「グロス」の意味と使い方は?トータルとはどう違うの?業界によって意味が変わる!?

経営や会計の分野に限らず、ビジネスにおいて必須ワードとなっているのがグロスです。

単純に合計という場合、トータルといえば済むはずです。しかしグロスという別の表現があるのはなぜでしょうか。

トータルとの違いをきっかけとして、グロスの意味や性質に気づけるはずです。

この記事の内容

グロスの意味とは?ビジネスや営業に絶対欠かせない!

グロスとは一体どんな意味なのでしょうか。まずは語源や由来から追跡してみましょう。

グロスは英語「gross」が語源

グロスは英単語“gross”に由来します。“gross”はゲルマン語の「大きくて粗い」という表現が語源とされています。

日本語の「大ざっぱ・ざっくり」という表現によく似ていますね。

国力を表す指標の1つとして、GDPが広く知られています。GDPとは“Gross Dumestic Product”、すなわち国内総生産のことです。

つまりカタカナ語のグロスは、GDPに使われている“gross”とイコールというわけです。

意外と馴染み深い言葉であることがわかりますね。

グロスの意味は売上に関する言葉「総量・総計」のこと

ビジネスシーンにおいてグロスを使う場合、主に売上関係の数値を総計で捉えるのが目的です。

つまり総売上量や総売上高といった形で、会社全体の合計を把握する場合に使う言葉がグロスというわけです。

以上を簡単にまとめると、グロスの意味は総量・総計ということです。

グロスは食料品の重量表示に使われることもある

グロスは食料品の重量を表記する際にも使われます。具体的には食料品本体と、本体以外の包装資材などを含む総重量を指します。

例えば通販で食品を購入する場合は重量が送料に関わることがありますよね。

また運送業者にとっては食品本体の重さよりも、グロスの重量の方が重要というわけです。

ちなみに食品本体のみ、正味の重さを表す場合はネット(net)と表記します。

グロスの使い方をシーン別に例文でみてみよう

グロスの基本的な意味はOKですね。

続いて、業界ごとの具体的な使い方をチェックしてみましょう。

広告業界におけるグロスの意味

広告業界におけるグロスとは、費用の総合計を指します。

広告業界では広告媒体の費用に加えて、代理店利用手数料などの諸経費が上乗せされるのが一般的です。

そこで費用計算をスピーディーに行うため、グロスという捉え方が定着したのです。

例文

新商品Vの販促活動として、全国放送のテレビCMを出すことにした。費用見積もりはグロスで150万円だそうだ。

不動産業界におけるグロスの意味

不動産業界におけるグロスとは、主に契約対象の面積を指します。

グロス面積の場合は専有面積に加えて、廊下やエレベーターホールといった共有部分の面積も含まれます。

住宅用だと今ひとつ実感が湧きづらいので、事業用の事務所を想定するとよいでしょう。

1フロアを丸ごと賃貸契約した場合、フロア全体が専有対象であるかのように思いますよね。

ところが廊下やトイレといった建物共用の施設は、専有面積には含まれないのです。

ちなみに専有面積はネット面積といいます。併せて覚えましょう。

例文

事務所の移転先として良さそうな物件を見つけた。1フロアのグロス面積が非常に広大なので、大所帯のわが社に相応しいと思われた。しかし物件の下見にいったところ、共有部分のスペースが相当広いと判明した。ネット面積は意外と小さく、手狭な印象だ。

