ビジネスに限らず、スポーツやゲームなどにおいても一つの見方に偏ってしまうことはあるものです。
主観に傾きすぎるとチャンスを見失ったり、あるいはピンチの兆候を見逃してしまったりというように弊害を生むことがしばしばです。
客観的、第三者的な視点が必要な際に役立つのがオブザーバーの存在です。時としてオブザーバーの意見は金言となることがあるかもしれません。
そこでオブザーバーの意義や役回りなどについて、いま一度チェックしてみましょう。
オブザーバーの意味や語源をチェック!簡単に言うと見張り役!?
そもそもオブザーバーの意味や語源はどのようなものでしょうか。まずは基本的な内容から確認していきましょう。
オブザーバーの由来は英語「observer」
カタカナ語であるオブザーバーは英語の“observer”に由来する言葉です。
語源はラテン語の“obsevare”に遡り、監視するという意味があります。これが英語に輸入され動詞の“observe”として定着したのです。
“observer”とはすなわち監視者・見張り役といった意味だということがわかります。
オブザーバーは発言権や決議権のない第三者のこと
ビジネスシーンにおいてオブザーバーという場合は単なる見張り役ではなく、もう少し制限の付いた意味で使われます。
どのような意味かといえば、会議や決議事案に関して発言権もしくは決議権を持たない第三者のことを指します。つまり法律上の決定権を付与されていない立場であるということです。
では単なる聴客なのかといえば、決してそんなことはありません。むしろ利害関係やしがらみがない立場であるからこそ、公平で客観的な視点でものを考えることができるともいえます。
オブザーバーに期待されているのも第三者の立場で出席することです。
またオブザーバーには発言権がないのが一般的ですが、議長がオブザーバーに発言を促すことによって参考意見を述べるケースはあります。
意見を述べることになっても決定権は与えられませんが、オブザーバーの意見が話の流れに影響を与えることはしばしばです。
やはりオブザーバーの存在は軽視できないといえるでしょう。
陪席者や監視者を指す場合もあり
オブザーバーには陪席者や監視者という意味もあります。
陪席者とは身分の高い人物と同席する人を指します。監視者とは警戒して見張る役回りの人のことです。
つまり同じオブザーバーでも、場面や状況によって少しずつニュアンスが異なることがわかりますね。
オブザーバーとアドバイザーでは求められる役割が大いに違う
オブザーバーを話題に出すと、アドバイザーとの違いがわからないという声が挙がることがしばしばです。
オブザーバーとアドバイザーでは求められる役割が異なります。
それぞれの役割や存在意義といった本質に注目することによって違いが浮かび上がってくるはずです。
そこでこの節では、アドバイザーについて簡単にまとめます。
アドバイザーの意味や役割
アドバイザーとは文字通り、アドバイスをする役目の人です。
ビジネスシーンでは顧問や相談役のことをアドバイザーと呼ぶこともあります。
一般的にいって、顧問や相談役の立場には代表権は与えられていないことがほとんどでしょう。しかし会議など重要な場には出席することが多いはずです。
見方によっては、アドバイザーとオブザーバーは一部似た要素があるといえるかもしれません。
オブザーバーの視点から役割を考える
オブザーバーは原則として、意見交換に対して消極的な立場を取る必要があります。なぜなら自分から発言することは許されていないからです。
一方、アドバイザーの場合は助言・アドバイスをすることが役割であり責務です。
つまり発言を一切しないとなると職務を放棄することになってしまいます。
かといって積極的に発言しすぎるあまり、会議全体を牽引する立場になってもいけません。アドバイザーの役回りはあくまで助言をすることです。
ここぞというタイミングでピンポイントの意見を述べる状況判断力とセンスが必要になります。
オブザーバーの視点から考えることによって、アドバイザーの役割や存在意義はより明確になるといえるでしょう。
シーンによって異なるオブザーバーの使い方と役割
ビジネスシーン以外でもオブザーバーは使われます。
使い方と役割を含めて代表的な事例を3つ紹介します。
ビジネスシーンのオブザーバー
オブザーバーが最もよく使われるのはやはりビジネスシーンでしょう。特に会議の場面でよく用いられます。
法的な決議権を行使する必要のない、社内会議においてもオブザーバーが呼ばれることはしばしばあります。
例えば営業部門内の会議であっても、予算や経費に関する参考意見が欲しいというケースがあるはずです。
そこでオブザーバーとして経理担当のスタッフが会議に呼ばれることは決して珍しい話ではありません。
また得意先の関係者や、OB社員など社外のゲストを会議に招くこともあるでしょう。これらもオブザーバーの一例です。
ゴルフにおけるオブザーバー
ゴルフ用語としてのオブザーバーは、レフェリーの補佐人を指します。
オブザーバーの主な役割は判定が難しい場合においてレフェリーに意見を述べたり、反則を報告したりすることです。野球でいえば塁審に相当するといえます。
なおオブザーバーには決定権がなく、最終的な判断を裁定することはできません。
あくまで補佐人であり、参考意見を述べる役割であるという点を押さえておきましょう。
国連におけるオブザーバー
国連におけるオブザーバーは国連の正式な加盟国ではないものの、国連がオブザーバーとして招待する国家もしくは国際組織が該当します。
主な役割は投票権なしで討議に参加したり、決議案の作成に関わったりするというものです。
一般的なオブザーバーとは異なり、国連におけるオブザーバーとは無条件になれるものではありません。
国際的に公平な機関ということもあり一定の信頼性や実績が要求されるのです。
例えば欧州審議会のような政府間国際機構や、パレスチナ解放機構 (PLO) といった国家以外の団体も国連のオブザーバーと位置づけられています。
オブザーバーの類語や反対語をまとめ
ここでオブザーバーの類語や反対語を紹介します。
ただしオブザーバーは様々な意味を持つため、あくまで代表的と思われるものの一例とお考えください。
類語
傍聴者
主に会議や裁判の場において発言権や決定権はないものの参加を許可された、もしくは招聘された立場の人です。ただしオブザーバーとの違いとして時折発言を促されたり、参考意見の陳述を依頼されたりすることはありません。
監視者
監視者とは主に警戒して見張る役回りの人です。自発的に行動したり発言したりすることを控える代わりに、細かな異変や変化を察知することが求められます。
反対語
執行者
文字通り「執り行う者」という意味で、行政や業務を実行に移す立場の人を指します。オブザーバーは自らアクションして発言したり投票したりすることができません。反対に積極的にアクションする立場の人物としては、執行者が最も最適といえるでしょう。
施政者
施政者も執行者と重複する要素が多く含まれます。施政者とは主に政治や政策を実行する立場の人を指します。特にオブザーバーと異なる点として、実行責任が伴う点も特徴です。
コンプライアンス重視のため社外オブザーバーが求められている!
最後に社外オブザーバーの意義について考えてみましょう。
会議や取り決めを客観的な視点で監視できるのは社外オブザーバーならではの働きです。
中立性・公平性を保ち、独善的な経営・運営を抑止する効果が期待できます。豊富な知見を持った社外オブザーバーはストッパーとして大いに機能するでしょう。
社外オブザーバーを招くことは非常に有効な手段です。コンプライアンスの適正運用は会社のガバナンスや経営力の強化につながります。
社外オブザーバーを招くことによってコンプライアンス運用の適正化を図り、さらに経営力の強化も期待できます。
世の中の動きとして、コンプライアンスは以前にも増して重視されるようになっています。社外オブザーバーの需要もますます高まっていくことが予想されます。