会話に割り込み参加する際の決まり文句といえば、「横から失礼します」ですよね。会議や話し合いのほか、メールやSNS上のやり取りでもよく使われる表現です。
他人の話に割って入るのは簡単ではありません。特に見知らぬ相手であれば猶更ですよね。
「横から失礼します」の意味だけでなく、発言すべき場面やタイミングも併せて紹介します。
「横から失礼します」の意味とは?ビジネスで使える英語表現も解説
「横から失礼します」は、大昔からあった表現とは考えにくいでしょう。
どちらかといえば口語表現の響きがあり、スピード感のある現代的なフレーズですよね。
「横から失礼します」が比較的新しい言葉であることを踏まえ、意味や発言時における注意事項なども併せて解説します。
会話に参加するときに使う挨拶のような慣用句
「横から失礼します」は途中から会話に参加する際、挨拶代わりに使われる慣用句です。
「横から失礼します」という表現の由来、誕生については定まった説がありませんが、例えば似た表現として「横槍を入れる」という昔ながらの慣用句が連想されるでしょう。
横から口を挟む・話を遮って割り込むという点において、「横から失礼します」と「横槍を入れる」は一致していますね。
他の例として、縦列で順番待ちをしているところに割り込んだら、「横入り」という扱いになるはず。いずれも、ポイントは「横」という語句にあるというわけですね。
ただし割り込みの要素が含まれるため注意が必要
順番待ちの例でも述べた通り、「横入り」とは要するに「割り込み」の行為です。
理屈は話し合いにおいても同様で、議論の途中に突然第三者が割り込んで発言を始めると、違和感が生まれるもの。
割り込みに伴う混乱や違和感を和らげるためにも、やはり「横から失礼します」と一言ある方が望ましいということですね。
ビジネスでCCでメールを受信した時に返信で使う
メールの宛先欄には“TO”と“CC”の2種類がありますよね。メール交換による話し合いの際、一般的にはTOの宛先に登録されたユーザー同士が当事者ということになります。
CCの宛先に登録されたユーザーは、主に情報共有やオブザーバーの対象です。基本的にCCでメールを受信したユーザーは発言する必要がありません。
話の成り行きを見守り、顛末を把握すればよいだけなのですが、話の展開やタイミングによっては積極的に発言した方がよい場合もあるもの。例えば話が噛み合っていなかったり、論点がずれてしまっていたり、あるいは自分が情報提供することで進行がスムーズになったりというパターンもあるでしょう。
CC対象のユーザーが発言する際には、自分がCCの立場であると自覚している旨を明らかにするためにも「横から失礼します」と一言添えて切り出すのがマナーといえます。
「横から失礼します」を英語に言い換えると?ビジネスメールの例文でチェック
「横から失礼します」を英語で言い換えると、どのような表現になるのでしょうか。ビジネスメールの文面を英語で記述してみましょう。
例文
「飛び入りで発言することをお許しください。」
・Excuse for jumping in.
・Pardon me for jumping in.(略:PMFJI)
例文
「飛び入りで発言することをお許しください。」
・Excuse for jumping in.
・Pardon me for jumping in.(略:PMFJI)
例文
「話を遮ってしまい、お詫びします。」
・Excuse for cutting in.
・Sorriy for cutting in.
両例文とも、動詞部分で使われる英語は日本語のニュアンスと非常に似通っていることがわかります。日本人にもおなじみの単語なので、和訳しなくともある程度伝わってきますよね。
最近SNSで見る「横から失礼します」の意味や使い方
メールでの使い方を応用し、近年ではSNSでも「横から失礼します」が使われるようになっています。
「横から失礼します」がよく使われるSNSの代表格はツイッター(Twitter)でしょう。
ツイッターにおける「横から失礼します」の意味や使い方をチェックしておきましょう。
ツイッターの「横から失礼します」とは?
