「インタラクティブ」という言葉があります。元々IT業界でよく使われていましたが、今では業界を超えて様々なビジネスシーンにおいて飛び交うフレーズになりつつあります。
そこでいま一度、ビジネス用語としてのインタラクティブに注目してみましょう。
この記事ではインタラクティブの意味や用法、類語や対義語なども網羅して解説します。
インタラクティブとはどんな意味?
まずはインタラクティブの意味を確認しましょう。
その上で最も盛んに使われているIT分野における意味合いと、派生語である“interactivity”もご紹介します。
英語の意味は「相互に作用する」
インタラクティブは英語の形容詞“interactive”のカタカナ語で、「相互に作用する」「相互作用の」という意味です。
IT分野で使われるインタラクティブ
IT分野におけるインタラクティブはわずかにニュアンスが変わり、「双方向の」もしくは「対話形式の」という意味で使われます。
これはやり取りを行う対象があり、アクションが一方通行ではないという意味合いを含んでいます。
「interactivity」の意味
“interactivity”は“interactive”の名詞形で、「対話式であること」「双方向性」という意味があります。
日本語でこれらの意味を表現する際に「インターアクティビティ」という言い方をすることは稀ですが、英単語“interactive”の派生語としてセットで覚えておくとよいでしょう。
インタラクティブの使い方とは?例文を紹介
ここで、インタラクティブの具体的な使い方を理解するために例文を3つご紹介します。
例文
SNS上で機能に関する要望やリクエストを広く募り、インタラクティブな開発プロセスを経てリリースされたのがS社の新商品だ。
例文
インタラクティブ広告の利点は、興味を持ったユーザーが能動的に詳しい情報を知ろうとし、その内容に納得した上で取引に進むため齟齬が少なく双方の利害の一致を期待できる点だ。
例文
会場にいるオーディエンスからのリクエストによって演奏する曲目をその場で決める、インタラクティブ形式のジャズライブを初めて体験してとても新鮮だった。
インタラクティブの付いた言葉を集めてみた!その意味も解説
応用編としてインタラクティブの付いた派生語をご紹介します。
インタラクティブがIT業界以外でも広く使われている言葉だということがおわかりいただけるはずです。
インタラクティブメディアの意味
「インタラクティブメディア」とは、双方向性のメディア媒体の総称です。
例えばテレビ放送の場合、従来型のアナログ放送であれば番組制作側による一方的な放送でした。
しかし地上デジタル放送になってからは、リモコンのDボタン機能を利用する方法に代表される視聴者参加型の番組や企画が一気に増加しました。
インタラクティブコミュニケーションの意味
「インタラクティブコミュニケーション」とは一方通行でなく、対話型のコミュニケーションを指します。
このコミュニケーション方法について特に注目すべきは予め決められた内容を話すのでなく、応酬話法のように相手の発言によって会話の内容や方向性が変わる場合があるという点です。
インタラクティブシステムの意味
「インタラクティブシステム」とは人の動きに合わせて映像が変化する投影技術のことです。
静止画とは異なり人の姿や所作が介入・作用するため変化の可能性が幅広く、予測できない結果になることもあるのが特徴です。
インタラクティブディスプレイの意味
「インタラクティブディスプレイ」とはプロジェクション技術の一種で、従来型のモニタやディスプレイでは実現できなかった動作が可能です。
例えば教壇や会議場では電子ホワイトボードとしての利用が可能であるほか、商品プロモーション用ディスプレイの用途では実際に商品を手に取ったり置いたりといった動作によって映し出される映像が変化します。
インタラクティブマーケティングの意味
「インタラクティブマーケティング」とは、企業と消費者による双方向のコミュニケーションを前提としたマーケティング手法のことです。
双方の需要と供給の一致を図る目的合理的な方法論で、インターネットを利用するビジネスでよく見られます。
インタラクティブの対義語とは?
次に、インタラクティブの対義語をご紹介します。
インタラクティブの対義語は「one-way」と「unilateral」の2つです。
「one-way」
「one-way」とは文字通り「一方通行」の意味です。
“one-way road” “one-way street”のように、英語で道を示すイディオムを展開すればよりわかりやすいでしょう。
「unilateral」
「unilateral」とは「片側通行の」「相互的・合議的でない」という意味です。
「一方通行の」という意味もありますが、それよりも「片側通行の」「話し合いに基づかない」「単独の」といったニュアンスが強いといえます。
授業で活用!?インタラクティブな教育最前線
学校教育でもインタラクティブな方法論が採用されつつあります。
教科書と黒板をベースに、教師が板書した内容をノートに書き写すという従来型の要領では自主性が育たないのも無理はありません。
しかしインタラクティブコミュニケーションの例で企業と消費者の距離が縮まったように、生徒も積極的に授業内容に参加するべきだと考えられるようになってきました。
例えば同じ教科書でもデジタル教科書であれば、紙媒体では不可能であった音声の再生やJavascriptの実行を組み込む新しい情報伝達の仕組みが期待できます。
ユーザー、すなわち生徒が持つ興味の度合いや対象についてもセンサーを利用して視線をモニタリングすることにより追跡可能です。
また電子黒板やタブレットを利用すれば手元のディスプレイで同じ映像を共有でき、出席者は電子ペンで書き込むことにより対象者全員に向けて自分の意見を発信することができます。
優れた意見を持っていても進んで挙手し発言するのに抵抗があるという生徒の場合は、教師が当該生徒のディスプレイをモニタリングしてその意見を代読してもよいでしょう。
授業や講義の内容は電子データとして保存ができ、欠席者やクラス外のメンバーとも情報共有が容易になるでしょう。
当然セキュリティや守秘義務など法整備や運用の面で新たな問題が伴いますが、技術的にはこのような教育体制が可能になりつつあるのです。
まとめ
インタラクティブの持つ性質は、これからの社会の在り方を考える上で非常に重要です。
ビジネスシーンはもちろん、メディアや教育でもトップダウン型以外の方法論が生まれつつあるのは歓迎すべき流れです。