電話を取り次ぐ時には、必ず誰からの電話かを伝えなければなりません。誰からの電話かが分かって出る方が、頭の中を整理したり、心の準備をすることができます。
人の名前を記憶するというのは簡単なように思えますが、1日に何十件という電話を取り次ぐ場合は油断できません。また、電話に出た時に必ずメモができる状況にあるとも限りません。
取り次ぐ前に相手の名前を忘れてしまった時、どうすればそのことに気づかれることなく上手に乗り切ることができるか考えてみましょう。
相手の名前を忘れてしまった時
数分前に、クレームやトラブルなどの気になる電話がかかっていたりすると、気持ちがまだそちらに残っていて、次の電話に出たはいいものの、うわの空で聞いてしまい名前が分からなくなってしまったなんてことはありませんか?
また会社名と氏名を一度に聞き取らなければならないので、会社名をメモしているうちに氏名を聞き漏らしていたり、離席していてオフィスに戻ったら電話が鳴っていたので、慌てて一番近い電話を取ったのでメモが手元になかったなど、名前に関してヒヤリとするシーンは様々です。
そんな時は、いかに相手に不快感を与えずもう一度名前を聞けるかがポイントです。
このように言えます。
例文
「恐れ入ります。○○におつなぎしますが、確認のためにもう一度お名前をお伺いできますでしょうか?」
そうすれば相手は、名前を忘れられた、または聞き流されたと不快に思うことなく、確認されたのだと受け止めてくれます。
確認ですから、普段よりもゆっくり丁寧に名乗ってくれるかもしれません。会社名を覚えているなら「恐れ入ります、○○会社の・・・お名前だけ、もう一度お聞かせ願えますか?」と尋ねます。
この場合、相手は自分の名前だけを述べるので、よりしっかり聞き取ることができます。
保留中に忘れた場合
保留にするまでは覚えていたのに、取り次ぐために担当者の名前を呼んだ瞬間忘れてしまったというようなシーンもヒヤリとさせられます。
その場合は、保留を開け以下のように述べます。
例文
「大変お待たせしております。(お待たせして申し訳ございません。)○○にすぐにおつなぎしますが、確認のためにもう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
その後「○○様でいらっしゃいますね。恐れ入ります。それではおつなぎいたします。」と言って取り次ぐことができます。
待たせている上に、二度と同じことを言わせるのですから、申し訳ないという気持ちで伝えましょう。電話応対においては、時には正直に間違いを認め謝ることが一番の解決策となることがあります。
しかし、ちょっとしたケアレスミスの場合、相手が特に気づいてもいないのに、わざわざミスを報告し不必要に不快感を与え、時間をロスするよりも、言葉を上手にチョイスして臨機応変に対処した方が良いこともあります。
この“名前を忘れた”という場面でも、「申し訳ございません、お名前を忘れてしまいましたのでもう一度お願いいたします。」などと言う必要はないのです。
このように言って、相手を不快にさせた後、用件についてのやりとりをしなければならないのは担当者です。
取り次ぐ前から気まずい雰囲気が流れていては、ビジネスの話にも支障をきたしかねませんし、話をお詫びから始めなければならないかもしれません。
あくまで忘れたことに気づかれることなく、スムーズに確認し取り次ぐのが社会人としてのマナーです。
まとめ
電話の内容がクレームやトラブルで緊急を要する時は、社名が分かっていれば、名前を聞き直すよりも、すぐに担当者に代わった方が良い場合もあります。
それでも、“名前”を扱うことはビジネスの場において重要です。まずは聞き逃さない、忘れない、を徹底しましょう。