ツイッターの「横から失礼します」は、いわゆる「FF外から失礼します」と同義です。
「FF外」とは、フォローもしていないしフォロワーでもないという意味。簡単にいえば「ツイートのやり取りをしたことはありませんが、横から失礼します」とか、「フォローもしていないしフォロワーでもありませんが、発言させていただきます」といったニュアンスです。
ツイッターで「横から失礼します」がクソリプ扱いされる理由
ツイッターを語る上で欠かせないのが「クソリプ」という俗語。「クソみたいなリプライ」の略であり、もう少し丁寧に言い換えると「取るに足らない低質な返信」という意味です。
ツイッター上における「横から失礼します」は不人気なフレーズで、不用意に使うと発言自体がクソリプ扱いされてしまいます。
なぜなら発言の必要性を疑われる上に、内容の質や妥当性なども問われ、発言に対するチェックのハードルが一気に上がるからです。
FF外ということは部外者に近く、仮に的外れな発言をしようものならFFユーザーから罵倒されても文句はいえません。
ビジネスで使える「横から失礼します」の言い換え表現をチェック
「横から失礼します」は口語表現に近いフレーズ。場面によっては相応しくないこともあります。
「横から失礼します」と同様のニュアンスを、ビジネスシーンで伝えるにはどのように表現すればよいでしょうか。
本来自分が返信するべきではないとき「~に代わって返信いたします」
メールのやり取りにおいて、宛先TOの当事者でないにもかかわらず返信する場合は「~に代わって返信いたします」と切り出すのが一般的。
担当者が欠勤していたり、あるいは担当者の裁量では対応できないので代わりに上司が発言したりという場合に使われる表現です。
宛名の人が不在だったとき「~が不在のため小職より返信いたします」
メールのやり取りにおいて、宛先TOの当事者が不在の時に返信しなければならないケースもあるもの。
例えば担当者が休みの場合などが考えられますよね。特に担当者の上司など、役職者が代わりに対応する場合は「~が不在のため小職より返信いたします」という言い回しが役立ちます。
「小職」という言い回しは自分の立場をへりくだって表現する語句であり、基本的には役職者が使うもの。
担当者の上司が責任をもって返信している旨を、さりげなくアピールするニュアンスが含まれるのです。
「~に代わって返信いたします」というよりも「~が不在のため小職より返信いたします」の方が、より部署としての責任感を伴った言い回しといえるでしょう。
会議や打ち合わせでは「途中から失礼いたします」
メールやSNSなどのように文章を利用したやり取りではなく、実際の会議や打ち合わせの最中に途中参加するケースもあるでしょう。
スケジュールの都合により、遅れて参加するといった場合ですね。
途中参加であるがゆえに、最初からの議論の流れを全て把握しているとは限らないもの。
「途中から失礼いたします」という言い回しの裏には途中から参加したことをはばかりつつも、やはり発言させて欲しいという気持ちや、途中参加の身でも発言が必要な、切迫した状況になっているといった意味合いがあると考えられます。
「横から失礼します」の使用を躊躇した時の類語表現をチェック
ビジネスの中でも特に敬意を表したり、粗相のないように振る舞ったりする必要がある場面を想定しましょう。
ドレスコードを考えれば、当然「横から失礼します」は相応しくないフレーズですね。
ドレスコードに合わせて「横から失礼します」の代わりに使える表現を考えてみましょう。
自身は謙りながら意見を言いたいとき「僭越ながら」
目上の相手に対して意見を述べる際には、「自分ごときが出しゃばるのは、差し出がましいと承知の上で」と前置きしたいですよね。
担当者レベルのスタッフが、一足飛びに役職者や役員に意見を述べるのは抵抗があるものです。
自分をへりくだらせる謙譲のニュアンスを表しつつ、なおかつ発言したいという場合には「僭越ながら」と前置きするのが妥当でしょう。
注意点として、「僭越ながら」はかしこまった硬めの表現。一般的な先輩格の同僚や直属の上司など、比較的近い距離間の相手に「僭越ながら」と発言すると慇懃無礼な印書を与えることになります。
言葉を選ぶ際には、相手との距離感を見極めるのも大事なポイントですね。
相手に対して敬意をはらう言葉「恐れ入りますが」
「僭越ながら」よりもう少し柔らかく、汎用的に使えるのが「恐れ入りますが」という言葉。ほどよい敬意と丁寧さを表すことができ、サービス業では定番の言い回しです。
例えば「恐れ入りますが、一言よろしいでしょうか」のように断りを入れてから発言すると、自分の立場を弁えつつも、敢えて発言しているというニュアンスが伝わるので好印象につながります。
「横から失礼します」の使い方には使用場面とマナーを考えること
他人の会話に割って入るにはタイミングを見計らうだけでなく、話を遮ってまで発言するだけの価値ある情報を提供・発信する責任も問われます。
「横から失礼します」と発言するには、様々なセンスが必要なのです。
場面とマナーを弁え、ここぞというところで「横から失礼します」を使うようにしましょう。