください」の表現は身内同士のやり取りに留めるのが妥当です。
目上の相手から連絡をもらった場合の返し方
「ご連絡ください」の表現に関連する内容として、目上の相手から連絡をもらった場合の返し方を紹介します。
詳細は以下の通りです。
ご連絡くださいましてありがとうございます
「ご連絡くださいましてありがとうございます」は、目上の相手から連絡をもらった事実に対して感謝する言い回し。
後述の「ご連絡いただき」とは異なり、目上の人物が下位の相手に対して「連絡をくださった」旨を述べる尊敬表現です。
ちなみに尊敬語+丁寧語の連続敬語であり、敬語分類上の問題もありません。
ご連絡いただきありがとうございます
「ご連絡いただきありがとうございます」は自分を下位の立場とみなし、目上の相手から「連絡をいただいた」と表現する謙譲語です。
フレーズ全体の敬語分類は尊敬語+謙譲語+丁寧語の連続敬語であり、非常に高い敬意を表します。
ご連絡ありがとうございます
「ご連絡ありがとうございます」は、お礼の意を表す決まり文句のひとつです。
連絡のあった旨を「ご連絡」の一言でまとめており、「くださる・いただく」といった動詞部分は省略しています。
直接「ありがとうございます」につなげるため、感謝の意も網羅できる点でスマートです。
「ご連絡ください」の連絡手段はメール・電話どっち?
「ご連絡ください」において、連絡手段は特に定められていません。
ビジネスの場合はメール・電話が一般的であるものの、近年では条件付きでSNS・ダイレクトメッセージなどを前提とする場合もあります。
スピード優先なら電話、履歴を残すならメールといったように、目的合理的に手段を選ぶのが望ましいです。
「ご連絡ください」の例文2選!
紹介した知識に基づき、「ご連絡ください」を文章に組み込んでみましょう。
例文を2つピックアップします。
例文
「お買い上げいただきありがとうございます。もし商品に不具合が生じた場合は、遠慮なくご連絡くださいませ」
「丁寧にありがとうございます。もしもの場合は頼らせてもらいます」
例文
3月23日に大石課長の送別会を行います。
どうしても都合がつかない方がいらっしゃいましたら、小川までご連絡ください。
「ご連絡ください」の英語表現
最後に、「ご連絡ください」の英語表現を紹介します。
・Please contact me.
(私にご連絡ください)
・Please reache out to us.
(私どもまでご連絡ください)
まとめ
「ご連絡ください」は表現として簡単である一方、使う場面や相手に注意する必要があります。
当記事の内容を参考に、「ご連絡ください」を適切に活用しましょう。