物事の進行や進捗に関する話題で頻出するのが、ボトルネックという言葉です。ビジネスではもちろん、例えばPC周りの動作においてもよく使われています。
問題点を改善するには、まず対象のボトルネックを知ることが大事。認識することで、その後の対応策も見えてきます。
ボトルネックの使い方を正しく理解し、適切に運用できるようにしていきましょう。
ボトルネックの意味は?一般的なビジネスシーンでの使い方
ボトルネックにはユニークな由来があります。由来を知れば意味についても納得できるでしょう。
由来や意味と併せて、ビジネスシーンでの使い方も紹介します。
仕事の妨げになっている要因
ボトルネックとは、仕事の妨げになっている要因という意味です。ボトルネックでなくとも、ネックという言葉ならば聞いたことがあるのではないでしょうか。
ネックも意味は同じです。ただし、近年ではボトルネックという表現の方が定着しているようですね。
ワイン瓶などの形に由来
ボトルネックはワインなどが入った瓶の形状に由来します。瓶の先端周辺、つまり首の部分をボトルネックと呼んでいるのです。
ボトルネックのポイントは胴体部分に比べて、先端が細いという点です。
ワイン瓶のように胴体部分が広くなっており、先端が細くなっている瓶をイメージすればわかりやすいでしょう。
胴体部分のボリュームが大きくても首の部分が細いと、ワインの流れは自ずと制限されますよね。
よって瓶の首部分によって流れが制限される、という様をボトルネックと表現するようになったのです。
ボトルネックは英語「bottleneck」が語源
カタカナ語ボトルネックの語源は、英単語“bottleneck”です。カタカナ語ボトルネックでも、英語の意味・用法をそのまま取り入れています。
よってカタカナ語の感覚のまま、英語圏で「ボトルネック」と発言しても概ね問題ないでしょう。
分野別ボトルネックの意味や使い方を分かりやすく解説
ボトルネックの概念についてはOKですね。分野によって細かい用途は異なるものの、基本的な性質は概ね共通です。
以上を踏まえ、分野ごとの意味と用例を見ていきましょう。
IT分野でのPCやシステムにおけるボトルネックの意味
IT分野におけるボトルネックとは主にPCの不調やシステム障害など、動作の妨げになるものを指します。
PC不調・システム障害といったトラブルの原因を探っていくと、多くの場合何らかのボトルネックに行き着きます。
IT分野はボトルネックがよく使われる分野の代表格といえます。ボトルネックによる因果関係が比較的わかりやすいからです。
PCの場合は、構成機器やインストール済のアプリケーションに問題がある場合がほとんどです。
システムの場合は管理下のPCに異常があったり、機材に物理的な障害が生じている場合が多いでしょう。
書籍の編集作業におけるボトルネックの意味
書籍の編集といえば、どんな作業があるでしょうか。例えば小説における文章の校閲や雑誌における画像加工など、多くの人手が窺えますよね。
書籍の編集作業においても、ボトルネックは存在します。先に挙げた例をそのまま流用しましょう。
文章校閲の際に都度辞書を引いたり、Webで用例を確認したりしているようでは一向に作業が進みません。チェックを実施するだけの校閲力がないということです。
この場合、編集担当の校閲力にボトルネックがあるといえます。
一方、雑誌の画像加工に手間取るというケースはどうでしょうか。画像加工の場合はデジタルデータを扱うため、必然的にPCの利用が前提になります。
障害が発生するとなれば、様々な要因が考えられます。PCに不具合が出ていたり、PC性能が画像加工ソフトの使用条件に堪えられなかったりというケースもあるでしょう。
いずれも作業上の障害なので、やはりボトルネックに当てはまります。書籍編集におけるボトルネックは多岐に渡るといえます。
パターンを限定せず、あらゆる場面でボトルネックは生じ得ると考える方がよいでしょう。
遺伝子学におけるボトルネックの意味
