「サステナビリティ」を徹底解説!CSR、SDGsなど関連語も一挙紹介!

1987年、国連の機関である「環境と開発に関する世界委員会」が“Sustainable Development”(持続可能な発展)という理念を提唱しました。

環境問題、そしてサステナビリティという概念が広く認知されるようになったきっかけです。

そして持続可能な発展と併せて注目されるようになったのが持続可能性、すなわちサステナビリティです。今やサステナビリティは環境問題以外でも幅広く使われる言葉になっています。

そこでサステナビリティに注目し、意味や用法などについて詳しく踏み込んでみましょう。

この記事の内容

サステナビリティの意味とは?

サステナビリティが英語に由来することは明らかですね。

それでは意味や語源についても調べてみましょう。

持続可能性・持続すること

サステナビリティの意味は持続可能性、もしくは持続することです。先述の英単語“sustainable”が形容詞であるのに対して、“sustainability”は名詞です。

よってサステナビリティとは名詞“sustainability”をカタカナ語化したものであることがわかります。

何を持続可能な状態にしていくのか?

サステナビリティを題材に選ぶ場合に必須となるのが、持続可能な状態にしていく対象です。サステナビリティという単語だけでは、持続可能性は機能しないのです。

サステナビリティといえば環境問題を想起する方が多いかもしれません。しかし持続可能性を必要とするのは、企業であったり教育機関であったりと多岐に渡ります。

例えば会社事業や人材育成を維持・継続していくのも、サステナビリティのあり方の一つということです。

サステナビリティと、持続可能にしていく対象はセットで考える必要があるという点に注意しましょう。

サステナビリティの英語や語源とは?

先の節で説明した通り、カタカナ語のサステナビリティは英単語“sustainability”に由来します。

“sustainability”の語源はラテン語にあり、“L.tenere”(保つ)という言葉から派生したものといわれています。

“L.tenere”が英語に輸入された当時のニュアンスは、下から支えるというものでした。これが転じて持続性や持続可能性という使い方に変化していったのです。

サステナビリティの使い方を例文からチェック

ここでサステナビリティの具体的な使い方を確認しましょう。

例文を3つ紹介します。

例文

ベンチャー企業の中には挑戦的で魅力的な事業展開を行っている会社が多い。一方でサステナビリティに不安を感じるところも少なくない。やはり事業展開とサステナビリティのバランスが良い経営スタイルの会社が生き残っていくのである。

例文

道路や橋、上下水道といった公共インフラの整備はアセットマネジメントという手法に基づいて行われる。アセットマネジメントはインフラの寿命を考慮した数十年単位の計算で成り立っている。つまり、アセットマネジメントの考え方はサステナビリティと密接な関係があるのだ。

例文

サステナビリティの考え方は家計や育児においても適用できる。仮に支出ばかりで収入がないとすれば、家庭を維持することはできない。サステナビリティは見えない形で日常生活に浸透しているのである。

サステナビリティのつく言葉をまとめてみた!

続いて応用編に移りましょう。

サステナビリティにはいくつもの派生語やフレーズがあります。代表的なものを4つ紹介します。

サステナビリティレポート

サステナビリティレポートとは持続可能な社会を実現するために、会社独自で取り組んでいる活動をまとめた報告書のことです。

1980年代より環境問題が深刻化し、企業も環境負荷削減に協力することが求められるようになりました。つまり利益を追求するだけでなく環境問題にも貢献し、その活動内容を開示することがスタンダードになったのです。

なおサステナビリティレポートの関連語として、CSRレポートというものがあります。サステナビリティレポートとCSRレポートは同じものと思われがちですが、実のところ内容が異なります。

CSRレポートのCSRとは“corporate social responsibility”の略で、日本語訳は「企業の社会的責任」です。

つまりCSRレポートとは、自社がいかに社会的責任を果たしているかという内容をまとめた報告書を指します。

よってCSRとサステナビリティは近い関係があるといっても、別の言葉ということです。混同しないように注意しましょう。

サステナビリティ経営

サステナビリティ経営とは環境保護活動に取り組みながら行う事業経営を指します。

言葉通りであれば持続可能な経営という意味ですが、環境問題がクローズアップされる近年では環境保護に貢献するというニュアンスが含まれるようになってきました。

優れたサステナビリティ経営を行っている会社は社会貢献度が高いとみなされます。

またサステナビッリティ経営は会社の信頼性や知名度を向上させます。よってサステナビリティ経営には会社が提供する商品やサービスに、付加価値を与える作用もあると考えられています。

