「お先に失礼します」の意味と使い方を紹介!「お疲れ様です」との違いも解説

ビジネスマナーの1つに、出勤・退勤の挨拶があります。出勤時と比べて、退勤時の挨拶にはいっそう気を遣う人も少なくありません。

特に上司が残っていたり、他のスタッフが全く帰ろうとしなかったりといった状況だと言い出しにくいものですよね。また挨拶としてどのような言葉が適切か、悩んでいる人もいるでしょう。

以上を踏まえ、挨拶のフレーズ「お先に失礼します」について、意味・使い方・類語との違いを含めて詳しく解説します。

この記事の内容

「お先に失礼します」の意味を紹介!

「お先に失礼します」は自分が退勤する際、職場に残った他のスタッフに向けてかける挨拶言葉です。

「失礼します」だけでは、必ずしも退出・退勤の意を表すとは限りません。「お先に」が付くことで「失礼します」の意味が補足され、「皆さんに先んじて失礼します」といったニュアンスになります。

「お先に失礼します」の使い方を解説!

続いて、「お先に失礼します」を使うべき場面・避けるべき場面などを考えてみましょう。「お疲れ様です」との違いについても解説します。

他のスタッフを残して退勤・退出する場合

先述の通り「お先に失礼します」を使うタイミングは、同僚を残して帰る状況が前提。同僚に先んじて退出するからこそ「お先に」が付くのです。

来客者に対しては使わない

一般的に、外部の来客者に対して「お先に失礼します」と声がけすることはありません。

というのも、マナーとして客人を残して帰ることはあり得ないからです。受け入れ側・招き入れた側が応対し、帰りを見届けるまでが礼儀といえます。

例外として、パーティーで外部の相手と偶然出席するような場面では問題ありません。

なお、偶然ではなく事前に申し合わせて参加する場合は、多少なりとも相手をもてなす責任が生じます。先に退出せず、見送りまでを仕事をみなす方がベターです。

「お疲れ様です」との違いは?

アルバイトの場合は退勤の挨拶として「お疲れ様です」と発言することも一部許容されていますが、厳密には適切ではありません。

というのも、本来「お疲れ様です」は勤務時間中の挨拶言葉だからです。「こんにちは」に近い意味もある一方、お互い仕事に取り組んでいる様をいたわる意味合いも含みます。

少し古めかしい言い回しだと「精が出ますね」くらいのニュアンスが近いです。

付言すると、退勤時に「お疲れ様です」と声かけした場合、「自分は帰るのに、残業で大変ですね」といった嫌味のニュアンスが表出してしまいます。

以上の理由から、ビジネスシーンで退勤・退出の際に「お疲れ様です」と発言するのは控えるべきです。

「お先に失礼します」の類語・言い換え表現は?

「お先に失礼します」の意味・用法を踏まえ、類語・言い換え表現にも目を向けましょう。

丁寧語をベースとしたフレーズであることを踏まえ、語感を整える必要がある点に要注意です。

お先に失礼いたします

「お先に失礼いたします」は、「お先に失礼いたします」のニュアンスをいっそう丁寧に表現するフレーズです。

普段の職場で使うと堅苦しい印象を与えるため、身分の高い人物・外部の相手に対して使うのが適切といえます。

お先にお暇いたします

大和言葉の1つに「暇を告げる」「おいとまする」という表現があります。目上の相手から去るといった意味で、現代ではいわゆるお嬢様言葉ような位置づけです。

相手がいる場面で使う場合、「お先にお暇いたします」の形にすれば別れの挨拶として使えます。

実際のところ、協調性が重視されるビジネスシーンにおいて、特に理由もなく大和言葉を使うのはおすすめできません。

なぜなら標準語よりも大和言葉を優先する点で自己主張が強く、クセの強い人物だとみなされてしまうからです。悪ふざけだと思われる可能性も否定できません。

「お先にお暇いたします」はビジネスシーンでの使用を控え、サークル・女子会など気心の知れた身内同士で使うのが妥当です。

お先でございます

若者が中心となって使う、いわゆるバイト言葉には「お先です」という挨拶言葉があります。「お先でございます」は「お先です」の派生形です。

「お先でございます」は「お先です」を少し丁寧にした程度のブロークンな挨拶であり、正しい挨拶とはいえません。

「お先にお暇いたします」と同様、おどけて挨拶することが許される関係でのみ成立すると考えるのが妥当です。

「お先に失礼します」の例文3選!

紹介してきた知識を踏まえ、「お先に失礼します」を使って実際に文章を作ってみましょう。

例文

「お先に失礼いたします」
「えらく丁寧だね、『お先に失礼します』で十分だよ」

例文

「お先にお暇いたします」
「いやいや、会社なんだから『お先に失礼します』でしょ」

「お先に失礼します」の英語表現は?

英語表現では、退勤・退出の挨拶は軽く済ませるのが一般的です。

・“I’m gonna go home.”
(帰宅します)

・”See you tomorrow.”
(明日お会いしましょう)

「お先に失礼します」の中国語表現は?

中国語表現の場合は日本語と同様に、同僚よりも早く帰ることに対して気配りを見せる習慣があります。

・「我先走了。」
(お先に失礼します)

・「先失陪了。」
(すみませんが失礼します)

まとめ

「お先に失礼します」は同僚に向けてかける挨拶。伝え方次第で嫌味になったり、わがままに聞こえたりする場合があります。大事なポイントは相手の都合を尊重しつつ、自分の意志を表明すること。

「お先に失礼します」は日本語・敬語表現の本質を体現した挨拶の1つであり、意義を正しく理解して使うことが大切です。

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