「懸念される」は悪い意味ばかりじゃない?類語や組み合わせのフレーズも紹介!

損失・ダメージなどのネガティブな結果を予測する際、よく使われるフレーズが「懸念される」です。

特に近年ではリスク・危険性を論じる機会が多くなり、様々な場面で「懸念される」が使われるようになりました。

当記事では「懸念される」の正しい意味・使い方・組み合わせフレーズを紹介するほか、類語・例文もピックアップします。「懸念される」を適切に運用するためにも、是非最後までお読みください。

この記事の内容

「懸念される」の意味を紹介!


「懸念される」にはネガティブなイメージがつきまといますが、必ずしも悪い意味ばかりではありません。

なぜなら、ネガティブな予測を踏まえての積極的な行動や展望もあり得るからです。以上を踏まえ、「懸念される」の意味を正しく理解しておきましょう。

未来に対する不安の予測


「懸念される」とは、将来起こるであろう出来事や結果を案ずる内容の見通しを立てることです。

「懸念する」ではなく「懸念される」と受身形にすることで、より客観的に分析・判断しているニュアンスが強調されます。

穴や欠点を塞ぐ役割も


「懸念される」は必ずしも悪い意味の言葉ではありません。確かに不安のニュアンスは含まれるものの、改善につなげるための必要事項とも考えられます。

特にビジネスにおいては、リスクマネジメントが必須。様々なリスクを想定してトラブルやダメージを回避する、もしくは有事の被害を最小限に食い止めるには、「懸念」なくしては始まりません。

商品やサービスの品質においても同様です。欠点や弱点を発見・認識し、改善行動につなげるには「懸念される」状況が必要と考えられます。

「懸念される」の使い方は?


先述した「懸念される」の意味を踏まえ、具体的な使い方を見ていきましょう。

問題点や不安点を指摘する時に使う


予想できる問題点や不安点を指摘する際には、「懸念される」の表現が適合します。

というのも状況を客観的に捉え、将来問題が生じる可能性を踏まえて説明するからです。

主観的・個人的な見解を述べるのであれば「懸念する」で構いませんが、客観的な視点に基づいて発言する場合は「懸念される」の方が適切といえます。

危険予測・リスク回避


問題点や不安点と同様に、危険やリスクについても客観的な視点が必要です。第三者の視点で危険やリスクを公平に評価してこそ、リスクマネジメントの意義があります。

危険やリスクを客観的に評価する際、「懸念される」という表現が使われるのはごく自然なことといえるでしょう。

「懸念される」と組み合わせたフレーズをピックアップ!


「懸念される」とセットで使われることの多いフレーズのうち、代表的なものを4つ紹介します。

「可能性」


懸念とは、思わしくない事態に関する可能性を示唆するものです。第三者に対して懸念および可能性を説明する際には、「懸念される可能性としては」「懸念される可能性として」「可能性が懸念される」といった言い回しがなされます。

「中」


「懸念される中」のように、「中」と組み合わせることでフレーズ全体を接続詞の要領で使う表現もあります。意味としては「懸念される現況で」「懸念される状況において」などと同じです。

「問題」


懸念事項を「懸念される問題」と、名詞の要領で表現する場合があります。「懸念される問題として」のように懸念事項の内容を説明する流れを作る用法もあるため、セットで覚えておきましょう。

「点」


懸念事項のうち、特定箇所について説明する際には「懸念される点」と表現します。「懸念される問題」とほぼ同義ですが、よりピンポイントに絞り込むニュアンスの強い表現です。

「懸念される」の類語・言い換え表現は?


「懸念される」のニュアンスは、別の言葉で言い換えることも可能です。代表的な類語・言い換え表現を4つ紹介します。

危惧される


懸念の類語に「危惧」があります。危惧の意味は「危ぶみ恐れること・気がかりなこと」です。受動形で「危惧される」と表現すれば、「懸念される」とほぼ同義になります。

憂慮される


「憂慮」とは「心配して思い悩むこと」です。悲観的な見通しが前提となるため、懸念と同じ意味を表します。したがって受動形の「憂慮される」も、「懸念される」と同義です。

心配される


「心配される」は「懸念される」よりも平易な表現です。日常会話のレベルであれば、敢えて難しい言い回しをしなくともよい場面は多いもの。

例えば子どもの体調が気がかりな状況を述べるには、「娘の体調が心配される」といった表現で十分ですよね。「懸念される」にこだわる必要はありません。

懸案


「懸案」は懸念と似て非なる語句で、「未解決の問題」を指します。

懸念との大きな違いとして「懸案」は名詞形のみであるため、「懸案する」「懸案される」といった動詞は存在しません。

ビジネスにおける会議や話し合いの場では、未解決で持ち越された課題や問題を「懸案事項」と呼ぶのが一般的です。

「懸念される」を使った例文3選!


紹介してきた基礎知識を踏まえ、「懸念される」を使った例文を考えてみましょう。

例文

投打二刀流・連続出場の疲労によるコンディション悪化が懸念される中、大谷翔平選手は不安をものともしない活躍を続けている。

例文

「以上で、新商品企画のプレゼンテーションを終わります。ご質問・ご指摘はありませんか」
「とても良い着眼の企画だけど、キャッチコピーや表現の部分でトラブルになる可能性が懸念される。薬事法は複雑だからね。法務部と応相談だ」

「懸念される」にはいくつかの対義語・反対語が存在します。主なものは次の4つです。

安心できる


「懸念」に含まれる不安のニュアンスに注目すれば、反対語として「安心」が挙げられるでしょう。「懸念される」に対するフレーズ単位の反対語は「安心できる」です。

「安心される」という表現は不可のため、「安心できる」もしくは「安心感のある」のように、少し工夫した言い回しをする必要があります。

信用できる


疑問を挟む余地のない状態を指して「信用できる」と評する場合があります。不安や疑わしい要素がないため心配の必要がない、すなわち「懸念される」とは正反対の状態ということですね。

信頼性の高い


「信用できる」と同義の形容表現で「信頼性の高い」という言い回しがあります。「信用できる」との大きな違いは商品やサービスなど、人以外に対して使われることが多い点です。

ビジネスにおいては、主として品質を評価する際に信頼性を重んじます。品質に不安要素がなく、安心して利用できる場合には「信頼性の高い商品・サービス」として評価されるのです。

お墨付きの


「お墨付きの」は、「信用できる」「信頼性の高い」とほぼ同義のフレーズ。特定の人物が認めた事実を元に、「~のお墨付き」といった使い方をするのが一般的です。

よりカジュアルな言い回しとしては「太鼓判を押された」といったものがあります。

「懸念される」の英語表現を紹介!


最後に、「懸念される」の英語表現を3つ紹介します。

例文

“be concerned about~”
“I’m concerned about a family member.”
(家族のことで懸念がある)

例文

“be worried about~”
“He is worried about the examination results.”
(彼は試験の結果を懸念している)

例文

“be anxious about~”
“She is anxious about the weather of tommorow.”
(彼女は明日の天気を懸念している)


英語表現の特徴として「懸念される」状況を説明する際、日本語のように第三者的な捉え方はしません。

英語表現では受身形の文章であっても、「誰が懸念しているのか」という主体を明らかにします。日本語とは文化的な違いがあるといえるでしょう。

まとめ


「懸念される」はビジネスはもちろん、社会生活を送る上でも大事なフレーズ。なぜならリスクマネジメントの説明でも触れたように、ネガティブな展望を予測した上で善後策を講じる行動が必要だからです。

「懸念される」の意味や使い方だけを覚えるのではなく、概念や生活への活かし方も合わせて身につけるようにしましょう。

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