遺伝子学におけるボトルネックは専門用語です。厳密には集団遺伝学におけるボトルネック効果というもので、別名を瓶首効果(へいしゅこうか)といいます。
ボトルネック効果とは、母集団の中から少数の個体を取り出すと、母集団とは異なる特殊な性質を持った個体として生育していく確率が高まる効果のことです。
ボトルネック効果が発生する理由としては、次のようなものが考えられます。
元の暮らしとは異なる生活環境に適応するため、必然的に生活様式を変化させることになるというものです。
ファッション・アパレル分野におけるボトルネックの意味
ファッションやアパレル分野におけるボトルネックとは、いわゆるハイネックの派生スタイルです。
セーターなどに代表される洋服スタイルの1つで、首付近の形状(ネックライン)が首に沿って細く立ち上がったデザインを指します。
襟を付けたり折り返したりせずに、範囲を狭めながら瓶の口のように上に向かって立ち上げることからボトルネックの名称が付きました。
一般的なハイネックよりも、ネックラインをやや低く設定するのが特徴です。
ボトルネックの正しい使い方を例文でチェック
分野ごとの意味や用例を踏まえて、今度は具体例を考えてみましょう。
ボトルネックの使い方を例文形式で紹介します。
例文
契約内容に対してインターネット回線のスピードが十分に出ていないことがわかり、自宅の通信環境に疑義が浮上した。調査の結果、ボトルネックは自前で用意したルーターだと判明。原因はルーターの年式が古すぎることだった。
例文
遺伝子学におけるボトルネック効果は動物においても報告されている。例えば通例、猫に芸を教えることは困難である。しかし、幼少期より犬とともにペットとして生育した猫の事例がある。飼い主の号令に従って犬と同様の動作をするという、何とも珍しい映像が記録されているのだ。これもボトルネック効果といえるだろう。
例文
雑誌編集の仕事で使っているPCをアップグレードし、OSを新調した。作業が快適になることを期待したが、むしろかえってPC全般の動作が遅くなってしまった。OSに対してマシンスペックが不足しているのが原因のようだ。PC不調が業務上のボトルネックになっているため、CPUの交換により対応する予定だ。
ボトルネックの類語や同義語をまとめてみた
日本語の中にも、ボトルネックの類語や同義語があります。代表的なものを紹介します。
瓶首(へいしゅ)
瓶首とは読んで字の如し、瓶の首という意味です。
日常的に使われる機会は少なく、むしろ遺伝子学における瓶首効果の名称で知られていると考えられます。
隘路(あいろ)
隘路とは、物事の進行を妨げる問題を指します。
字の成り立ちは「道を遮る難所・障害」という意味で、一般的なボトルネックの意味に一番近い言葉といえるでしょう。
ボトルネックを弱点と考えるのは間違い?
ボトルネックについて、いわゆる弱点のことだと述べている説明や解説があります。全くの間違いとも言い切れませんが、決して満点の正解ではありません。
では反対に、弱点をカタカナ語にしたらどうでしょうか。。ウィークポイントという言葉が真っ先に出てくるはずですね。
ボトルネックの原点は、やはり進行上の障害や妨げなのです。「ボトルネック=弱点」という解釈は、いわば意訳に近いといえるでしょう。
ボトルネックの解消に必要なことをかんたん解説
最後に、ボトルネックを解消するために必要なことを解説します。まずボトルネックが存在する、という前提で議論がスタートしていますよね。
では次に、ボトルネックの正体を突き止める必要があります。業務の運用や組織の運営において、問題や課題は多少なりともあるはずです。
まずは問題や課題を思いつく限り列挙していきましょう。やがて諸問題の解決を阻む要因になっているものが見えてくるはずです。問題や課題自体はボトルネックではないということです。
諸問題の解決を阻む要因こそ、ボトルネックの正体なのです。冷静に状況分析を行い、ボトルネックを発見できればしめたものです。問題解決の道は自ずと開かれるでしょう。