ブラッシュアップは日常、ビジネス共に使える便利なカタカナ語。研鑽を積む・洗練させるといったやや固い日本語も、ブラッシュアップの一言で代用できるのです。
ブラッシュアップの基本的な意味は誰もが知っているもの。基礎知識を発展させ、ブラッシュアップに関する知識そのものをブラッシュアップしていきましょう。
ブラッシュアップとは略語なの?意味を簡単解説
ブラッシュアップとは元々、どんな意味なのでしょうか。。英語表現として正しいのかどうかもチェックしてみましょう。
ブラッシュアップの由来とは?英語「Brush Up」の意味をチェック
ブラッシュアップの語源は英語の“Brush Up”というフレーズ。“Brush Up”とは、文字通りブラシをかけるという意味の表現。具体的には髪型を整えたり、服装を正したり、英語力を鍛え直したり。
“Brush Up”というフレーズの根底には「状態を正す」というニュアンスがあります。
本来の使い方としては、乱れていたものを整えたり、汚れていたものを綺麗に直したり、くたびれていたものを正常に戻したりといった修復・原状回復の内容が当てはまるということですね。
ブラッシュアップとは「一段と磨きをかけること」
日本語表現で使われるブラッシュアップには、「一段と磨きをかけること」という意味があります。英語のフレーズ“Brush Up”とは異なり、「状態を元に戻す」というニュアンスは含まれません。
カタカナ語のブラッシュアップに内在するのは回帰志向の「原状回復」ではなく、「洗練や発展」という未来志向の性質なのです。
ブラッシュアップという言葉を使うに当たっては、英語表現と日本語表現とで本質的に意味が異なる点に注意しましょう。
ブラッシュアップの類語や日本語の言い換え
ブラッシュアップには洗練や発展のニュアンスがあることを踏まえ、類語や日本語での言い換え表現を探してみましょう。
洗練
日本語表現で使われるブラッシュアップに最も近い言い換え表現が「洗練」です。洗練とは元のものを洗い、磨きをかけて垢抜けた状態に仕上げること。練度を上げ、無駄をなくして品質を高めるという意味もあります。
改良
品質やグレードを向上させる行為を「改良」といいます。元々の状態よりもさらに良いものにするという意味ですね。
ブラッシュアップの使い方やビジネスでの意味とは?
類語や言い換え表現を踏まえ、実際にブラッシュアップを使う場面をイメージしてみましょう。
ブラッシュアップは能力やスキルを向上させる際に使用
一般的にいうと、ブラッシュアップは能力やスキルを向上させるというニュアンスで使われます。
例えば「服装センスをブラッシュアップする」という表現はOKですが、「洋服をブラッシュアップする」という言い方はしません。
違いのポイントは、能力・スキルに関するキーワードの有無。取り上げた例の場合、ブラッシュアップするのは「服装センス」という能力・スキルであって、洋服そのものではないということですね。
ブラッシュアップする対象は能力やスキルに限られるという点は、ビジネス・日常とも共通です。運用上の大事なポイントなので是非おさえておきましょう。
ビジネスシーンで使用するブラッシュアップの例文5選
ビジネスシーンで使われるブラッシュアップを、例文形式で5つ紹介します。
例文
「第1四半期の売上データをExcelで集計しておいて。ピボットテーブルを使うと楽だよ」
「ピボットテーブルって何ですか?」
「今回は教えてあげるけど、Excelの知識をブラッシュアップしないとね」
例文
商談のため、英語圏に出張することになった。英語堪能な部下が通訳をしてくれるので助かるが、部下に頼りっきりというのでは格好がつかない。英語スキルをブラッシュアップする必要がある。
例文
製造リードタイムのブラッシュアップを図るため、トヨタ方式を採り入れることにした。必要なものを必要なときに必要なだけ製造する、コンパクトでスリムな体制にするのだ。
例文
業績の推移をチェックすると、クレームやトラブルの発生率に改善が見られない。せっかく売上は好調なのだから、お客様満足度を向上させる必要がある。接客を中心としたサービス全般をブラッシュアップし、名実ともに一流店を目指さねば。
ブラッシュアップとスキルアップの使い分けを解説
ブラッシュアップには「能力やスキルを向上させる」という意味がある旨をお伝えしました。
スキルの向上といえば、スキルアップというカタカナ語を連想しますよね。ブラッシュアップとスキルアップは、果たしてどのように違うのでしょうか。
スキルアップの意味とは?
スキルアップを理解するには、そもそもスキルという意味を知っておく必要があります。
スキル(skill)とは技能のことで、訓練や学習によって身につけるもの。スキルと表現する場合は一般的な能力というよりも、資格や特殊技能などの意味が強調されます。
従ってスキルアップとは、「技能を向上させる」という意味のカタカナ語だといえるでしょう。
ブラッシュアップとスキルアップの違い
ブラッシュアップとスキルアップの違いは、対象が資格や特殊技能であるか否かがポイントです。
例えば「文章力を向上させる」という意味を表現する場合を考えてみましょう。
文章力に対してはブラッシュアップなら通じますが、スキルアップは不適切。というのも一般的な文章力とは資格や特殊技能ではなく、誰にとってもオープンな能力だからです。仮に文章力を服装センスに置き換えても、理屈は同じですね。
反対に、資格や特殊技能に磨きをかける場合の表現については、スキルアップでもブラッシュアップでもOKとみなされています。
対象がスキルだからといって、表現を「スキルアップ」に限定しなくともよいわけです。
デザインや文章をブラッシュアップする意味は?デキる人が教えるコツを紹介
優れたデザインや文章は、見る人を自然と引きつけますよね。たとえ伝える内容そのものは同じであっても、デザインの表現や文章の言い回しひとつで相手に与える印象は大きく変わります。
デザインや文章をブラッシュアップする意味は、特定の内容をできるだけ魅力的に伝えること。だからこそデザインや文章のプロフェッショナルが存在し、専門の会社が必要とされるのです。
デザインや文章のプロフェッショナル、いわゆるデキる人による仕事のコツは、なんといってもシンプルでインパクトがあること。
どんなに手が込んでいてテクニカルであっても、複雑でわかりにくければ人々の心に響きません。
文章であれば起承転結が明快であること。デザインであれば訴えたいものが明確に絞り込まれており、分散していないこと。基本の理屈は同じで、内容が散漫にならず洗練されていることが肝心。
いずれも詰まるところ「洗練」、すなわち「ブラッシュアップ」というキーワードに帰結するのです。
英会話や英文のやり取りでブラッシュアップはNG?「refine」推奨な訳
先述の通り、英語表現における“brush up”には「能力を向上させる」という意味はありません。
カタカナ語のブラッシュアップと同じ意味合いを英語で表現したい場合は、“refine”と発言するとよいでしょう。
“refine”とは不純物を取り除き、磨きをかけて洗練させること。正にカタカナ語のブラッシュアップと同じ意味ですね。
“refine”は他動詞であり、目的語を必要とします。例えば「英語力をブラッシュアップするつもりだ」という文章を英訳すると、下記のようになります。
例文
・I wiil refine my English.
・I want to refine English skills.