名は体を表すといいますよね。言葉の通り、使い方までも柔軟なのがフレキシブルです。
元々はビジネス寄りの場面で使われることが多かった言葉ですが、今では日常生活にも浸透しています。
もはや日本語で柔軟というより、むしろフレキシブルという方が汎用表現になりつつあるといえるでしょう。
フレキシブルについて、最近の用例・用法を中心にまとめてみました。
フレキシブルの意味とは?
おさらいを兼ねて、フレキシブルの意味から確認していきましょう。
ルーツである英語と、言葉の持つ性質にも注目します。
一般的には「融通」「柔軟」
フレキシブルとは一般的に、融通が利く・柔軟であるという意味で使われます。
融通、柔軟ともにちょっと堅苦しい言葉に聞こえますよね。
しかしフレキシブルと言い換えると、若年層にも親しみやすい表現になるというわけです。
英語のフレキシブル「flexible」に由来
カタカナ語のフレキシブルは、英単語“flexible”に由来します。
ちなみに“flexible”は形容詞で、名詞形が“flexibility”です。フレックスタイムなどで知られる“flex”は動詞形ですね。
前向きな意味で使われている
英語圏で“flexible”というと、まず曲げやすい・たわみやすいという意味が優先されます。
実のところ、日本語圏で使うような融通や適応といったニュアンスはさほど強くありません。
日本文化に輸入された際、フレックスは融通や適応性に関する言葉として前向きに捉えられたのです。
ビジネスにおけるフレキシブルの意味や使い方を例文でチェック
続いて、ビジネスシーンにおけるフレキシブルの位置づけをチェックしてみましょう。
場面ごとの意味や使い方はどのようなものでしょうか。
仕事の指示や進行「フレキシブルな対応」
仕事の指示や進行を担当する責任者が時折、フレキシブルな対応をしてほしいと発言することがありますよね。
すなわち指示や進行に拘り過ぎず、状況に応じて柔軟に対応してくださいということです。
自分からは一切アクションしないような、いわゆる指示待ち人間を戒めるニュアンスも含まれています。
例文
「店長、予定より3分早く終わりました!余った3分間、どうしたらいいですか?」
「いやいや、その分早く次の仕事に取りかかればOKでしょ。フレキシブルにいきましょうよ!」
スケジュール調整「フレキシブルな回答」
スケジュールを調整する際にも、フレキシブルは使われるます。どのような場面かといえば、状況に応じて変動しても構わないスケジュール調整を行うということです。
分刻みで厳密なスケジュールを立てるのではなく、ある程度アバウトに構えようということですね。
レキシブルな回答を行う場面としては、スケジュール調整を頼まれる場面が考えられます。
そこで「何時何分」という明確な回答を避けたい場合や、さらに前の予定が変動し得るようなスケジュールを組んでいる場合には、フレキシブルな回答をするべきでしょう。
例文
「部長、経理課の佐藤課長が明日の15時にアポを取りたいとのことです。経費予算についてヒアリングしたいそうですよ」
「うーん、弱ったな。ちょうど14時~15時のスケジュールが相手都合で流動しそうなんだよね」
「一旦保留にしますか?」
「いや、身内のヒアリングなんだし、ここはフレキシブルに回答しよう」
「といいますと?」
「外からの戻りが15時を過ぎる可能性があるから、帰社次第連絡すると伝えてちょうだい」
「なるほど、承知しました!」
フレックス制度「フレキシブル休暇」
近年、企業におけるフレックス制度の拡充が進んでいますね。スーパーフレックス、フレックスタイムなどバリエーションも多様化してきました。
フレックス制度の1つとして、フレキシブル休暇というものがあります。主として会社の公休とは別に、任意のタイミングで休みをとってよいという趣旨です。
フレキシブル休暇の運用は会社によって異なります。例えば有給休暇の中に組み込むケースもあれば、夏季休暇を任意のタイミングで取ることを指す場合もあります。
例文
夏季休暇として公休3日間の他に、2日間のフレックス休暇をもらえることになった。続けて5日間の休みを取るのが理想だが、同じプランを考える人は多いだろう。部署内での調整が必要だ。
