「業務にあたる」の意味・使い方を解説!書き言葉としてはNG?履歴書に使ってOK?


丁寧な言葉遣いが求められるビジネスシーンでも、話し言葉と書き言葉ではトーンが異なりますよね。

ビジネスシーンで使われるフレーズのひとつに、「業務にあたる」があります。やや崩した表現であるため、書き言葉としては相応しくありません。話し言葉ならではの使い方を理解しておくことが大事です。

当記事では「業務にあたる」がどんな意味なのか、どのように使うべきかを解説します。敬語・類語・英語表現も紹介しますので、ぜひご一読ください。

この記事の内容

「業務にあたる」の意味を解説!


「業務にあたる」はカジュアルな表現です。同義の正式な語句と照らし合わせながら、意味・性質などを把握しましょう。

そもそも「あたる」の意味は?


「業務にあたる」のフレーズで悩みのになりがちなのが、「あたる」の部分です。「あたる」とはそもそも、どんな意味なのでしょうか。以下で詳しく解説します。

原型は動詞「当たる」

「あたる」の原型は動詞「当たる」です。「当」の字は「当番」「当直」「担当」「割り当て」などのように、当事者となる意味が含まれます。

「あたる」とは「取り組む」の意味

「あたる」とは「取り組む」という意味。「真っ向から対面する」「挑戦する」の意味合いもあります。

逃げずに立ち向かったり、難題に挑んだりといったチャレンジのニュアンスも含むため、スポーツで使われることもしばしばです。

「業務にあたる」の意味は?


「あたる」についての解説を踏まえ、「業務にあたる」の意味を考えてみましょう。

業務に取り組む・執行する

「業務にあたる」とは、自分の責務・業務に対し当事者として取り組むという意味です。

口頭で「業務に取り組む」と発言すると、やや硬い印象を与えてしまいがち。目上の相手に対してなら問題ありませんが、同輩や後輩に対しては必ずしも最適とは限りません。

話し言葉で同じニュアンスを伝えるには、「業務にあたる」の方が親しみやすい場合もあるのです。

就業・就任の意味も

「業務にあたる」には就業・就任の意味も。今まで接していなかった業務に携わることは、やはり「あたる」の事象に該当します。

新規の事業・業務に着手することを「あたる」と表現するケースもあり、いわゆる「キックオフ」と同じ意味で使われることもしばしばです。

「業務にあたる」の使い方は?


「業務にあたる」の基本的な意味を踏まえ、具体的な使い方を紹介します。主な使用場面・タイミングについてチェックしましょう。

新任・着任のタイミングで使う


「業務にあたる」は新たに取り組むニュアンスを含むため、新任・着任の挨拶の中で使うのに適しています。

新任・着任の挨拶では「業務に取り組む」「業務に邁進する」といったフレーズが定番である一方、教科書通りの言い回しと捉えられる可能性も。

仮に「業務にあたる」と言い換えたとしても特段失礼に当たるわけではなく、むしろ意気込みをストレートに表現する印象・効果も考えられます。

一旦離れた持ち場に戻る


ビジネスシーンならではの表現として、「業務にあたる」には持ち場に戻る意味もあります。

具体的には中止・中断・休憩を経て仕事を再開する状況が当てはまり、再び担当者として仕事に取り組むといったニュアンスです。

「業務にあたる」は履歴書で使える?


「業務にあたる」はビジネスシーンと関係の深い語句であることと、話し言葉の中で使うものである旨は先述しました。

以下ではフレーズ「業務にあたる」が、履歴書の中で使えるかどうかを解説します。

志望動機・希望職種などの説明に


履歴書は文章媒体であり、書き言葉を使うことが前提。話し言葉である「業務にあたる」の文言は、本来望ましくありません。

一方、読み手に不快感を与えるようなNGワードに該当するわけでもないため、位置づけとしてはグレーといえます。

履歴書の中で一番大事なポイントは具体的な希望職種を伝えたり、得意分野などを説明したりすることです。

仮に文章の中で「業務にあたる」のフレーズが登場しても、即座に不合格となるほどの悪影響は少ないと考えて構いません。ただし、職務経歴に相応の魅力が伴っていることが前提です。

「職務にあたる」の方がスマート


履歴書は基本的に、職務経歴書とセットで扱われます。特に近年では転職エージェントを中心履歴書の呼称を使わず、「キャリアシート」と呼ぶ傾向が顕著です。

「キャリアシート」の呼称が示すものは実質的に「職務経歴書」であり、どのような仕事を経験してきたか。すなわち担当業務の積み重ね・仕事の歴史こそが職務経歴であり、キャリアです。

以上の流れを踏まえ、履歴書の中で「業務にあたる」の表現を使いたい場合は「職務にあたる」と言い換える方がスマートな印象を与えられます。

「業務にあたる」の敬語表現を状況・分類別に解説!


