著名人がインタビューを受ける際、モットーについてたずねられる機会は多いですよね。著名人でなくとも、日常生活の中でモットーという言葉に触れる場面はあるものです。
例えば面接であったり、目上の人から話をうかがったりといった状況ではしばしば聞かれるでしょう。
どうやらモットーは、Q&A形式の会話と親和性が高そうですよね。
モットーとは果たしてどんな意味なのか、またQ&A形式以外の用法はないものか。詳しく掘り下げてみましょう。
日本語でモットーの2つの意味を解説
モットーは日本語で言い換えると2つの意味に大別できます。モットーの使い方としては、個人と企業で分けるのが妥当です。
個人と企業それぞれにおけるモットーの意味と、語源についても見ていきましょう。
モットーを個人で使うときの意味
個人がモットーと表現する場合は、「信条」や「座右の銘」という意味が当てはまります。
特にスポーツ選手などが目覚ましい結果を残した直後、雑誌がインタビューの特集を組んで成功の秘訣を聞き出そうとしますよね。
なぜインタビューの需要が生じるかといえば、成功者の行動指針や価値観、生活態度などに関心が集まるからです。
Q&Aとモットーの間に親和性があるのは、インタビューの事例からも窺えるでしょう。
モットーに関する質問がなされる理由は、相手がどのような信条に基づいて日々を送っているかを知るのに役立つからですね。
モットーを企業で使うときの意味
モットーを企業で使う場合は、「方針」や「指針」という意味が当てはまります。企業全体のモットー、もしくは従業員としてのモットーのどちらでもOKです。
「針」という言葉が示す通り、企業におけるモットーとは方向性を表すものといえます。
いわば航海における羅針盤のようなもので、カタカナ語であればベクトルと言い換えてもよいでしょう。
もともと何語?モットー語源の意味
モットーの語源はラテン語であり、声・発声という意味の“muttum”が原型です。
やがて“muttum”から“motto”に変化し、イタリア語を経て英語に取り入れられたとされています。
カタカナ語のモットーは英語表現を踏襲したもので、「格言・金言」「個人や組織の目標・原則」といったニュアンスを輸入したのです。
モットーの正しい使い方を例文でチェック
モットーの意味や語源を把握できたところで、実際に運用する場面をイメージしてみましょう。
例文を3つ紹介します。
例文
私のモットーは、できる限り他人に迷惑をかけないように生きることだ。といっても他人との接触を避けるという意味ではなく、お節介にならない程度に助け合いながら共存していくことが大切だと考えている。
例文
顧客第一主義が当社のモットーだ。近年の企業は株主や得意先といった、顕在化したステークホルダーを優先する傾向が見られる。当社としてはむしろ、全国にいるであろうお客さん一人ひとりにプライオリティを置く方向性で営業していくつもりだ。
例文
優れた功績を挙げたスポーツ選手にインタビューする際、信念を持った記者であれば読者の意向を汲んで一流選手がどのようなモットーを持ち、どのように自己鍛錬しているかといった内面性に意識を向けて質問をする。
モットーの類語や日本語の言い換えをまとめてみた!
モットーには類語や、日本語による言い換え表現がいくつか存在します。代表的なものをピックアップしてみましょう。
モットー と「標語」「座右の銘」「信条」「理念」意味や違い
まずは日本語による言い換え表現から見ていきましょう。主なものとしては次の4つが挙げられます。
標語
標語とは意見・主張などを簡潔に表現した文言のことです。いわゆるスローガンに相当し、短くインパクトのある文句が選ばれます。
座右の銘
座右の銘とは自分の心や精神を律し、正しく生きていくための格言をいいます。自分自身の経験に基づく人生哲学を簡潔にまとめた言葉と考えればよいでしょう。
信条
信条とは、生きていく上で固く信じて守っている事柄を指します。元々は信仰の箇条に由来し、転じて今日の用法として浸透した言葉です。
理念
理念とは、物事のあり方についての基本的な考え方をいいます。理想に関する考え方と言い換えてもよく、特に企業においては社是や経営における基本的な心構えとして扱われることが多い言葉です。
モットー と「ポリシー」「スローガン」「キャッチコピー」意味や違い
続いてカタカナ語によるモットーの類語を紹介します。
ポリシー
ポリシーとは政策や指針のことです。日本ではしばしば信条と同義で扱われる場合がありますが、本来は組織もしくは政治における方針や指針を表すものだという点に注意しましょう。
スローガン
スローガンとは、企業や団体の主義・主張を短い文句で表したものです。
スローガンは「組織として発表する標語」ともいえます。仮に個人で同じことを行った場合、スローガンには該当しない点も押さえておきましょう。
キャッチコピー
