目上の相手に対し、感謝の気持ちを丁寧に表したい場合には「御礼申し上げます」と伝えますよね。
「御礼申し上げます」はどんな場合でも使えるわけではありません。
場面によっては大げさに聞こえる可能性があるほか、表記の要領によっても印象が左右されます。
当記事では「御礼申し上げます」の意味・使い方・文例などを紹介します。
「お礼申し上げます」との違いについても解説しますので、ぜひご一読ください。
「御礼申し上げます」の意味・読み方を紹介!
「御礼申し上げます」は、目上の相手に感謝の気持ちを述べる表現です。
「御礼」は「おんれい」と読み、「お礼」よりも高い品格を表します。
一般的な感謝の言葉「ありがとうございます・感謝します」といった表現よりも格調高く、与える印象も特別。
挨拶・スピーチといった公式な場面のほか、送り状・文書などにも使われます。
「御礼申し上げます」と「お礼申し上げます」の違いは?
「御礼申し上げます」と「お礼申し上げます」の主な違いは、トーンの差です。
「御礼申し上げます」の方が格式のある改まった言い回しである一方、「お礼申し上げます」は幾分親しみやすい印象を与えます。
語句の意味自体は本質的に同じであり、「お礼申し上げます」でも失礼ではありません。
ただし、文書の場合は「御礼申し上げます」の方が望ましいと考えられます。
「御礼申し上げます」の使い方を解説!
紹介した意味を踏まえ「御礼申し上げます」の使い方もチェックしましょう。詳細は以下の通りです。
手紙・メール・送り状の書き出し・結び
手紙・メール・送り状などの文章媒体において、「御礼申し上げます」は書き出し・結びのどちらにも使えます。
書き出しに使う場合は、「日々ご愛顧いただき、厚く御礼申し上げます」のような定型挨拶が一般的。
結びの一言であれば「この度もご利用いただき、改めて御礼申し上げます」のような形で締めくくるとスマートです。
深い感謝の気持ちを表す場合
「御礼申し上げます」は、日常のやり取りにおいて感謝の気持ちを伝えたい場合にも使えます。
特に深い感謝の意を表したい場合には「ありがとうございます」といった平易な言葉でなく、「御礼申し上げます」と伝えると、相手に与える印象も特別です。
スピーチの冒頭・結びにも使える
「御礼申し上げます」は文章媒体だけでなく、スピーチの冒頭・結びにも使えます。
冒頭での用例は、「ご多忙のところお集まりいただき、厚く御礼申し上げます」といった表現が代表的。
結びの一言としては、「おかげさまを持ちまして、大盛況で終わりを迎えられました。
改めて御礼申し上げます」のような用例が挙げられます。
「御礼申し上げます」の組み合わせフレーズをチェック!
「御礼申し上げます」を使った代表的な組み合わせフレーズは以下の通りです。
各表現の詳細を解説します。
厚く御礼申し上げます
「厚く御礼申し上げます」は、丁寧なお礼の中でも代表的な定型表現です。
「御礼」の前に副詞「厚く」を付け加えることにより、ひとかたならぬ感謝の気持ちを表現できます。
文書・スピーチのいずれにも使える、汎用性の高いフレーズです。
重ねて御礼申し上げます
「重ねて御礼申し上げます」は、結びの一言に相応しいフレーズ。
本文の中で一度謝意を伝えた上で、最後に改めて御礼の言葉を述べます。
文書・スピーチのいずれにもよく使われる言い回しです。
謹んでお礼申し上げます
「謹んで」とは、うやうやしく・かしこまってといった意味合いの副詞。
「謹んでお礼申し上げます」はかしこまってお礼を述べる表現で、ひとかたならぬ感謝の気持ちを表したい場合に使います。
一般的なビジネスシーンで使われる機会は少なく、慶事・祝い事といった特別な機会が主。
日々の出来事に対して使うと大げさな印象を与えるため、常用には不向きです。
改めて御礼申し上げます
「改めて御礼申し上げます」は、「重ねて御礼申し上げます」とほぼ同じ位置づけの言い回し。
一度謝意を伝えた上で、改めてお礼の言葉を伝えるための表現です。
「重ねて」よりもやや平易な表現であり、話し言葉にも適しています。
「御礼申し上げます」の文例3選!
紹介した基礎知識を踏まえ、「御礼申し上げます」を文章に組み込んでみましょう。
文例を3つピックアップします。
例文
先日は大層なお心遣いをいただき、ありがとうございました。
改めて御礼申し上げます。
例文
いつも当社をお引き立ていただき、厚く御礼申し上げます。
さてこの度、新規店舗をオープンする運びとなりましたのでお知らせいたします。
例文
お陰様をもちまして、当社は5月1日に創立50周年を迎えました。
株主をはじめ、ステークホルダーの皆様のご助力によるものであり、謹んでお礼申し上げます。
「御礼申し上げます」の類語・言い換え表現を紹介!
「御礼申し上げます」の代表的な類語・言い換え表現は以下の2つです。
各表現の詳細を解説します。
感謝申し上げます
「感謝申し上げます」は「御礼申し上げます」よりも少し平易な言い回しです。
「御礼」と比べると「感謝」の方が汎用的であり、特別な場面でなくとも使えます。
同じ理由で、書き言葉よりは話し言葉に適した表現です。
ありがたく存じます
「ありがたく存じます」は、「ありがたく思います」の謙譲表現。
「ありがとうございます」のような一般的なお礼言葉よりも改まった言い回しであり、格上の相手を想定する点でも異なります。
顧客との商談・サービス業での接客など、立場の上下を明確に打ち出す必要がある場合に適した言い回しです。
「深く御礼申し上げます」は間違い?
諸説あるものの、本来「深く御礼申し上げます」の表現は適切でないと考えられます。
形容詞「深い」と組み合わせられるお礼の語句は「感謝」であり、「深く感謝申し上げます」「深い感謝の念」といった言い回しが一般的です。
ただし仮に「深く御礼申し上げます」と発言したとしても、相手に明らかな失礼を働く行為ではないため、許容される場合が多いです。
「御礼申し上げます」の英語表現
最後に、「 御礼申し上げます」の英語表現を紹介します。
・be grateful for~
例:
“I’m so grateful for you.”
(あなたに深く感謝します)
・gratitude
例:
“Please accept my gratitude.”
(心より御礼申し上げます)
まとめ
「御礼申し上げます」は、ひとかたならぬ感謝の気持ちを述べるための表現です。
使い方・使いどころを誤ると謝意が薄れるばかりか、かえって失礼な印象を与えてしまう可能性もあります。
ぜひ当記事の内容を踏まえ、「御礼申し上げます」を適切に運用しましょう。