誰でも自分が言ったことを否定されるのは、気持ちの良いものではありません。そのため最初から否定してしまうと、相手の心は閉じてしまいますので、その後の会話がうまくいきません。
違う意見を言うときは、相手を説得しようとするのではなく、相手を尊重しながら、相手が受け入れやすい話し方で説明や対応をするとよいです。
相手があなたの話を受け入れやすくするためには、相手の意見を肯定的に受け取ることが必要です。
たとえ相手の意見をそのまま受け入れられないとしても、相手の望んでいることに寄りそって違う意見を言うことで、相手は否定されていると感じることなく、違う意見を受け入れられるような会話の流れが作れるとよいでしょう。
お断りや違う意見をやわらかく伝えるために
電話応対で不在を告げる場合を例に見てみましょう。
例文
「○○さんはいらっしゃいますか?」
A:「申し訳ございませんが、ただいま、外出しております」
B:「申し訳ございません。ただいま外出しておりますが、○時に戻る予定です。お急ぎでしたら、こちらから連絡とりまして、ご連絡するよう申し伝えますが」
前者Aの言い方では、申し訳ございませんとクッション言葉を入れることで、丁寧に不在を告げていますが、後者Bの言い方のように不在の旨をお伝えした後、こちらから連絡させましょうかとプラスの気遣いを示す代案を提案していますので、印象がさらに良く、温かみのある対応となります。
このように相手の意にそわない場合の対応や、違う意見を言うときの効果的な方法として、ノーバット法、イエスバット法、イエスアンド法というものがあります。
ノーバット法
相手の要求を「NO」とお断りした後で代案を示す方法です。代案を示すことで、相手の要求に対して肯定的に対応します。
例文
「この商品が欲しいです。すぐに使いたいので、今日持ち帰りたいです」
「申し訳ございません。ただいま当店には在庫がないので、本日のお渡しは難しいです。しかしながら、他店に問い合わせたところ、在庫がございましたので明日の午後であれば入荷いたします。」
ノーバット話法は、最初に「NO」とお断りするものの、代案を出すことで肯定的に締めくくるので、相手に良い印象を与えられるというメリットがあります。
「NO」と言った後に間があると、相手の中で「否定された」という思いが強くなったり、気持ちのトーンが下がってしまいますので、「NO」というお断りの後は、間を置かず、代案を示すとよいでしょう。
イエスバット法
最初にイエスと受け止めることで、相手は認められたと感じられるため、その後の話を聞いてもらいやすい状況が作れます。
その後に、「しかし・・・、でも・・・」とこちらの意見を言う流れです。
例文
「この商品が気になるけど、ちょっと値段が高いですねえ・・・」
「そうですね、確かに他の商品と比べてちょっと価格は高いですね。でも、他には無いこんな機能がついているんですよ」
相手の意見を受け入れて、相手の心を開いた上で、「でも・・・」と説明を続けるため、相手の視点を変えやすくなります。
ただ、注意点としてイエスバット法は、相手も続けてイエスバット法を使ってしまう流れに陥る場合があります。
例文
「この商品が気になるけど、ちょっと値段が高いですねえ・・・」
「そうですね、確かに他の商品と比べてちょっと価格は高いですね。でも、他には無いこんな機能がついているんですよ」
「そうですか。機能が充実しているんですね。でも、ここまでの機能は必要ではないので・・・」
このようにお客様もあなたが言ったことを肯定し、その後否定するという流れに入ってしまい、堂々巡りになる場合もあります。
イエスアンド法
イエスの後に「しかし、でも」でつなぐのではなく、「では、それなら」と相手の意見に沿いながら、提案を「AND」でつなぐ方法です。
例文
「この商品が気になるけど、ちょっと値段が高いですねえ・・・」
「そうですね、確かに他の商品と比べてちょっと価格は高いですね。実は価格が高いのにもそれだけの理由がありまして、最新の機能がついているんですよ」
「BUT」で違う意見を言うのではなく、「AND」で追加の説明をつなげていくため、やわらかい印象を与えることができます。
まとめ
- ノーバット法:相手の意見は否定するが、すぐに相手の要望に対しての代案を出すことで肯定的に締めくくる
- イエスバット法:まず相手を肯定することで、相手の心を開き、違う意見を聞いてもらいやすくする
- イエスアンド法:相手を肯定した上で、相手の意見に沿いながら、提案をプラスしていく
ポイントは相手を受け入れることで、こちらの意見を受け入れてもらうことです。
とくに電話対応では、クッション話法を使い分けながら、やわらかいコミュニケーションで、相手に快く意見を聞いてもらえるような会話の流れを作りましょう。