キャッチコピーとは主として商品や作品の謳い文句、もしくは煽り文句のことです。
対象の購買意欲や視聴意欲などを刺激する、より端的にいえば「人のハートをつかんでとらえる言葉」という意味でキャッチコピーの名前がついています。
面接で人生のモットーを聞かれたら?失敗しない四文字熟語やことわざ回答例
転職や就活において、面接対策は必須ですよね。面接官は志望者の人となりを知ろうとします。面接において、人生のモットーに関する問いかけは定番の質問事項といってよいでしょう。
なぜなら、面接官はモットーについての質問を通じて志望者の人生に対する考え方や、社会人としての姿勢をチェックしているからです。うまく回答できれば、好印象も期待できるでしょう。
人生のモットーに関する質問の対処法として、回答に役立つ四文字熟語やことわざを紹介します。
質実剛健(しつじつごうけん)
質実剛健とは飾り気がなく真面目で、かつ強く健やかな様をいいます。簡単にいえば素朴で実直な上に、タフであるという意味です。
質実剛健の歴史を辿ると、日本の明治時代に誕生した言葉であることがわかります。
時の明治天皇は国民に向けた詔書の中で、「国民は忠実に仕事に励み、勤勉に倹約をして生計を立て、自ら質実を重んじ自らを励み勉め続けなければならない」との一文を記しました。
明治天皇が記した一文は新時代の国民に対する期待であり、質実剛健の根本になっていったのです。質実剛健の精神は、明治天皇の言葉に宿っていたというわけですね。
明朗快活(めいろうかいかつ)
明朗快活とは明るく朗らか、かつ元気で活発な様をいいます。
明朗快活の成り立ちはとてもシンプルで、「明朗」と「快活」という、親和性の高い2つの熟語を組み合わせて誕生しました。組み合わせた際の語感も良いですよね。
ちなみに「明朗」は曇りなく晴れやかで、明るく前向きであるという意味です。「快活」とは元気でハツラツとしており、活発な様を表します。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
虎の子が欲しいと考えるのなら、虎の住処に踏み込む勇気が必要だという意味。主として、「危険を冒さなければ大きな成果を望むことはできない」というニュアンスの比喩として使われます。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは元々、中国は後漢王朝期の名将として知られる班超による故事成語です。
危機に陥った班超が部下を鼓舞し、苦境を打破するきっかけを作った言葉として今も語り継がれています。
企業のモットーの一例を紹介
社是、経営理念など様々な呼び方はあるものの、どの企業にもモットーはあるものです。
企業のモットーの中から、わかりやすい例を紹介しましょう。
服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ユニクロ社を傘下に置く、ファーストリテイリンググループのモットーが「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」です。
企業グループのHPによると“statement”(声明・宣言)と位置づけられていますが、経営の根底にある理念ということからモットーと位置づけてもよいでしょう。
ユニクロ社も自身のモットーを掲げていますが、その上位に位置する母体グループのモットーも押さえておくとより理解しやすいはずです。
すべてはお客様の元気のために!
金沢カレーの火付け役として、2003年の創業から急成長を遂げたカレーライスチェーン企業がゴーゴーカレーです。
元読売ジャイアンツ・ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜氏の背番号(55)にちなんで名付けられたという、ユニークな店名が特徴ですね。
各店舗内では自動音声によって、企業のモットーおよびスローガンである「すべてはお客様の元気のために!」が繰り返しアナウンスされており、1つの名物になっています。
まとめ
モットーという言葉は、個人が使うイメージが強いかもしれません。記事の中で述べてきた通り、企業などの組織や団体がモットーを使っても全くおかしくないのです。
信条にしても経営方針にしても、主体が個人か企業かの違いだけで、モットーの本質は全く同じであることがおわかりいただけたでしょう。「最も重んじ、大事にする心構え」というポイントが重要なのです。
優れたモットーを持ち、実践している人物は良い人生を送っていることが多いものです。
ビジネスにおいても、体面だけでなく従業員の行動レベルにまでモットーを落とし込んでいる企業は、社会的に評価されている場合が多いでしょう。
モットーとは単なるうわべの言葉ではありません。人生訓や生活心得、会社であれば企業理念を表現したものであることを覚えておきましょう。