ビジネスシーンで使われるカタカナ語の1つに、オンスケがあります。話の前後関係から、スケジュールに関する言葉であるらしいことは想像がつきますよね。
しかしなんとなく通じる、もしくはなんとなく意味がわかるという言葉こそ注意が必要です。
オンスケについても基本的な意味や用法から見直してみましょう。意外な発見があるかもしれません。
オンスケの意味とは?頻出のビジネス用語を解説
はじめの一歩として、まずはオンスケの意味を押さえましょう。
また上司や取引先に使っても問題ないか、事前にチェックしておくべきですね。
オンスケの語源は?「on schedule」の略
オンスケの語源は英語のイディオム“on schedule”です。
“on schedule”をカタカナ語にするとオンスケジュールですよね。さらにオンスケジュールを略したものがオンスケというわけです。
ちなみに語源の“on schedule”というフレーズについて小さな疑問が浮かびます。なぜ前置詞が“on”なのでしょうか。実は「ぴったり」というニュアンスがあるからです。
似た英語イディオムに“just on time”というものがあります。時間ぴったりという意味であり、早すぎるのでも遅すぎるのでもありません。つまり、どちらにも共通のキーワードは“on”ということです。
“on schedule”の“on”も同じニュアンスだと考えれば、理解は簡単ですね。
ビジネスシーンでは進捗状況を示す言葉
ビジネスシーンでオンスケという場合は、芳しい進捗状況であることを示します。つまりスケジュール通りという意味です。
進捗がスケジュール通りでないという場合はまずオンスケではない旨を伝え、予定より早いのか遅いのかを付け加えるようにすればよいでしょう。
なお進捗がスケジュール通りでない場合、英語であれば“ahead of schedule”(スケジュールより早い)、もしくは“behind schedule” (スケジュールより遅れている)というイディオムがあります。
ただし日本語表現においては多少変化があるので注意が必要です。具体的な用例については後述します。
上司や取引先に使っても大丈夫?
基本的に上司や取引先に対しては、オンスケという言い回しを避ける方が無難です。
多くのカタカナ語に当てはまりますが、よほど緊密な間柄でない限りくだけた言い回しはするべきではありません。なぜなら相手を軽視するような印象を与えかねないからです。
特に取引先との話の中で自分からオンスケと発言するのは敬意を欠く行為と考えられます。ただし、毎日何度もやり取りするような円滑な関係が成立している上司であれば許されるかもしれません。
例えば上司の方から「例の件はオンスケか?」という風に投げかけてくるならば、自分の方もオンスケを使って回答してもよいでしょう。
オンスケの正しい使い方と例文をチェック
オンスケの扱いについては既にポイントを掴んでいただけたでしょう。
今度はもう少し踏み込んで、例文を元に正しい使い方をチェックしてみましょう。
例文
「販売推進プロジェクト案の準備はオンスケかな?」
「はい課長!オンスケで進んでます!」
例文
「お電話代わりました、田中でございます」
「お世話様です、S商事の高橋です」
「高橋部長、いつもお世話になっております」
「来月予定のコラボ商品発表会ですが、仕込みはオンスケでいってますか?」
「はい、順調です。予定通り発表できるでしょう 」
例文
「やあ。研究はオンスケ?」
「実はちょっと遅れてるんだよ」
「マジかぁ。ウチの企画に影響出るかもしれないから、オンスケで頼むよ!」
例文からもわかる通り、オンスケは主に会話で使われる言葉です。いわゆる話し言葉の性質があるので文章に書き出す用法には向いていません。
オンスケの使用機会は直接相手に進捗を確認したり、報告したりといった場面が主であるといえるでしょう。
オンスケじゃない時の表現方法!前倒しを伝える場合はどうする?
何事も進捗がオンスケの時ばかりとは限りません。特に相手の都合がある場合はなおさらです。
そこでオンスケでない状況の具体例として、スケジュールよりも遅れている場合と進んでいる場合の2つを考えてみましょう。
進捗状況が遅れている場合
進捗状況がスケジュールよりも遅れている場合には、「スケジュールに対してビハインドです」という言い回しが当てはまります。
なお英語本来の言い回しは“behind schedule”ですが、このイディオムに対しては特にカタカナ語や略語は存在しません。つまり「スケジュールに対してビハインド」というのは、日本語ならではの表現方法ということがいえます。
英語のイディオムが丸ごと略語になったオンスケとは、性質が異なる点を押さえておくとよいでしょう。
進捗状況が進んでいる場合
進捗状況がスケジュールよりも進んでいる場合は、「予定よりも前倒しで進んでいます」という表現が適切です。
遅れている場合に使うビハインドとは異なり、英語の“ahead of schedule”に関するカタカナ語は存在しません。日本語にはアヘッドという言い回しが定着していないことが理由と考えられます。
ペンディング事項が発生とは?
スケジュールの早さや遅さとは別の視点で、ペンディング事項が発生する場合も考えてみましょう。
時として、スケジュールの中で予定していたプランが先送りになる場合があります。これがペンディングです。
例えば予定していた材料が入荷しなかったり、欠員が出て作業がストップしたりといった状況は起こり得ますよね。典型的なペンディング懸案例です。
ペンディング懸案が生じた場合はスケジュールの管理者に素早く報告し、指示や判断を仰ぎましょう。
管理者から別のプランが提供される場合もありますし、影響が軽微であればペンディングせずにそのまま進行する可能性もあります。
オンスケと合わせて覚えたい対義語「リスケ」とは?
スケジュールの話題で、オンスケと並んでよく登場するのがリスケという言葉です。
リスケとは果たしてどのような意味なのでしょうか。
リスケジュールの略語
リスケとはリスケジュールの略語です。英単語“reschedule”をカタカナ語にし、さらに略したものですね。
リスケの意味は再スケジュール、つまりスケジュールの組み直しです。ちなみにリスケジュールには経営用語として、資金計画のやり直しという意味もあります。
しかし一般的にいって、経営用語のリスケジュールをリスケと略することはほぼありません。
リスケと聞いたら、再スケジュールのことだと即時解釈してよいでしょう。
ビジネスでリスケの使用は慎重に!
対話の場面以外でも使えるリスケは、オンスケよりも使用機会が多い言葉かもしれません。
しかしビジネスシーンにおいてリスケと発言することには注意が必要です。
カタカナ語を安易に使うと失礼に当たる場合があります。特にリスケの場合は略語なので、いっそう軽薄な印象を与えてしまいます。
オンスケと同様、上司や取引先など目上の相手に対して不用意にリスケを使うのは避けるべきでしょう。
オンスケの類語や言い換えも覚えよう!
最後にオンスケの類語や言い換えの表現を紹介します。
計画通り
“on schedule”のイディオムに最も近い日本語表現が、計画通りというフレーズです。
当初の計画からズレが生じずぴったりという点において、英語の前置詞“on”のニュアンスもそのまま反映されているといえます。
予定通り
日常生活においてスケジュールという場合は、計画というよりも予定という意味で使う場合が多いでしょう。
ビジネスを離れた場面を想定してオンスケという場合ならば、計画通りというよりも予定通りという表現の方が相応しいと考えられます。
遅延なし
スケジュールに関するトラブルといえば、なんといっても遅延が代表格です。
つまりオンスケかどうかを確認する際には、まず第一にスケジュールの遅れが生じていないかを心配しているというわけです。
オンスケである状況は、遅延なしという表現で言い換えられる場合が多いといえるでしょう。