サステナブル建築

サステナブル建築とは環境に対する負荷および影響に配慮しつつ実施する建築手法のことです。

単に省エネルギーや有害物質排出の抑制を図るだけでなく、周辺地域との調和に加えて伝統・文化なども尊重するという点が大きな特徴です。

また建築に用いる資材等についても、耐用年数や修繕の必要性などといった将来性を入念に計算します。

先の例文で挙げたアセットマネジメントの思考法に通じるものがあるといえるでしょう。

サステナブルファッション

サステナブルファッションとは持続可能なファッションのことです。ただしサステナブルファッションの本質は、単に長持ちするとか流行に左右されないということに限定されるものではありません。

つまりファッションとは消耗品のような扱いではいけないというのがサステナブルファッションの根底にある考え方です。

旧来型のファッションは流行り廃りが激しい上に安く買い叩かれ、流行が過ぎたら廃棄物同然の扱いになってしまうものであったと位置づけられています。

またサステナブルファッションのアイテムは再利用可能な素材で作られるのが一般的です。安全で健康的なファッションアイテムは触れる者の心身を豊かにすると考えられています。

一部の利権を持った層だけが利益を享受するものであってもいけません。関係する全ての人に利益をもたらす、公正かつ安全なファッションこそがサステナブルファッションの本質であるということです。

サステナビリティは造語「ロハス」に使われてる!?

サステナビリティ以上に日常生活に浸透している言葉として「ロハス」があります。ロハスとは本来造語であり、元々は英語の“lifestyles of health and sustainability”を略したものです(LOHAS)。

ロハスは語感の良さと共にブーム化し、ロハスをオマージュした商品も次々登場しました。

英語に立ち戻ればおわかりの通り、ロハスの構成語句には“sustainability”が含まれています。つまりロハスの根幹にはサステナビリティの思想があるのです。

ロハスの事例からも、サステナビリティは環境問題だけに使われる言葉ではなくなっていることがわかります。

世間的な流れとしてもサステナブルファッションの思想と同様に、自分自身の生活に加えて社会全体の持続可能性を重要視する方向に向かっているといえるでしょう。

サステナビリティの取り組みとは?CSRをカンタン解説

サステナビリティの関連語であるサステナビリティレポートを紹介した際、CSRについても少し触れました。

CSRはサステナビリティと併せて重要な言葉なので、もう少し詳しく解説します。

繰り返しになりますが、CSRとは英語“corporate social responsibility”の略です。日本語訳は「企業の社会的責任」であり、企業が事業活動を通じて自主的に社会貢献を果たす責任を指します。

CSRの成果はCSRレポートという形で利害関係者(ステークホルダー)に開示されるのが一般的です。

CSRレポートを通じて、単に利益のみを追求するのでなく公明正大な事業活動を行い、社会的にも貢献しているという事実をオープンにするというわけです。

なおCSRに関する活動や思想の一環としてサステナビリティを取り上げる例は非常に多く見られます。

サステナビリティとCSRが、同義のものであるとみなされることもしばしばです。しかし本来はイコールの関係ではなく、別のものであることを押さえておきましょう。

サステナビリティとSDGsの関係は?

2015年9月、国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

アジェンダのうち、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられた国際目標が“Sustainable Development Goals”(SDGs)です。

SDGsの日本語訳は「持続可能な開発目標」です。

SDGsは国連加盟193か国で持続可能な世界を実現するための17のゴールと、169のターゲットで構成されています。

個別のゴールやターゲットについて全て紹介することは割愛しますが、いずれも根底にあるのはサステナビリティに深く関連する要素といえます。

貧困問題の解決、教育の拡充、ジェンダー平等、持続可能な経済成長などは代表的なテーマです。

また日本政府もSDGsに積極的な姿勢で、ターゲットに対し数値目標を立てて取り組む方針を打ち出しています。

地方創生、女性の社会進出支援という国の方策もSDGsに関係するものと理解すれば納得できるでしょう。

1980年代に広まったサステナビリティの思想は今でも受け継がれ、SDGsという形で新しいステージに到達したといえるのかもしれません。

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