「業務にあたる」の敬語表現には、状況や敬語分類によってさまざまなパターンがあります。状況・敬語分類ごとの表現は以下の通りです。

目上の人物の状況を客観的に説明する場合


目上の相手が業務にあたる様を、第三者の視点で説明する際に適した言い回しを解説します。

尊敬語

「業務にあたる」を客観的に敬語表現すると、「業務にあたっておられる」「業務にあたっていらっしゃる」といった表現になります。

「業務にあたられる」の言い回しも不可能ではありませんが、可能を表す「られる」との違いがわかりづらいため推奨しません。

謙譲語

謙譲表現は相手を立てるか、自らを低めることで成り立つ表現技法。第三者が「業務にあたる」様を謙譲表現することはできないため、該当する言い回しはありません。

丁寧語

目上の人物が「業務にあたる」様を丁寧語で説明する場合は、「業務にあたります」「業務にあたっています」といった表現が該当します。

丁寧の補助動詞「~ます」による敬意の対象は、あくまで説明する相手に向けられる点に要注意。

業務にあたっている人物に対しても同時に敬意を表す場合は、「業務にあたっておられます」「業務にあたっていらっしゃいます」のような形での尊敬表現が必要です。

目上の相手にお願いする場合


自分が主体となり、目上の相手に「業務にあたる」ことをお願いする場合の敬語表現をピックアップします。

尊敬語

目上の相手に「業務にあたる」よう、尊敬語でお願いする場合は「業務にあたってくださるよう」と切り出すのが適切です。

補助動詞「くださる」は、上の立場から目下の相手に向けての行為を尊敬表現したもの。指示・命令を表す丁寧の補助動詞「ください」とは全く性質が異なります。

「業務にあたってくださるよう、お願いいたします」と依頼すれば、尊敬表現として申し分ありません。

謙譲語

謙譲語で「業務にあたる」よう促すには、「業務にあたっていただくよう」「業務にあたっていただきますよう」と切り出すことになります。

目上の相手に対するお願いの仕方としては、「業務にあたっていただきますようお願いいたします」「業務にあたっていただくようお願いいたします」のようにつなげるとスマートです。

ちなみに「業務にあたる」の主体が相手なので、自分が主体となる「~させていただく」の表現は使えません。

丁寧語

「業務にあたる」旨を丁寧語でお願いする言い回しとしては、「業務にあたってください」といったものがあります。

先述の通り、補助動詞「ください」には指示・命令のニュアンスが含まれる点に要注意。分類上は丁寧語であるものの、目上の相手に対しては必ずしも適切な表現とは限りません。

指示・命令ではなく、あくまでもお願いする体裁をとるのであれば「ください」の表現を避け、尊敬語・謙譲語を選ぶようにしましょう。

「業務にあたる」の類語・言い換え表現は?


「業務にあたる」は話し言葉のため、文章媒体においてはもう少し固いトーンが望ましいです。書き言葉として使える類語・言い換え表現を紹介します。

職務に取り組む


「業務にあたる」をビジネスシーンに相応しい表現に言い換えるなら、「職務に取り組む」とするべきです。

「業務に取り組む」でも問題ありませんが、「職務に取り組む」の方が職責を全うしようとするニュアンスを強く打ち出せます。

業務に邁進する


「業務に邁進する」は、仕事に専念する・打ち込むという意味合い。意気込みを語る際に使われるケースが多く、新任・着任の挨拶言葉としても定番のフレーズです。

職務に臨む


「職務に臨む」は「仕事に取り組む」と同義で、動作というよりも仕事に対する姿勢・意気を表すフレーズです。「就業」「執務」などと比べると、自主的・主体的なニュアンスが強調されます。

「業務にあたる」の英語表現


最後に、日本語の「業務にあたる」に相当する英語表現を2つ紹介します。

“be responsible for~”(~を受け持つ・責任を負う)

“I’m responsible for the section.”
(その区域の責任は私にあります)

“be assigned to~”(~に従事する)

“He is assigned to Sappolo office.”
(彼は札幌事業所に従事しています)

まとめ


「業務にあたる」は、話し言葉と書き言葉のおおよそ中間に位置づけられます。

日常会話の中で使う表現としてはやや固い一方で、書き言葉としてはブロークンなトーンだからです。

使いどころとしては、ビジネスシーンにおける話し言葉が妥当。職場でのコミュニケーションを図る上で、「業務にあたる」はシンプルで使いやすい一言です。

当記事を参考に、「業務にあたる」を上手に活用してください。

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