シーン別フレキシブルの関連語の意味をチェック
今度はビジネス以外のシーンで登場するフレキシブルを紹介します。
単独でフレキシブルというのではなく、各分野独自の組み合わせによる関連語ばかりです。
この機会に是非マスターしましょう。
音楽・吹奏楽用語「フレキシブル・アンサンブル」の意味
音楽の分野、特に吹奏楽用語としてフレキシブル・アンサンブルというフレーズがあります。直訳で柔軟な合奏、というだけなら誰でも理解できます。
ではどのように柔軟かといえば、与えられた楽譜に対し、奏者の人数や楽器パートを自由に変更できるという点が挙げられます。
つまり奏者や指揮者の裁量が大きい、という意味でフレキシブルなのです。
資材用語「フレキシブル電線」「フレキシブル配管・ホース」の意味
エンジニアリングの分野にも、フレキシブル関連のフレーズが存在します。中でも資材用語である、フレキシブル電線とフレキシブル配管・ホースを紹介します。
フレキシブル電線とはフッ素樹脂電線の一種で、多孔質PTFE(PTFE=テフロン)を絶縁体とするのが特徴です。一般的なPTFE電線よりも柔軟性に優れる点で知られています。
次にフレキシブル配管・ホースですが、厳密にはフレキシブル配管工法という配管の方法論を指します。
フレキシブル配管工法とは、ガス用ステンレス鋼フレキシブル管(フレキ管)を用いて配管する工法です。フレキ管は、一般的な鋼管よりも軽量で柔軟性が高いのが特徴です。
フレキシブル配管工法は壁内・天井裏・床下などといった隠蔽部の配管に有用とされています。
便利グッズ「フレキシブルアーム」の意味
フレキシブルアームは日常生活における、いわゆる便利グッズです。
近年ではスマホホルダーとしての用途が多いですね。
ゴム・ABS・アルミ合金といった複数の素材で構成されており、軽くて耐久性が高く、しかも柔軟というのが特徴です。
高等教育「フレキシブルスクール」の意味
フレキシブルスクールとは高等学校の一形態で、日本では2000年代に入って初めて誕生しました。
フレキシブルスクールの特徴は生徒が自主的に履修科目を選択し、自分の意志に基づいて時間割を作れるという点です。
いわば大学の履修制度を取り入れたスタイルというわけですね。
ホテル業界「フレキシブル料金」の意味
ホテル業界では料金プランの1つに、フレキシブル料金というプランがあります。
フレキシブル料金は、予約日や滞在の日程によって料金が変動するという仕組みです。
また他のプランに比べて、日程の変更やキャンセルについても融通が利くとされています。
フレキシブルの類語や反対語をチェック
フレキシブルには類語や反対語がいくつかあります。
中でも、カタカナ語の代表例を紹介します。
フレキシビリティ
フレキシビリティ(flexibility)は、フレキシブルの名詞形です。つまり柔軟性や融通性を表します。
フレキシブルの浸透に伴い、フレックスやフレキシビリティといった派生語もカタカナ語として定着しつつあります。
インフレキシブル
フレキシブルの反対語に当たるのがインフレキシブル(inflexible)です。インフレキシブルには曲がらない・頑固・不屈といった意味があります。
ただしフレキシブルに比べて、インフレキシブルはほとんど浸透していません。本来使うのに適した場面でインフレキシブルと発言しても、スムーズに通じない可能性があります。
当面はフレキシブルではない、と表現する方が妥当といえそうですね。
フレキシブルな人になるためには?資質や注意点をまとめてみた!
フレキシブルな人になるためには資質が必要だったり、注意すべき点があったりします。ただし、いずれも困難なものではありません。
まず資質については、視点を幅広く持つことが必要です。物事を真正面から見るだけでは不十分で、角度や立場を変えて様々な捉え方をする必要があります。
すると自分の立場だけでなく、第三者の立場でものを考えられるようになるはずです。
次に注意点については、凝り固まってはいけないということです。端的にいえばインフレキシブルにならないように、ということですね。
人の話をよく聞く、相手の気持ちを思いやるといった当然のことができれば、自然とフレキシブルな人になれるでしょう。