職場での電話応対においては、基本的に他社の人に、自分の会社の社員のことを話す時には尊敬語は使いません。
しかしながら例外があります。それは、社員の家族から電話があった時です。
では、社員の家族と話をする際の、正しい言葉づかいと、急用の場合の適切な対応について考えてみましょう。
謙譲語ではなく尊敬語を使う
謙譲語とは、自分や自分側の人間について話す時に、へりくだった表現をすることにより、相手に敬意を表す話し方です。
電話の相手に「○○樣いらっしゃいますか?」と言われて、「○○さんはいらっしゃいます。」と言う人はいません。正しくは「○○はおります。」となります。
では、社員の家族が電話をかけてきた時には、どのような言葉遣いが正しいのでしょうか。
相手が、「○○の家の者ですが、主人をお願いします。」と名乗ってきたなら、電話の相手は奥様でしょう。
その場合、「○○は外出しております。」という言い方は、相手に不快感を与えてしまいます。「○○さんは、ただ今外出されています。」というのが正しい言い方です。
電話の相手が取引先の人の場合、社員は自分側の人間ですが、相手が社員の家族の場合は、その社員は相手側(家族側)の人間となるからです。
社員の家族からの電話には、謙譲語ではなく尊敬語を使いましょう。家族が社員の子供であっても同じです。
きちんと挨拶をする
通常なら、電話をかけてきた方が、「主人が(父が)いつもお世話になっております。」と挨拶をするのが礼儀かもしれませんが、家族が会社に電話をかけてくるということは、急用なのかもしれません。
相手が何も言わなくても、こちらから「いつも大変お世話になっております。」と一言挨拶をしましょう。
もし、知っている相手であれば、「私○○です。いつもお世話になっております。(ご無沙汰しております。)」と名乗ることもできます。その後、速やかに電話を取り次ぎましょう。
急用の場合
しかしそもそも、家族はどうして会社に電話をしてきたのでしょうか。
携帯電話の普及率を考えると、どう考えても直接連絡する方が早いと思われます。可能性としては、急用で電話をしているけど、携帯にかけても連絡がつかなかった場合が考えられます。
一歩進んで、「○○さんは外出されていますが、お急ぎですか?」と尋ねてみましょう。
相手が「急用で携帯に連絡をしたのですが、連絡がつかなくて・・・」と話し始めるかもしれません。
どんな急用なのかプライベートなことなので、内容は話さないかもしれませんが、急ぎということであれば連絡がつくようにできる限りの努力を払ってあげましょう。
一旦保留にし、その社員の部署に連絡するのも一つの方法です。もしかしたら外出するのに携帯電話をデスクの上に置き忘れているかもしれません。そのことを家族に伝えることで、家族を安心させたり他の方法を考えるきっかけになります。
もし、担当者ともう一人取引先に同行していることがわかったなら、同行者に連絡して、ご家族に連絡するよう担当者に伝えてもらうこともできます。
ただし、本当にそこまでの急用なのかを判断することは難しいので、予め電話をかけてきた家族に、「○○さんは、携帯を忘れて外出されているようです。
同行している者に連絡して、○○さんから奥様に連絡していただくよう申し伝えましょうか?」と尋ねてみます。
もし、本当に一刻を争う急用であれば、迷わず希望されるでしょうし、戻ってからの折り返しでよければそう言われるはずです。
まとめ
内容によっては、仕事どころでは無い緊急事態である可能性もあります。
思い切って会社宛てに電話をかけてきた家族の気持ちを推し量り、思いやりを持って接しましょう。