ゴルフにおけるグロスの意味

ゴルフにおけるグロスはグロススコアを指します。

ゴルフにはハンデ制がありますが、ハンデを加味せずにカウントした総打数をグロスと呼ぶのです。

なお、ハンデを加味したスコアはネットスコアと呼ばれます。

例文

第8ホールのグロススコアは82だった。ハンデが10あったので、ネットのスコアは72という結果だ。

間違えると恥ずかしい!グロスとネットの使い分け方

分野ごとの例でも紹介してきた通り、総合計という意味のグロスとは相対する言葉があります。「差引合計」という意味のネットです。

グロスとネットは、とり違えると全く意味が変わってしまうデリケートな関係にあります。

そこでグロスとネットの違いに注目し、さらに詳しい使い分けをチェックしていきましょう。

値や重量に関するグロスとネットの違い

食料の重量について紹介した際、グロスとネットの違いも簡単に述べました。

値段や重量を取り沙汰する際も、同様の考え方で対応できます。やはり通販の例が一番わかりやすいでしょう。通販で商品を購入する際、本体価格の他に送料がかかりますよね。

また消費税についても税込か税別かにより支払額が変わってきます。つまりネットの値と、グロスの値をそれぞれ認識する必要があるということです。

例えば本体価格がいかに安くとも、送料が割高ならばグロスの価格として魅力がありませんよね。

また大量購入する際などは、重量にも気を配る必要があるでしょう。

1つ当たりの商品は軽いはずなのに、まとめて注文した際には結構な重さになる場合があるはずです。

よって重量の情報がネットかグロスか、つまり表記重量が梱包材込かどうかによって結果が変わる可能性もあるということです。

売上や会計に関するグロスとネットの違い

売上や会計の取りまとめにおいても、グロスとネットの違いは重要です。

売上の過程には値引きや返品がつきものです。さらに連結決算であれば、取引高消去の概念も入ってきます。

シンプルに売上の事実だけに注目し、全事業所の売上を単純合算すればグロス売上高が算出できます。

一方で値引きや返品、あるいは取引高消去を加味し、正味の売上実績を算出したものがネット売上高です。

どちらの概念も重要ですので、セットで覚えておきましょう。

ゴルフに関するグロスとネットの違い

ゴルフにおけるグロスとネットの違いは、簡単にいえばハンデの取り扱いに尽きます。

つまり、売上や会計におけるグロスとネットの違いに近いといえます。

ハンデを加味せず、全ホールの打数を単純合算したものがグロススコアです。

一方、ハンデを加味して算出した正味のスコアがネットスコアというわけです。

広告業界の常識!?グロスは定価・ネットは原価

広告業界におけるグロスとネットの違いは、諸経費の取り扱い方によるものです。

広告そのものにかかるコスト、すなわち原価がネット価格です。

一方、原価に加えて諸経費を加味した総額が定価です。

つまり定価に当たるのがグロス価格ということです。

原価・定価という表現が堅苦しい場合は、次のように覚えましょう。

広告料だけであればネット価格です。

そして広告料に、代理店手数料などのマージンが上乗せされたものがグロス価格です。

ごくシンプルなロジックですよね。

一見特殊な広告業界といえども、実は一般的な商品と同じ価格設定要領を踏襲しているのです。

グロスの類語をチェック!マージンとはどう違う?

グロスにはいくつかの類語があります。主な類語を2点紹介します。

総合計(総計)

主に売上や会計に使い方で、数量や重量といった、対象の数値を全て合計したものです。

一般的な合計との違いとして、集計対象が複数に分かれていることが前提になっています。

例えば全国に支店がある会社の場合を想定しましょう。

支店ごとに業績が発表されても、そのままだと会社全体の業績は不明のままですよね。

そこで各支店の業績に関する数値データを集約させる必要があります。

さらに全社としての業績を算出したものが、総合計ということです。

全体

グロスは元々「全体」という意味です。

数値を集計する場面以外であれば、全体という意味で使うことが主でしょう。

業界ごとの事例で述べた用法にも、共通して全体というニュアンスが含まれています。

発音は一緒でも英語「gloss」では意味が全く違うので要注意

最後に、注意事項としてグロスの同音異義語を紹介します。

英語“gloss”は、日本語表現上の発音だと「グロス」になってしまいます。

よって“gross”とは同音異義語の関係に当たります。

“gloss”はいわゆるリップグロス(lip gloss)のことです。

つまり美容関係のアイテムなので、仮に誤用すると話が通じなくなってしまいます。

しかしそれぞれのニュアンスについては文脈で読み取れるはずです。

グロスが総合計・全体の意味で使われているのか、それとも美容用語として使われているのか。

話の前後関係を意識していれば、自ずとトラブルを避けられるでしょう。

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