「ストイック」って褒め言葉なの?「がむしゃら」という訳は正しい?疑問を解決します!

アスリートの世界など、自己鍛錬が必要な分野で頻出するのがストイックという言葉。

しかし禁欲的という意味なのか、それともがむしゃらという意味なのか、今ひとつ不明瞭な部分もありますよね。

そこでストイックの意味や本質を探ってみましょう。

この記事の内容

ストイックの意味とは?わかりやすく解説

ストイックを日本語で表現すると、どんな言葉になるのでしょうか。

まずは和訳ベースで意味を考えていきましょう。

ストイックとは「禁欲的」という意味

ストイックとは、禁欲的という意味。禁欲的とは、欲望を抑制し、耐え忍ぶことです。

真っ先に思い浮かぶのは減量期間のプロボクサーでしょう。私達一般人が、ただ単に食事を抜いてダイエットをするのとはわけが違います。というのも減量する一方で、筋肉や持久力はできる限り維持する必要があるからです。

ボクサーでなくとも、1日や2日程度であればこなせる人はいるかもしれません。

しかしボクサーの場合は計量日まで何ヶ月もの間、想像を絶するメニューをこなしているのです。

ストイック「stoic」の語源に迫る

ストイックの語源は古代ギリシャ哲学における一学派、ストア派の生活態度に由来します。

ストア派の戒律は非常に厳格で、自らの欲望を徹底的に抑え込みます。ストア派の姿勢や態度にちなんで、「ストア派のような姿勢・態度」という言い回しが誕生したのです。

ストア派のよう、すなわち禁欲的という形容表現ですね。

「がむしゃらに」という意味は間違い?

ストイックを「がむしゃらに」と解釈する考えもあります。やや意訳の要素がありますが、間違いともいえません。

がむしゃら(我武者羅)とは、一つの目的に向かって夢中で取り組むこと。一心不乱と同義ですね。

言葉の単位で考えれば禁欲的であることと、がむしゃらであることは必ずしもイコールではありません。

しかし日本語表現上では、ストイックはがむしゃらという意味合いで使われることがあるのです。カタカナ語のストイックは、英語の“stoic”とは少し異なる使い方だといえます。

日常生活でストイックを正しく使うには?使い方を例文で確認

ストイックは日常生活でも使われる言葉です。

誤用を防ぐためにも、正しい使い方を身につけましょう。

用法を例文付きで紹介します。

ストイックに生きる

ストイックに生きるとは、禁欲的に生きるという意味です。

がむしゃらに生きるというよりも、自分を律して理性的に生きるという意味合いが強い表現といえます。

例文

彼のライフスタイルは非常にシンプルで、贅沢を徹底的に排している。あれほどストイックに生きる人も珍しい。

ストイックな人

禁欲的で我慢強い人を、ストイックな人と表現します。

いわゆる求道者のようにひたむきな人物が当てはまります。

例文

知人のボディビルダーはストイックな人物で、恋愛よりも体を鍛えることの方が大事だという。つまり異性よりも、筋肉の方が好きなのだ。

ストイックすぎる

ストイックすぎるとは、ストイックの度合いが並外れている様を指します。

例文

ボクシングは自分との戦いで決まるスポーツなので、プロのボクサーは誰もがストイックだ。中でもチャンピオンになった人達は、誰にも真似できないほどのトレーニングを積んでいる。

ストイックの類語や言い換えをチェック

ストイックには類語や言い換え語がいくつかあります。

代表例を3つ紹介します。

無欲・克己的

無欲・克己的とは、欲がなく己を制している様をいいます。

克己というと難しく聞こえますが己を克服する、つまり自分に打ち勝つという意味ですね。

一心不乱・没頭

一心不乱や没頭もストイックの類語です。

他のものに目もくれず、一つの物事にひたすら打ち込むことを指します。

一生懸命

一生懸命は全身全霊に近い意味合いで、命を懸けるような意気込みで物事に取り組むことです。

ストイックの対義語をチェック

ストイックには対義語も存在します。代表的なものを3つ紹介します。

貪欲・強欲・欲張り

貪欲・強欲・ 欲張りとは、いずれも自分の欲を丸出しにする様を表します。

欲求を抑えきれないという意味で、禁欲的とは正反対の言葉ですね。

エピキュリアン

エピキュリアンとは快楽主義者・享楽主義者のこと。エピキュリアンは古代ギリシャの哲学者、エピクロスの教義に由来します。

人生の目的は精神的快楽にある、というものです。

つまりエピクロスの教えに共感した人々を、エピキュリアンというわけですね。

快楽主義的

快楽主義的とはエピキュリアンのような、という形容表現です。

つまり、エピキュリアンのように快楽や享楽を追求している様を快楽主義的といいます。

ストイックな生活はどうすれば送れるの?

ストイックな生活なんて、普段は縁のないものだと思いがち。確かに、普通の人がいきなり明日からボクサーやボディビルダーと同じライフスタイルを実践するのは無謀です。

とはいえ、誰にでもストイックに生きるチャンスはあります。必ずしもボクサーのような専門家になることが条件ではありません。

ストイックの類語として、克己的という言葉があります。ただ単に禁欲といっても、アプローチの仕方はイメージしにくいものです。

克己とは己を律し、自らを克服すること。つまり自分の欲を抑え、制御することが肝心なのです。ストイックには一心不乱や一生懸命という意味もあります。

しかし語源に立ち戻ればわかる通り、一番大事なのは自らの欲を抑え、理性を保つことです。

克己の精神を持ち、実践することによってストイックな生活を送ることができるのです。ダイエットにせよスポーツにせよ、自分との戦いは必ずついて回ります。

ストイックってかっこいい!?褒め言葉なの?

現代日本において、ストイックであることはカッコいいとみなしてよいでしょう。文明・経済ともに発達しており、不便なことはできる限り排除していくのが現代日本です。

日本では手を伸ばせば届く範囲で、あらゆる欲や享楽が存在しています。衣食住をはじめ、娯楽・エンターテイメントなど枚挙に暇がありません。

ところで反対語として紹介したエピキュリアンの本質は、享楽を追求することですよね。

ストイックとは、享楽と真逆の生き方をするということ。つまり、自ら進んで享楽を放棄するに等しいのです。

大げさにいえば、日本においてストイックであるということは苦行に等しいのです。

並大抵の精神力では達成できないばかりか、想像や挑戦すら危ぶまれる。ストイックな生き方とは、それほどに困難だと考えられています。

つまりストイックであることがカッコいいというのは、実践者の強靭な精神力を称えているわけですね。やはり、ストイックとは褒め言葉なのです。

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