トピックやマターなど似たようなカタカナ用語はありますが、中でも「イシュー」が使われる機会が多くなってきているということはビジネス上で有用な言葉だからと考えられます。
今回はイシューの正確な意味や用法を理解し、適切に運用できるように解説していきます。
イシューの意味と定義を解説
さっそくイシューの意味と定義をご紹介します。
どのような言葉も、まずは本質を知らねば先に進めません。順番に見ていきましょう。
「issue」から来たビジネス用語
イシューは英単語“issue”に由来する言葉です。主に「問題・論点・争点・問題点」といった意味で、日本においてはこの訳が定着しています。
なお英語“issue”には他に「出版物・刊行物・債権」などの意味もありますが、今のところ日本のビジネス用語やカタカナ用語においてこれらの意味は定着していません。
未来志向の思いが含まれる
英単語“issue”の主な意味には、複数の人間が議論もしくは話し合いを行って解決すべき課題や題材という性質が内在しています。
つまり“issue”をめぐって協議する、当事者間における今後のあり方に対して未来志向の思いが含まれるということです。
語源の本質を理解することは運用上とても重要ですので、しっかり押さえておきましょう。
イシューとプロブレム・タスクの違いとは?使い方と例文
イシューとよく似た言葉として「プロブレム」が挙げられます。
はたして違いはあるのでしょうか。
プロブレム
プロブレムは英単語“problem”のカタカナ用語です。イシューと同様に「問題・課題」の意味がありますが、他にも「障害」や「困難な状況・事態」というものがあります。
実際の運用上は英語、カタカナ用語ともに後者の意味合いで使われることが多い言葉です。扱いとしてはいわゆる「トラブル」のような性質の言葉に近いのです。
イシューは確かに問題という意味合いでも使われますが、それ以上に「課題」や「テーマ・題材」といったニュアンスが強い言葉といえます。
また先述の通り未来志向の性質も含まれるため、総合的にプロブレムよりもイシューの方がビジネス用語として汎用性が高いということができます。
タスク
ビジネス用語として「タスク」という言葉があります。こちらも英単語“task”のカタカナ用語で、意味は「課された仕事」「業務」「最小単位の作業」というものです。
特徴としては“work”や“job”の下位に位置づけられ、「作業レベルにまで落とし込まれた小さな仕事」という性質を持ちます。
経営者やリーダーなどが新たに創造するような大きな仕事ではなく、スタッフたちが請け負うような作業レベルにまで細分化された小さな仕事を指すと理解しておけばOKでしょう。
押さえておきたいイシューを使ったビジネス用語
イシューの性質や類語との相違点から応用編へ移行しましょう。
イシューの派生語、応用語ともいうべきコンビフレーズ群です。
いずれも必須というわけではありませんが、適切に運用できれば言葉としても概念としても便利なものばかりです。
重要度を示す言葉「クリティカルイシュー」
「クリティカルイシュー」とは直訳すればクリティカルなイシュー、「極めて重要な課題」「致命的な案件」という意味です。
ただし文字通りの致命的な内容である必要はなく、ビジネスシーンにおける実際の運用上は「最重要課題」「最優先事項」のような意味合いで用いられることが多いフレーズです。
仮説を検証する場合の手法「イシューツリー」
「イシューツリー」とは仮説に対して何層もの論考を追記していく思考方法で、最初の仮説が妥当なものであるか否かを検証する際に有効な手法です。
仮説を主題として、いくつものイシューが分岐・枝分かれしていく様からイシューツリーの呼称が付きました。
論理の一貫性および矛盾の有無に関するチェックや、複数の視点でものを考える際に重宝する方法論です。
イシューを細かく突き詰めて分析「イシューアナリシス」
イシューに対する分析手法の一つに「イシューアナリシス」があります。イシューアナリシスとは、当該のイシューが最終的に正しいかどうかを判断できるまで突き詰めて分析を続ける手法のことです。
このため必要に応じてイシューを細かく分解し、個別に各論の分析まで徹底的に行う場合もあります。
ちなみに、先述のイシューツリーもイシューアナリシスの一種とされています。
リスク回避マネジメントの一つ「イシューマネジメント」
経営者や管理職層にとって有用なリスク回避マネジメントの手法の一つとして「イシューマネジメント」があります。
これは経営に大きな影響を与える可能性の高い環境要因を予め把握し、影響の度合いを予測して事態の悪化を防ぐ手法です。
経理会計の場合であれば引当金の見積もり計上などが代表的といえるでしょう。
イシューと一緒に使われる「クリティカルシンキング」とは?
思考法の一つに「クリティカルシンキング」という手法があります。
これもクリティカルイシューと同様に、「致命的な~」という意味ではなく「最重要の思考法」「最も大切な考え方」というニュアンスです。
本質から外れた議論や見解を排除し最も的確で妥当性の高い方策を選択するための思考プロセスです。
クリティカルシンキングの特徴は論理的思考に加えて妥当性や本質を追求するものであることがわかります。
ビジネス以外にも目にする!?イシューに関する用語チェック
イシューはビジネスシーン以外でも浸透が進んでいます。
カジュアルとはいかないまでも、今ではちょっとしたニュースのレベルで扱われる用語になっているのです。
STOCK用語「ホットイシュー」
株式市場における用語、いわゆるSTOCK用語として扱われる「ホットイシュー」は超人気銘柄を指します。
新規公開銘柄などで注目を集めているものが多いでしょう。
政治用語「ワンイシュー」
政治用語における「ワンイシュー」とは、一つの論点や政策課題に絞って主張・注力する姿勢をいいます。
派生語としてワンイシュー政党、ワンイシュー議員といった使われ方をする場合もあります。
注目を集めるイシューマーケティングとは?
イシューマーケティングとは顧客や消費者といったターゲットに向けて直接的に何かを提供するのではなく、社会的に課題となっている事象を広く認知させ、課題の解決手法を提供するというマーケティング戦略です。
ちなみにイシューブランディングはイシューマーケティングの類語で、イシューマーケティングの一環として社会的な課題解決に役立つ商品ブランドを提供するというブランド戦略のことです。
特に近年、健康やダイエットをテーマにした商品が多く見られるようになったのは偶然ではないということがいえるでしょう。
まとめ
カタカナでたった3文字の言葉がこれほど広い意味や影響力を持っているというのは驚きといえるでしょう。
特に興味深いのはイシューとは主に経営者や戦略担当など、何かを動かす力のある層が用いる言葉であるという点です。